被災文化財のこれから

 平成28年熊本地震対策特別委員会の委員を務めている杉井健です。

 このたび、日本考古学協会のホームページに本特別委員会のブログが開設されました。

 どのようなニュースでもそうだとは思いますが、激烈な災害であっても、その発災当初は頻繁に報道され人々の注目を集めますが、時がたつにつれて報道の頻度は低くなり、人々が災害について思いを致す機会は大きく減少していきます。被災地に暮らすものでさえ、自身が日常生活を営む場所以外の情報は、とくに意識しない限り、なかなか入手が困難になります。

 被災文化財についての情報も同様の状況にあるのではないでしょうか。いやむしろ、人々の日々の暮らしに直結しないものであるため、文化財の情報はより伝わりにくいと思われます。

 2016年4月14日の前震、4月16日の本震に始まった平成28年熊本地震では、多くの文化財が被災しました。特別史跡熊本城跡の被災については、多くの皆様の知るところだと思います。

 でも、発災から1年以上が経過したいまの熊本城の様子は、どの程度知られているでしょうか。ましてや、それ以外の被災文化財の現状はどの程度伝わっているのでしょうか。

 私は、特別委員会委員としてはもちろん、被災地熊本に住むものとしても、また文化財にかかわる仕事をしているものとしても、そうした現状につよい危機感を抱いています。

 こうした現状を少しでも改善するべく、被災文化財の現状や文化財に対する被災地熊本の動きなどの情報を発信するため、本ブログを始めます。

 日本考古学協会は、2017年度の総会において、常置委員会としての「災害対応委員会」の設置を議決しました。したがって、本ブログで発信する情報は、平成28年熊本地震に限ったものである必要はないと思います。多くの皆様からも情報をお寄せいただければと思います。

 協会としても(また杉井個人としても)はじめての試みですので、どの程度の頻度で更新できるのか、また適切な情報をお伝えすることができるのか、大いに不安なのですが、ときおりのぞいて下さいますと幸いです。

 よろしくお願い申し上げます。

 

前震直後の熊本城(2016.4.15)

本震後の熊本城(2016.4.26)

発災1年後の熊本城(2017.4.29)

熊本市中心街からみた熊本城の現状(2017.5.24)