日本考古学協会とは

 一般社団法人日本考古学協会は、自主・民主・平等・互恵・公開の原則にたち、考古学の発展と社会に対する責任を遂行することを目的として、1948年に設立された日本最大の考古学研究者の組織です。現在正会員数は約3,900名ですが、新たに賛助会員・学生会員制度を導入して、協会の活動への理解を広げ、次代を担う研究者の育成に努めています。なお正会員として入会するには、一定の業績審査が必要とされています。
 本協会の役員は、理事24名(内常務理事1名)・監事2名をもって理事会を構成し、理事会が日常業務を行っています。常務理事(事務局長)を除く理事は、会長(代表理事)1名・副会長2名・総務担当5名と各事業担当15名で役割を分担しており、会員による選挙によって選出され、2年の任期で職務を遂行しています。理事会には協会の事業を遂行するために、7つの常置委員会と、必要に応じて特別委員会・小委員会(共に現在1つずつ)が設置されています。
 定期大会は年2回、総会・大会が開催され、会場では研究発表、シンポジウム、ポスターセッションが行われます。その他、年間を通じて、シンポジウム・公開講座・講演会などを随時開催しています。
 定期刊行物として、機関誌『日本考古学』、英文機関誌『Journal of Japanese Archaeology』、『日本考古学年報』を発行しています。また、総会、大会に合わせて『研究発表要旨』や会員向けの広報誌として『会報』を発行しています。ホームページでは、考古学研究・調査の最新の成果を、学界のみならず社会に向けて絶えず発信しています。
 また埋蔵文化財の保護と活用を推進するため、埋蔵文化財保護対策委員会(常置)を設置し、国・行政機関などの関係諸機関・団体と協議・連携を図っています。最近では1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災等の大災害勃発時には特別委員会を設置し、被災自治体の文化財レスキュー事業と埋蔵文化財の復興調査への支援、復興調査成果報告会の開催や文化財の防災活動への協力を行ってきました。
 埋蔵文化財を始めとする文化財行政やそれを担う専門家を養成する大学の考古学教育を取り巻く近年の社会情勢は、ますます厳しさを増しています。そこで研究環境検討委員会(常置)を設置して、この問題を学会として検討しています。また近年小学校で使用される社会科教科書には、日本列島上の人類史の始まりであり、最長の時期である旧石器時代の記載がないなど、著しい簡略化が見られます。未来を担う子どもたちに歴史の歩みに関する正確な知識を提供するべきと考える協会では、社会科・歴史教科書等検討委員会(常置)を設置して国や社会に対して積極的な提言を行っています。
 さらに日本学術会議などの関連学術団体との連携・協力に努めることで、考古学を始めとする人文・社会・自然科学全体の将来の発展の一翼を担っています。
 近年では、国際交流の推進を通じた考古学の国際化に力を注いでおり、国際交流委員会(常置)では、ホームページで、近年の発掘調査で注目された遺跡を英文で紹介するとともに、協会をはじめ海外の考古学を専門とする4つの国内関連学会による合同講演会を毎年開催するなどして、最新の研究成果を国外に発信することに努めています。