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埋文委 第4号
2005年7月7日
文化庁長官  河合隼雄様
三重県知事  野呂昭彦様
朝日町長   田代兼二朗様
朝日町教育長 松永賢三様
朝日町議長  水谷壹晴様
日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 近藤英夫

万古焼古窯跡群の保存に関する要望について

 標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容をもつものでありますので、貴殿において、その保存の対策を速やかに講ぜられることを要望いたします。

 なお、当件の具体的な措置、対策については8月1日(月)までに、ご回答をくださるようお願いいたします。

一、別添書類 一通

以上

埋文委 第4号
2005年7月7日

要望書

文化庁長官  河合隼雄様
三重県知事  野呂昭彦様
朝日町長   田代兼二朗様
朝日町教育長 松永賢三様
朝日町議長  水谷壹晴様
日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 近藤英夫

万古焼古窯跡群の保存に関する要望書

 「万古焼」は、実用陶磁器・美術陶磁器の両面で、三重県を代表する伝統産業・地場産業として、人々から広く支持を受けています。三重県三重郡朝日町小向の低丘陵地には、万古焼を19世紀に復興した森有節が開いた窯が所在する可能性がかねてから指摘されておりました。当地において土地区画整理事業が計画されたため、平成10年度より試掘調査・範囲確認調査が行われてきましたが、平成16年度には、この「有節万古」の登窯が2基確認されました(名谷A遺跡・B遺跡)。

 一方、土地区画整理事業に先立って、本年度に行われた緊急発掘調査では、「有節万古」の窯が1基のほか、18世紀に万古焼を始めた沼波弄山が開いた「古万古」の登窯が1基、錦窯を伴って発見されるという画期的な成果が得られました(正治寺跡)。

 これらの成果は、「万古焼」の成り立ちを考古学的に初めて明らかにしたばかりか、「江戸万古」「射和万古」など「万古焼」の展開を究明するうえでの核となる遺跡として、日本窯業史研究のうえで重要な意義を持ちます。また、発見された窯は、分焔柱や側壁などが良好に残存しており、本古窯跡群が近世産業遺跡としてもきわめて学術的価値が高いことを示しています。

 以上のことから、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、万古焼古窯跡群の重要性に鑑み、下記の通り要望いたします。

1.土地区画整理の計画を変更し、万古焼古窯跡群を史跡として指定・整備し、将来にわたり国民 的遺産として有効に保存・活用されること。

以上