2019年高校生ポスターセッション報告

 「高校生ポスターセッション」は、日本考古学協会第85回(2019年度)総会研究発表の一環として取り組まれ、今年で第4回目となる。郷土部や歴史研究部など、地域研究に関する高等学校の部・サークル15校が参加し、16件の考古学に関係する研究成果の発表があった。いずれのポスターも周りに人だかりが絶えず、5月19日(日)10時から16時まで、会場の駒澤大学種月館4階種月ホール前は、終始熱気で溢れていた。

 発表校は、昨年より5校増え、福島県や鳥取県からも参加があった。全国的規模の大会に成長してきた感がある。テーマも多彩であった。木製遺物の年代測定、九州型石錘、古墳の比較研究、弥生土器文様を描くといった考古学の発表もあれば、戦前の地域考古学史の掘りさげ、自校郷土資料室の「再発掘」といったユニークな発表もあった。また、近代鉄道とレール(軌条)、近代の満州歴史観光ツアーに注目するといった新しい視点もあった。全体として対象とする時代は中世から近世が多く、近世城郭の縄張り、条理の研究、地域の祭祀、近世の屋敷跡、地域の豪族、城下町の景観、重臣の墓地、伝承と聖地の誕生といったテーマが並んでいる。

 テーマと内容をみると、地域の歴史や成り立ちに深く関心が払われていることが分かる。高校生であるから行動範囲に限りがあるという見方もあろうが、日本考古学協会の設立もその一環であるが、戦後日本の考古学の原点を思い起こさせるものがある。熱心に発表に耳を傾ける協会員が多かったことは、この点とも関係するであろう。

 13時40分から表彰式が行われ、谷川章雄会長から表彰状と記念品が贈られた。最優秀賞1校、優秀賞2校は以下の通りであった。

 最優秀賞:「雑誌『ひだびと』と江馬修の考古学研究」岐阜県立関高等学校 地域研究部・文芸部
 優 秀 賞:「為朝伝承の聖地・朝倉-新たなる聖地の誕生-」福岡県立朝倉高等学校 史学部
       「九州型石錘の展開と漁業集団」福岡県立糸島高等学校 歴史部

 16時までに発表が終了したが、高校生と顧問の先生方、発表に接し意見の交換やアドバイスをされた協会員、考古学関係者ともに慌ただしくも充実した時間であった。一方、課題も指摘頂いた。解説時間(発表コアタイム)は13時から1時間となっているが、実際は10時からみな張り付いて説明しており、昼食時間も満足に確保できない実情がある。また、せっかく全国から集まっているのだから、発表を早めに切り上げてでも高校生どうしの交流会を設けたらどうか、という提案もあった。来年は5回目を迎えることもあり、より充実したものにする検討はすすめていきたいと考えている。

 次回もますます多くの高等学校が応募していただくことを期待したい。また、環境の整った会場設営にご尽力いただいた駒澤大学考古学研究室の皆様に厚くお礼申し上げる。

 (企画担当理事 河村好光)