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日考協 第40号

2004年7月9日

総務大臣          麻生 太郎 様 
財務大臣          谷垣 禎一 様 
全国知事会会長       梶原  拓 様 
全国市長会会長       山出  保 様 
指定都市市長会会長     松原 武久 様 
全国町村会会長       山本 文男 様 
全国都道府県議会議長会会長 中畑 保一 様 
全国市議会議長会会長    片山  尹 様 
全国町村議会議長会会長   中川 圭一 様 
有限責任中間法人 日本考古学協会
会長 田村 晃一

国宝・重要文化財、史跡等の保存にかかわる国庫補助制度の存続を求める要望

 現在、いわゆる地方分権推進のための三位一体改革の一環として国の補助金改革が進められているが、文化財保護に関する地方公共団体向けの補助金である、「国宝重要文化財等保存整備費補助金」「史跡等購入費補助金」も、税源移譲と国庫補助負担金の廃止・縮減の対象とする方向での提言がなされている。

 国宝・重要文化財、史跡、重要伝統的建造物群保存地区等は、文化財保護法にも明らかなように、歴史上、芸術上、学術上、特に価値のあるものとして、国民共有の財産として、ひいては人類全体が共有すべき世界的財産として文部科学大臣が、国の責任と権限において指定・選定しているものである。その修理・管理や史跡の公有地化への国庫補助は、文化財保護に伴う各種の制約への補償措置としての性格も持ちながら、国の責任ある文化財保護を実現する方策として機能している。しかるに、上記の補助金制度を廃止することは、国の文化財保護の責任を放棄するに等しいと言わざるを得ない。

 仮に、上記補助金が廃止され、税源移譲等によって財源措置が行われ、地方自治体にその実施が委ねられることになった場合、真に必要な額が確保できるような制度設計なしには、国宝・重要文化財、史跡等の保護の現状維持すら危ぶまれると共に、文化財保護の推進はまったく絵空事となる恐れが高い。国宝・重要文化財、史跡等の偏在と地方自治体の財政状況とを考えると、そうした制度設計はきわめて困難と思われる。

 以上の理由から、「国宝重要文化財等保存整備費補助金」「史跡等購入費補助金」については、今後とも国による責任ある財政措置が必要であり、その制度の維持と必要財源の確保について格段の処置をとられるよう強く要望する。