2008年5月24日(土)と25日(日)の2日間にわたり、東海大学湘南キャンパスを会場に、第74回総会が開催された。総会前日の23日(金)には、理事会と埋蔵文化財保護対策委員会が開催され、24日は総会及び公開講演会、さらに25日には研究発表会と図書交換会が開かれた。参加者は、会員925名、一般参加者541名、合計1,466名であった。
総会冒頭、西谷正会長より、協会はすでに4千名を超える多数の会員を抱える学会として大きな社会的使命を帯びた団体に成長しているが、近年の考古学を取り巻く情勢はさまざまな重要課題に直面しており、この解決のために会員の一層の協力を得たいとの挨拶があり、続いて開催校である東海大学の北條芳隆実行委員長より歓迎のご挨拶をいただいた。続いて、議長団と書記の選出が行われ、議事に入った。
議事はまず、2007年度の事業報告のあと、新入会員の資格審査報告がなされ、116名の入会が承認された。また、理事選挙の結果が報告され、25名の新理事が承認され、ただちに会長選挙に入った。続いて各種委員会による報告が順次行われ、そのなかで研究環境検討委員会からは近年新たに浮上している「埋蔵文化財調査士」等の問題について、さまざまな角度から検討していく必要があること、将来構想検討小委員会では一般社団法人移行に伴い、定款改正や組織改変などの準備を万全にすること、及び協会の将来像、向かうべき方向性について検討を進めることの重要性が提起された。
また、協会図書対応検討小委員会からは、多くの会員の意見を聴取しながらさまざまな角度から検討を進めてきた結果、本年中に各種条件などを付した寄贈先公募要綱案を作成し、来年度には総会の承認を受けて寄贈先を決定したいとの方針が報告された。2007年度決算及び監査報告はいずれも異議なく承認された。
審議事項では、2008年度の事業計画として本年11月に南山大学において秋の大会を開催すること、2005年度から開催されている公開講座は本年9月に静岡市において登呂遺跡をテーマに開催すること、さらに本年は協会設立60周年にあたるため、これを記念して各地で記念講演会を開催し、また機関誌でも特集号を編集したい旨、提案された。会員からは特に、60周年記念事業の実施内容について会員に早く周知徹底されたい旨の要望も出された。これらの事業計画案は本年度の予算案とともにも、異議なく承認された。また、石川日出志監事の辞任と水村監事の任期満了に伴い、後任監事に金子直行会員と原田道雄会員が選出された。
なお、協会の総意として、「大阪府の博物館・資料館見直しに対する決議」と「鞆の浦の歴史的景観および港湾文化財の保全・保護を求める声明」の2件が提案され、全会一致で採択された。いずれも重要な案件だけに、関係各位のご尽力を強く要望したものである。
続いて、協会設立60周年を記念して、設立時並びに初期入会会員に対しその多大なご功績に感謝の意を込め、感謝状が贈呈され、西谷会長から御礼と祝辞が述べられた。受賞者を代表して樋口康会員からは受賞に対するご挨拶があった。
ここで総会はいったん休会に入り、午後1時30分から大塚初重・明治大学名誉教授と近藤英夫・東海大学教授による記念講演会が開催された。「戦後、日本考古学が歩いた道」と題した大塚先生のご講演は、敗戦後日本考古学が歩んだ道のりや日本考古学協会の設立以後の動きについて、時々の考古学者の思い出を重ねあわせながら、熱く語る口調に、多くの聴講者が深い感銘を受け、60周年を迎えた協会総会の記念講演に誠に相応しい内容であった。また、インダス文明と都市の成立に関して行われた近藤先生のご講演は、永年のインダス文明のご研究に裏打ちされたもので、聞く者に説得力があり、都市の成立、誕生についてグローバルな視点から考察した内容は、今後の研究に多大な刺激を与えるものとなろう。
公開講演の終了後、総会が再開され、会長選挙の結果、菊池徹夫理事が選出され、新旧理事の紹介と、菊池新会長から就任の挨拶がなされた。その後、東海大学学生食堂に会場を移して恒例の懇親会が開かれ、多くの会員と実行委員会により懇談が行われた。
