広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望書への 貴市の回答について(再要望)

埋文委 第5号
2021年9月10日

広島市長   松 井  一 實 様

                      一般社団法人日本考古学協会
                      埋蔵文化財保護対策委員会
                      委員長 藤 沢   敦

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望書への
貴市の回答について(再要望)

 

 標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴職におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを改めて要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2021年9月30日(木)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。

 1 提出書類
   別添のとおり 1通


2021年9月10日

広島市長   松 井  一 實 様

                      一般社団法人日本考古学協会
                      埋蔵文化財保護対策委員会
                      委員長 藤 沢   敦

 

広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望書への
貴市の回答について(再要望)

 

 平素より、日本考古学協会の活動に関しまして、ご理解とご協力をいただき感謝いたします。
 さて、先般、市民局文化振興課文化財担当課長名にて、広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)の保存要望に係る当埋文委第4号に対する回答をいただきました。その回答を確認検討したところ、文書形式及び内容についてきわめて遺憾なものと判断いたしました。
 まず、本会は市長宛に正式な文書を提出させていただきました。にもかかわらず、回答文書は公印もなく、文書番号も付与されていない、担当課長の私文書というべきものでありました。公文書として文書発行記録簿にも掲載されない恐れすらあり、市としての正式な見解を示した回答文書として受け取ることができません。
 次に、陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の遺構について、貴市は「文化財審議会委員によるもの以外でも、頂けるものは、記録保存に資するよう、広く収集に努めることとしています。」としながらも、当学会だけでなく、多くの市民・識者・団体等の意見を無視する形で9月4日に一部遺構の切り取りを強行しています。「記録保存」を前提としてその有用性ばかりを前面に押し出し、「広く公開するための」記録そして具体的方法の検討も十分でないまま、貴重な遺構の現地保存を無にした貴市の姿勢に遺憾の意を示します。
 さらに、調査期間についても、想定外の貴重な遺構が多く出土したことから極めて慎重な調査が必要となっているのにもかかわらず、貴市は「現在、設定しているスケジュールの中でこなすことができる」としています。貴重な埋蔵文化財を軽視し、あくまでサッカースタジアムの建設を優先する貴市の姿勢は、強く憂慮すべきことと思います。
 以上により、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は今回の貴市からの回答及びその後の対応について、とうてい容認できないことを申し添えるとともに、改めて下記の通り要望いたします。

 

1 2021年8月5日付け埋文委第4号「広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について」に対し、市長名での正式な文書による回答をおこなうこと。

2 広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の遺構について記録保存を前提とした調査・作業の即時停止し、市民・識者・団体・関連学会等の意見をもとに、現地保存を前提として事業計画を見直すこと。

3 上記の対応および十分な発掘調査を実施するため、必要な期間を確保するとともに、適切な考古学的方法による発掘調査を実施すること。

以上