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2010.12

埋文委ニュース   第58号

日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会  埋文委情報交換会**********2010.10.17

 埋蔵文化財保護対策委員会では2010年度兵庫大会にあわせて 10月17日 (日) 午後 2 時から播磨町郷土資料館において 埋文担当理事 委員ならびに会員18名の参加を得て情報交換会を開催した。 前半の進行役は山川均幹事 後半を松崎元樹事務局次長が務め 橋口定志事務局長の挨拶の後 基調報告 埋蔵文化財保護をめぐる昨今の状況 その他について活発な意見交換が行われた。

1. 基調報告 「高知城跡の保存運動とその成果」

 高知県埋蔵文化財センターの出原恵三氏より 高知市内に所在する高知城跡における保存運動とその後の状況について基調報告がなされた。 報告では 2005年〜2009年にかけて惹起した遺跡隣接地におけるマンション建設問題の経緯が詳細に述べられ これに対する市民による保存運動の展開と 行政側の対処などに関して報告された。 また 保存運動の結果 建設を中止させ公有地化するとともに史跡範囲を拡大して指定したことが述べられた。 この間 市民団体である保存会による署名活動や学習会をはじめとして 2 度にわたる 「シンポジウム城を活かしたまちづくり」 を開催したことで 現状保存に向けて行政を動かす大きな原動力となったことが指摘された。

 出原報告の中で最も印象的だったのが 地方の文化財保護行政をリードし応援する主体は市民であり 保護される文化財は市民が望むまちづくりの主役になり得るということである。

 また 橋口事務局長からは城下町としての歴史的景観とまちづくりに関する提言もなされた。 高知城の保存問題は近年 他地域でも顕在化している近世城郭遺跡の保存と整備活用の問題を考える上でひとつの参考となる事例であり 数次にわたり視察や保存要望を行ってきた当埋文委にとっても 今後 高知城跡の遺跡としての重要性が再認識された。

2. 検討協議事項

1 ) 埋蔵文化財保護をめぐる昨今の状況

 「埋蔵文化財 (出土品) の取扱いをめぐる状況」 について 各地の事例等の報告を交えて若干の意見交換を行った。 この中で 正岡睦夫委員より岡山県の事例が報告され 出土遺物の登録と報告書掲載遺物の検索も可能な状況である点が報告された。 こうした先進的な事例ばかりでなく 多くの市町村では 遺物の保管収納さえもままならない現状もあり 自治体における出土品の取扱いに関する格差が きわめて大きいことが実感された。

 この他 小杉康委員から 1 つの土器片が有する情報の重要性に関する事例が挙げられ これまでの出土品に対する取扱い基準の見直しも含めて再検証する必要性が指摘された。

2) 各地からの報告

 吉田広幹事より四国連絡会の報告があり 高知城 香川県津田湾古墳群 徳島県川西遺跡 愛媛県文京遺跡妙見山古墳等の保存 活用をめぐる状況が報告された。 また 山川関西連絡会幹事より奈良県巨勢山古墳群の現状が報告された。 その他 事務局より沖縄県石垣市白保竿根田原洞穴遺跡の調査保存問題に関して報告がなされた。 (松崎記)