翌25日の研究発表会は、口頭発表55本とポスターセッション26本が行われた。口頭発表は5会場に分かれて行われ、合計55本、こうした発表数の多さはここ数年続いている傾向でありいつも会場や設備等を準備する側のご苦労が感じられるが、しかしそれ自体歓迎すべきものであり、今年度はまたどの会場も多くの参加者を得て盛況で、充実した内容が続いた。そのうちの1会場は、「考古学をとりまく諸問題」というテーマが設定され、高松塚・キトラ古墳及び虎塚古墳などの装飾古墳の保存問題や、埋蔵文化財の資格制度、博物館法の改正問題、さらに小学校の教科書問題など考古学を取り巻く今日的な問題に焦点をあてた諸報告が用意された。これらはいずれも重要かつ緊要な課題であるだけに、熱のこもった報告と議論が行われた。こうした多くの会員にとって関心の高いテーマの設定には関係者の相当なご尽力が必要であるが、さらに重要なのは、これを単発に終わらせるのではなく、今後もなお継続して行われることであり、一層のご助力を期待したいところである。あわせて行われた図書交換会は相変わらず盛況であり、また会場に余裕があったためか参加者から好評を受けた。
以上のように、本総会は多数の参加者を得て成功裡に終了したが、ここに至るまでには本協会の総会を受け入れていただいた東海大学と北條実行委員長ほか関係者には大変なご労苦があったことと思われる。周到な準備と熱意がなければこうした充実した総会は成し遂げられないものであり、改めて深く感謝の意を表したいと思う。 (前総務担当理事 萩原三雄)
午前10時、辻秀人理事の司会進行で開会し、前年度物故会員15名に対し黙祷を捧げた。ここで、西谷正会長、北條芳隆実行委員長から挨拶があり、続いて、司会から、現在(総会当日)の会員数が4,104名で本日の出席者137名、委任状預り分1,215名、合計1,352名で、この総会が成立する旨報告があった。議長団として、鈴木保彦・鷹野光行・谷川章雄会員が選出され、書記団に天野賢一・諏訪間順会員が選出された。議長・書記団は、登壇し自己紹介の上、議事に入った。
鈴木議長の議事で萩原三雄理事から総合的な報告があり、個別事項については、各担当理事から報告があった。報告では、第73回総会が明治大学で、また大会が熊本大学で開催されたこと、公開講演会・シンポジウム・公開講座が開催されたこと、理事会は7回開催されたこと、監査会が開催されたことが報告され、定期刊行物としての機関誌、年報、会報の刊行、公式サイトの更新などが報告され、常置委員会、小委員会の設置状況が報告された(68頁の表参照)。
岩淵一夫入会資格審査委員長から入会資格審査の状況説明があり、申込者は119名で、2回の審査の結果、116名が基準を満たしているものとして認め、会員からの異議申立ては特になかった旨の報告があった。議長は早速承認を求めたところ、拍手を以て承認された。出席新会員には、総会議場の前方に並び紹介され、代表して大阪府の小川裕見子会員から挨拶があった。
関俊彦選挙管理委員長から、理事選挙結果について配付資料に基づき報告があったのち、当選者に対し議長から理事就任について同意が求められた。異議のないことを確認の上、議長から出席者に同意を求め、拍手を以て承認がなされた。この際、石川日出志監事が理事就任に当たり監事は本日の業務終了を以て辞任する旨発言があった。
続いて、選挙管理委員長から会長選出の投票要領について説明があり、直ちに投票に入った。ここで鷹野議長に替わった。
高橋浩二理事から、2007年度は初めて陵墓立入りが行われた年であるとし、陵墓関係16学・協会と宮内庁書陵部との懇談から、2008年2月22日の五社神古墳立入りのこと、さらに4月5日のシンポジウム等について報告があった。
高倉洋彰理事から、翌日予定している「埋蔵文化財発掘調査資格制度をめぐって」と「博物館法改正について」の2つの発表の紹介等があり、博物館法関係では、今後改正される施行令で定められる事項については注目すべきであること、又、「資格制度」では日本文化財保護協会において発している埋蔵文化財調査士・調査士補のことと早稲田大学が始めようとしている資格制度の2つがあり、資格が必要という背景は見えており、両方の資格については問題を抱えていると言え、意見を交換しつつよりよい制度をつくっていくのかどうかも検討していきたいと報告があった。
