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埋文委ニュース 第47号

2005.7 日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会

埋文委・全国委員会 2005.5.20

 本年度の日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会全国委員会は、日本考古学協会第71回総会の前日に、国士舘大学5号館2階第1会議室を会場として、全国委員40名の参加を得て開催された。

 冒頭に近藤英夫委員長から挨拶があり、『第3次埋蔵文化財白書』の刊行や、文化庁との懇談等について述べられた。また最近全国委員会への委員の参加が増加し、この委員会が様々な遺跡の保存問題に直面している委員が集まる貴重な機会となっていることが述べられた。続いて川島雅人事務局次長から、昨年度の埋文委の活動として、幹事会・保存要望書とその回答・声明文・夏期研修会・情報交換会・文化庁との懇談会等が報告された。また昨今の地方分権化といった行政的な流れの中で、埋文委としても今後の保存要望書のあり方について考える必要性が生じている点が説明された。この後、議長団に橋龍三郎・松崎元樹・北條芳隆委員、書記に柳戸信吾・峰村篤委員を各々選出し、報告・審議に入った。

1)協議・報告事項

 〔1〕【「2004年度埋蔵文化財保護を取り巻く状況」の調査結果について】 松本富雄委員から、この3月に全国の埋文委員に依頼した上記調査について、各項目ごとの報告があった。委員会当日までに29県・延べ45名から回答が寄せられ、昨今の社会的動向と呼応した埋蔵文化財保護行政を巡る様々な事例が報告された。

 〔2〕【市町村合併に伴う埋蔵文化財保護行政を巡る問題について】 引き続き松本委員から上記調査票に基づき報告された。各委員からも平成の大合併による行政組織の変化に伴い、全国の埋蔵文化財保護行政の現場で様々な問題が生じていることが報告された。

2)報告事項

 〔1〕【『第3次埋蔵文化財白書−遺跡の保護と開発のはざま−』の刊行について】 矢島國雄委員から刊行の報告と経緯の説明が行われ、その延滞について関係者にお詫びするとともに、今後シンポジウムの開催等、白書の刊行に伴う事業を準備することが報告された。質疑では刊行に至る経緯に少なからず問題があったことが指摘され、こうした本書刊行に至る経緯の中で生じた手続き的な問題点について、2005年度の幹事会の議題として議論し、次回の白書刊行に備えることになった。

 〔2〕【四国連絡会からの報告】 吉田広委員から昨年度の主な活動内容について説明があり、続いて香川県鵜の部山古墳・徳島県吉野川第十堰の保存問題について、大久保徹也・栗林誠治委員からそれぞれ報告があった。

 〔3〕【関西連絡会からの報告】 田中一廣委員から、昨年度の主な活動内容及び大阪府旧真田山陸軍墓地の保存・整備問題について説明・報告があり、続いて奈良県オオヤマト古墳群・和歌山県根来寺遺跡・三重県久留倍遺跡・兵庫県徳川大坂城採石場・堺市井出山古墳の保存問題について、桑原久男委員・古賀直樹委員・岡田登委員・黒田慶一委員・鈴木重治委員から、それぞれ報告があった。

 〔4〕【要望書を提出した遺跡の現況報告】 日暮晃一委員から千葉県花輪貝塚及び貝塚町貝塚群(千葉貝塚)について、藤巻正信委員から新潟県軽井川南遺跡群について、石塚久則委員から群馬県成塚向山1号墳について、松本富雄委員から埼玉県馬場小室山遺跡について、小杉康委員から北海道鷲ノ木5遺跡の保存問題について、それぞれ現状が報告された。

 〔5〕【その他】 鈴木重治委員から、九州連絡会が今年秋頃の発足を目指して準備に入ったことが報告された。