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埋文委 第21号
2005年3月11日
文化庁長官  河合隼雄 様
奈良県知事  柿本善也 様
奈良県教育長 矢和多忠一 様
天理市長   南佳策 様
天理市教育長 吉岡溥 様
日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 近藤英夫

オオヤマト古墳群の保存に関する抗議声明

 奈良盆地南東部に位置するオオヤマト古墳群は、古墳時代前期の前方後円墳を中心とした50基あまりの古墳により構成されており、日本列島における古代の王権・国家の成立過程を解明する上で、最も重要な古墳群のひとつと考えられています。

 日本考古学協会ではその学術的な重要性と歴史的・文化的景観保全の観点から、現在オオヤマト古墳群の一画で進められている県道バイパス「天理環状線」建設をめぐり、2002年以降、道路建設計画の見直しと史跡指定を含めた古墳群の保存・活用を要望してまいりました。

 しかしながら、建設計画は見直されることなく、古墳群をめぐる景観保全対策も十分に示されないまま、このたび道路の最終建設工事着工に至ったことは、極めて遺憾と言わざるを得ません。また、要望書に対する回答もなく、埋蔵文化財保護行政側の対応としては、不誠実であると言わざるを得ません。

 日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、オオヤマト古墳群を国民共有の財産として、将来にわたる有効な保護・活用の道筋を公に示すことなく道路建設を着工したことに対し、ここに強く抗議いたします。

以上

 本件については第70回総会において総会声明を採択していることから、理事会で検討の結果、会長名による下記の声明文も併せて提出した(3・4月理事会記録参照)。

日考協 第14号

2005年4月28日

文化庁長官  河合隼雄 様
奈良県知事  柿本善也 様
奈良県教育長 矢和多忠一 様
天理市長   南佳策 様
天理市教育長 吉岡溥 様
有限責任中間法人日本考古学協会
会長 田村晃一

オオヤマト古墳群の保護・活用を求める声明文の送付について

 当協会の事業・活動に対し、つねづね御理解と御支援をいただき感謝いたしております。
 さて、当協会では、遺跡を守る立場から、別紙の声明を発表いたしましたので送付させていただきます。
 意のあるところをおくみとりのうえ、よろしくご高配賜りますようお願い申し上げます。

一、別添書類 一通

以上

日考協 第14号
2005年4月28日
文化庁長官  河合隼雄 様
奈良県知事  柿本善也 様
奈良県教育長 矢和多忠一 様
天理市長   南佳策 様
天理市教育長 吉岡溥 様
有限責任中間法人日本考古学協会
会長 田村晃一

オオヤマト古墳群の保護・活用を求める声明

 奈良盆地南東部の山麓地帯に展開するオオヤマト古墳群は、全長300m級の前期古墳を中核とし、そこに100m規模の古墳が密集するという特徴をもち、日本列島における初期の王権・国家の成立過程を解明するうえで、欠くことのできない重要な文化遺産である。

 その重要性に鑑み、日本考古学協会は学術的な重要性と歴史的・文化的景観保全の観点から、2004年度第70回総会においてオオヤマト古墳群の国史跡指定を求める決議を採択している。また、古墳群の一画で推進されている県道バイパス「天理環状線」建設計画について、道路建設計画の見直しを求めるとともに、史跡指定を含めた古墳群の保存・活用についても要望してきたところである。

 しかしながら、県道バイパスの建設計画は見直されることなく、古墳群の将来にわたる保全・保護について何の施策も示されないまま道路最終区間の工事着工に至ったことは、極めて遺憾と言わざるを得ない。新設道路の完成後は、古墳群と周辺地域が新たな開発の波にさらされ、歴史的景観の改変を受けることのないよう、行政的な立場から適切な措置を講じることが、是非とも必要である。

 日本考古学協会は、新しい事態を迎えた今、行政当局において新設道路に近接するヒエ塚古墳、ノムギ古墳、マバカ古墳を早急に史跡として整備するとともに、オオヤマト古墳群の歴史的・文化的景観を将来にわたって保護・活用していくための方針を示し、実効的な施策を講じていただくことを強く求めるものである。

以上