菊池誠一理事から、日本考古学の情報を海外に発信するため「発掘された日本列島」(文化庁主催)の各時代1遺跡をあげ、英文で公式サイト上に掲載したこと、海外からの問い合せが多いので、英文のQ&Aをつくり公式サイト上に掲載していることの報告があり、公開事業として「近年のアジア考古学研究の成果と国際協力」と題する講演会を、2008年1月19日に明治大学で開催したことが報告された。
菅谷文則理事から2つの古墳について、まず高松塚古墳は、解体が進み墳丘はなくなってしまったこと、キトラ古墳は、壁画のはぎ取りが天井石の一部を残して終了していることが報告された。2007年8月9日には高松塚の解体修理の視察を当小委員会として行った。翌日は、小委員会として報告を予定しているが、解体の過程で窒素ガス封入はどうかとか、1972年の保存施設の設計での条件、2000年の取付け部の調査・修理の発注時の状態などを検証するのが小委員会の課題と考えている旨の報告があった。
岡内三眞理事から、翌日のポスターセッションで社会科・歴史教科書に関して詳細を報告する旨説明があり、映像での説明があった。そのなかで、小学校6年生は弥生時代からしか記述はなく、縄文や旧石器を勉強したい人は先生の指導でしても良いことで三内丸山遺跡などが示されている。中学校では縄文文化と弥生文化が記され、高校では旧石器から取り上げられている。世界史では一部に記載はあるが、幅広く社会科の教科書について検討していきたいと報告された。
木下正史副会長から、2007年度に協会図書一括寄贈の方針について承認いただき、日本情報考古学IT化作業部会からの申入れもありヒアリングを行うなどした。これからの日程として、総会後の新理事会で小委員会を再開し、寄贈先公募要領を作成の上、公募していくわけであるが、寄贈先は条件を満たした機関・施設が対象であり、活用計画書などを提示していただき、慎重に決定していきたい。条件を高くすれば不調になる可能性もある。目下条件として、閲覧等のサービス、目録の作成を行い、図書の廃棄はしないこと、協会寄贈図書の明記等が考えられる。公的機関・公的施設の範囲は、法人を含む範囲と考えている。こうした手続きを2009年9月までに終了し、10月に決定したい。一括であり、地方学会誌、同人誌も切り離さない。協会としては今後も収集を続け、寄贈先に受け入れてもらうことになるなどと報告があった。
木下尚子会員(学術会議会員)から、資料を基に学術会議の昨年度の活動報告があった。4月8日に総会があったので考古学関係のみ報告する。学術会議の中に史学委員会があり、考古学はここに属し、「博物館・美術館等の組織運営に関する分科会」では、「博物館の危機をのりこえるために」という声明を出した。大阪府の博物館問題が出てきており、現実の方が遙かに先をいっており、危機感を感じている。「歴史・考古史資料の情報管理・公開に関する分科会」の活動もしている。考古学独自の委員会はまだない。現在10名で考古学に関する活動を行っている。学術会議の役割が明確になった時点で委員会を立ち上げていくことを了解している旨の報告があった。
橋口定志理事から、2007年度は「与兵衛沼窯跡の保存に関する要望書」、「岸和田古城跡にかかる施策に関する要望書」、「桜馬場遺跡の保存に関する要望書」、「鞆の歴史的景観の保全ならびに文化財の保存・活用に関する要望書」それに「『宇治川護岸遺跡』(太閤堤)の保存と活用に関する要望書」を提出している。岸和田古城と鞆以外は保存措置が取られたが、鞆は協会として何らかの意思表示をしたい。埋蔵文化財の保護とともに、それを巡る環境の変化があり、研究環境や調査士、行政の専門職員の減少等にどう対応していくか、研究環境検討委員会と協力していく必要がある旨の報告があった。さらに平城京については、平城京を守る会の会合にも出席し、この問題にも取り組んでいるが、奈良県知事が、大和北道路の都市計画決定を行い新たな取り組みが迫られている旨の報告があった。
