第19回「コロナ禍のハイブリッド総会~実行委員の視点から~」   行木 絢子・中嶋 友(専修大学大学院生)

 令和3年5月22日(土)・23日(日)に専修大学で「日本考古学協会第87回総会」が開催されました。ご存知の通り、去年の第86回総会は新型コロナウイルス感染症が拡大したため、本学での開催は中止となりました。その後、あらためて第87回総会開催のお話をいただき、対面型とオンライン型を併用したハイブリッド形式という新たな形態で開催することになりました。

 具体的な準備は、オンラインに精通する方を中心として立ち上げられた協会側のワーキンググループと実行委員会事務局が相互に連携しながら進めることになり、配信方法、必要機材、委託業者の選定、著作権の問題など、オンライン開催で生じる様々な問題点を議論してきました。

 準備を進める中で特に気を付けたのは感染防止対策です。密を避けるため、会場では一席空けて座席を設けて、すべてに番号をふりました。また、発表者の前には飛沫防止シートを設置して、発言者が変わるたびに徹底的な消毒をおこないました。食事についても風通しがよく、密にならない場所を準備するなど、感染防止のために様々な方策を取り入れました。

 当日、私たち二人はコントロールセンターでZoomのホストPCを操作していました。オンライン配信を遠隔操作で管理するのですが、会場とコントロールセンターの場所が離れているため、会場の流れを画面から感じとって、適宜カメラを切り替えて、できるだけ対面参加と同じような臨場感を伝えられるように工夫しました。たとえば、表彰時に辻会長とオンラインで表彰を受ける方を画面上で並列して映す方法を活用したことで、同じ会場にいるかのような雰囲気を出すことができたと思います。2日目の研究発表においては、発表会場ごとのホストPCをコントロールセンターに設置して、それらを同時配信するという形式を採用しましたが、会場ごとに発表形態が異なっているため、実現するまでには様々な問題にぶつかりました。また、当日もホストPCがフリーズして、Zoomがダウンしそうになったり、オンライン発表者が時間になってもZoomに入れないなど、何度も血の気が下がる思いをしました。また、直前に対面発表からオンライン発表へ変更したいという要望があり、それにともなって机の配置替えやデータ差し替えといった想定外の問題が起こってしまい、会場を走り回ったのは今となっては良い思い出です。

 今回の総会では、Zoom操作を業者に委託せずに、大学院生と実行委員が担当しました。その結果、費用は大幅に削減できたものの、オンライン配信に関する専門的な知識と技術が求められ、開催前日まで何度もリハーサルを繰り返しました。今回の総会を何とか乗り越えられたのは、1年間におよぶ大学におけるオンライン授業の経験があったこと、ワーキンググループのサポートがあったこと、そして練習を積み重ねた結果といえるでしょう。オンライン参加者からは「遠方からも簡単に参加できた」、「気軽に参加することができた」など、おおむね好評な意見をいただきました。また、曺永鉉先生に韓国からリアルタイム配信でご講演いただいたことなどもオンライン開催の利点であるといえるのではないでしょうか。今回の総会では、多くの課題も残りましたが、今後もできる限りオンラインを併用した総会が継続することを望んでいます。


コントロールセンターの様子


セッション会場で打合せ中


セッションいよいよ開始