渡辺誠副会長から、まず、一般社団法人に関する法律の施行に伴い2009年度の総会で定款改正を行い一般社団法人に移行するわけであるが、定款改正は3分の2の多数を以て行うわけであり、「一般社団法人日本考古学協会」と改め、理事会の制度を明確化しなければならない。理事の定数も検討する必要があり、中・長期的には、公益法人の認定を受けるには基準に合致しているのかどうか検討していく必要がある。現行事業は公益性が高いが、高い学術性と公益性を矛盾なくどう掌握していくかが課題である。協会が何をするところなのかを議論する必要があるが、現在の事業に、考古学及び文化財保護思想の普及を加えれば、公益法人認定に必要な事業はほぼ満たされるとの考えが示された。
金子直行理事から、貸借対照表、損益計算書の説明があり、事業費経費の報告があった。当期未処理損失金1,280,375円の処理方法ついて説明があった。監査報告は石川日出志監事からなされた(別記のとおり)。
以上で報告が終わり、1、4から13までの質問を受け、東京都の佐々木蔵之介会員から社会科教科書の映像で文字の間違いについて指摘があり、岡内理事から訂正の説明があった。神奈川県の渡辺外会員から、神奈川県の文化財の未来を考える会の署名活動など協力のお礼と今年度の活動について発言があり、大阪府の問題も含め、全国的な問題としてさらなる協力の要望があった。
以上で質疑は終わり、1、4から13までを諮ったところ、拍手で承認があった。
ここで谷川議長に替わり、審議事項に移った。
萩原理事から、本年度の事業として、本日の総会、南山大学での大会、登呂遺跡をテーマにした公開講座、理事会・監査会、年報・機関誌・会報の刊行、入会審査、本日の会長選挙、埋蔵文化財保護対策委員会の活動、協会設立60周年記念事業、陵墓問題、学術会議関係、研究環境検討委員会、国際交流委員会、高松塚・キトラ古墳問題検討小委員会、社会科・歴史教科書等検討委員会などその計画について説明があった。(別記のとおり)
金子理事から予算書案が説明された。収入合計45,305,625円で全体的に緊縮財政であるとの説明であった。
ここで、質疑を求めたところ、東京都の石井則孝会員から60周年事業の予算規模について質問があり、小笠原好彦理事から、5回の講演会、出版(『日本考古学』に特集として掲載)、表彰等を行いたい旨の説明があった。
重ねて石井会員から、公開講座・講演会の費用及び負担の仕方についてただされ、小笠原理事から、緊縮財政のおり、資料代その他を徴収する旨の答弁があった。
岩手県の瀬川司男会員から、60周年事業が会員には全然周知されていない、研究環境検討委員会は大きな問題があるというがどういう問題なのか、総会の進め方について、報告が続き過ぎ疲れるので、区切るとか工夫して欲しい旨、質問と要望があった。
小笠原理事からは、講演会は1年かけて検討してきて、総会で承認を受けたら実施していきたい、短期間の計画であったのでご指摘のとおりであるが、会報などに掲載し周知を計っていきたいと答弁があった。高倉理事からは、研究環境検討委員会の件は会報163号に掲載しているので、参照して欲しい旨答弁があった。
萩原理事から、総会の持ち方について、一括報告、一括質疑については、報告時間が長いので、来年度の総会は、新しい方向で進めたいと答弁があった。
以上で質疑を終結し、承認を求めたところ、1及び2は異議なく拍手で原案どおり承認された。
萩原理事から石川日出志監事の後任に金子直行会員、又、水村孝行監事の後任に原田道雄会員が提案された。拍手で就任が承認され、本人同意を求めたところ2名とも異議なく同意した。改めて拍手があった。
高倉理事から「大阪府の博物館・資料館見直しに対する決議(案)」について説明があり、続いて、橋口理事から「鞆の浦の歴史的景観および港湾文化財の保全・保護を求める声明(案)」について説明があり、質問はなく、直ちに承認を求めたところ、拍手で承認された。
ここで暫時休憩となった。〈午後0時10分〉
〈再開、午後5時〉
鈴木議長が再開を宣し、まず疑問の声があった「決議」と「声明」の相違について萩原理事から説明があった。
関俊彦選挙管理委員長から選挙結果について報告があり、菊池徹夫理事が100票、高倉洋彰理事が70票、渡辺誠理事が25票で、菊池理事が会長すなわち代表理事に選出されたことが報告され、議長は出席会員に承認を求めたところ、拍手で承認があった。ここで新旧理事が登壇し、菊池新会長が挨拶した。
これを以て議事はすべて終了した。〈午後5時20分〉
このたび、はからずも西谷正前会長の後を承けて、日本考古学協会の会長に選出されました。
総会のご挨拶でも申し上げましたとおり個人的にはとまどうばかりですが、多くの会員の皆様のご信任を頂いたことに対しては、心からの御礼を申し上げなければなりません。誠心誠意、微力を尽くしたいと存じますので、何とぞご指導、ご協力賜りますよう心からお願い申し上げます。
登呂遺跡の調査をきっかけに、戦後間もない1948(昭和23)年に81名の会員で発足した本協会も60年を経たいま、じつに4,200余名を擁する、大規模な全国学会に発展いたしました。
かつて、私が初めて委員を務めたのは、もう30年も前のことになりますので、いま改めて組織の大きさに驚き、今昔の感に打たれているところであります。このような発展も、すべての会員の皆様のご努力の賜と感謝申し上げます。
今年は、従って、ちょうど本協会創立60周年という、人で言えば還暦の年にあたりますので、これを記念する事業が計画されました。
最古参の会員23名の方々の表彰、『日本考古学』特集号の発刊、それに仙台、東京、静岡、大阪および九州と、全国5箇所で開催予定の記念講演です。たとえば静岡では登呂遺跡が中心テーマというふうに、旧石器時代からから歴史時代まで、それぞれの地域にふさわしいテーマで計画されています。これら事業が、本協会の齢の節目にふさわしく意義あるものとなるよう、多くの皆様のご参加を期待しております。
ところで本協会では、埋蔵文化財保護のための不断の活動をはじめ、特に陵墓問題、高松塚古墳・キトラ古墳問題、それに社会科教科書問題などを重くみて積極的に対応し、さらに市民を対象に公開講座を試みるなど、社会に向けての情報公開にも努めてきました。年々国際化する調査・研究に応じ、国際交流にも力を注いでいますし、また前・中期旧石器遺跡捏造問題以来の課題であった倫理綱領の制定も特筆してよいでしょう。
最近の政治・経済の情勢は、考古学の研究や埋蔵文化財の調査・保護体制にますます大きな影響を及ぼしています。国立大学・研究所の法人化、文化財担当職員の削減と民間発掘調査組織の参入、それに博物館など生涯学習施設への指定管理者制度の導入などなどです。これらの問題にも研究環境検討委員会を設けて取り組んでいます。じつは、私自身、会長としての初仕事は、総会で託された「大阪府の博物館・資料館見直しに対する決議文」を、橋下大阪府知事に手交しに行くことだったのです。
研究者同士の、いわば親睦の性格が強かった本協会も、社会的要請から有限責任中間法人となりました。ところが、近く法律によってこれは一般社団法人に移行となります。ならば、今後ますます複雑化するであろう考古学・埋蔵文化財を取り巻く問題に的確・迅速に対処するためにも、やはり本来志向していた公益社団法人を目指すべきかもしれません。しかし、もちろんこれには課題も少なくありません。なお慎重に議論・検討を進めて参ります。
いずれにせよ、本協会の特質は、これも総会の最初のご挨拶で申しましたとおり、考古学研究、埋蔵文化財の調査・保護・活用といった活動に関わる、様々な立場の会員が集う自由な組織だ、と私は思います。国・公・私、あるいは、教育・研究機関か行政(官)か民間か、といった違いを問わず、とにかく多様性の中での自由と相互理解、それに情報公開こそが大切でしょう。
会員の皆様のご理解を得ながら、本協会は、よりよい方向を目指して、さらに一歩一歩前進してゆくつもりですので、ご協力いただければ幸いです。
(1) 委員会 全国委員会:2007年5月25日(明治大学)/幹事会:2007年4月21日(協会事務所、以下特に記載のないものは同じ)、5月19日、6月16日、7月21日、9月15日、11月17日、12月22日、2008年1月19日、2月16日、3月15日/夏期研修会:10月6・7日(東海大学セミナーハウス)/情報交換会:10月21日(熊本大学)
(2) 要望書等