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一般社団法人日本考古学協会第75回(2009年度)総会報告

 第75回総会が、2009年5月30日(土)と31日(日)の2日間、早稲田大学西早稲田キャンパスにおいて開催された。今回は、総会で定款改正を議決するために会員総数の2/3以上の出席(委任状を含む)を要すること、また、5月に入って広がった新型インフルエンザによって早稲田大学への入構禁止措置がとられた場合に備えて、24日に臨時総務会を開いて実行委員会と協議するとともに臨時総会会場を別途確保するなど、異例の準備を要した。しかし無事、総会前日の29日に理事会と埋蔵文化財保護対策委員会、30日に大隈記念講堂大講堂で第75回総会と公開講演会、大隈記念会館で懇親会、31日は15号館の5会場で研究発表(口頭発表61件・ポスターセッション26件)と16号館で図書交換会が行われた。また、30日13時から新法人理事会が開催された。30・31両日の参加者は、会員1,080名・一般642名、計1,722名に上る。

 第75回総会の具体的な内容は本誌3頁以下の抄録等に譲り、要点のみ述べよう。

 総会の冒頭、菊池徹夫会長から開会挨拶があった。定款改正要件と新型インフルエンザという二重苦のなか無事に開催できる喜びがまず表明され、昨年度の設立60周年を経て、還暦とともに一般社団法人化し、今後はアカデミーとして社会的役割を積極的に果たす必要があること、しかし会費納入や危機対応マニュアル、会員の多層化など課題も多いことなどが述べられた。

 ついで実行委員長・岡内三眞早稲田大学教授から歓迎のご挨拶があり、現在考古学は岐路にあり、本協会が大きな役割を果たすべきと述べられた。また、早稲田大学会津八一記念博物館で企画展『早稲田大学の考古学』が開催中であることが紹介され、参加会員に同名の冊子が配布された。

 さて、今回総会の最重要議題は「一般社団法人及び一般財団法人法」の施行(2008年12月1日)に伴う定款改正である。まず髙倉洋彰副会長から、今回の改正が承認されると、会長は理事会で選出されることや監事が理事会に出席して意見を述べるなど、現在の運営方式から変更が生じる事柄について詳しく説明された。そして会員総数4,207名のうち出席288名・委任状2,996名、計3,284名(78.1%)で定款改正要件を満たすことが確認されたのち、満場一致で承認され、午前11時45分、髙倉副会長より、ただ今をもって有限責任中間法人日本考古学協会は一般社団法人となり、引き続き新法人最初の総会として進める、と宣言された。また、定款改正に伴い諸規則における法人名称を一括して一般社団法人に改めること、理事選挙規則における理事の定数と得票順位、任期中の欠員補充方式を改正すること、さらに、4月1日から前任の青木義脩氏から交替して常務理事(事務局長)に着任した水村孝行氏を新法人の理事に選任すること、についても承認された。

 これら定款改正等の議題は速やかに進行したが、協会所蔵図書寄贈先募集要綱の制定については、多くの意見が出された。2007年度総会で方針が承認され、協会図書対応検討小委員会で2008年度に募集要綱の検討が進められ、3月の会報No.166に案文が示されたものである。意見の焦点は、総・大会時をはじめ今後協会宛に送られてくる図書の扱いをめぐるもので、第3条の一部文言訂正が求められたのを受けて、理事会側から修正案が示され、承認された。

 なお念のため、今回の定款改正で、従来と異なる上記重要事項の法的根拠を記しておく。会長が理事会において選出されるのは、新定款の上位規定である「一般社団法人および一般財団法人に関する法律」第九十条第3項に「理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければならない。」とあることによる。また、監事が理事会に出席するのは、同法律第百一条の「監事は、理事会に出席し、必要があるときは、意見を述べなければならない。」という義務規定による。

 本総会で、2004年3月1日の有限責任中間法人発足から5年を経て、本協会は一般社団法人として新たな歩みを始めた。2003年3月会報No.148冒頭の「有限責任中間法人化に向けて」で記されたように、本協会の法人化は1966年から検討が始まり、1980〜90年代に準備と議論を重ねてきたものである。1948年の発足以来、日本の考古学界を代表する学術研究団体と自他ともに認めるとしても、2003年までは法律上は権利能力をもたない任意団体にすぎなかった。2003年から今回の定款改正までの間、組織・運営に関する諸規則も全面的な点検・検討が行われ、ようやく整備された。今後は、まさに会長が説くように、アカデミーとして社会的な役割を発揮することが求められるであろうし、その具体的な活動が実行されなければならない。

 なお、午前中の総会を受けて、監事出席のもと、13時から新法人理事会が開催され、菊池徹夫理事が代表理事(会長)に選出された。続けて菊池会長が副会長として渡辺誠・髙倉両理事を指名し、承認された。また、水村事務局長が常務理事に選出された。

 初日午後は、早稲田大学土田健次郎副総長より、大隈記念講堂大講堂の解説を含む歓迎のご挨拶をいただいたのち、馬目順一氏(いわき明星大学講師)と稲田孝司氏(岡山大学名誉教授)による公開講演会が行われた。馬目氏は、氏特有の精緻な縄文・弥生土器研究を彷彿とさせる手法で東アジアの「飾履の世界」を語られ、稲田氏は「旧石器時代研究の課題」と題して、特に考古資料として「行動軌跡」の概念化を強く求め、ともに今後あるべき考古学研究の方向を示された。

 第2日目の研究発表は、どの会場も盛況で、活発な質疑が行われた。特に、口頭発表第3会場では、29日の朝日新聞朝刊に箸墓古墳年代論の記事が掲載されたことから、当該発表が午後最終であるのに開始時から会場がほぼ満席となったために、実行委員会の英断で急遽午後から大教室に変更する事態となった。どの発表も同様だが、見解をどう受け止め評価するか、今後公正な議論が交わされることを期待したい。また、シンポジウム「埋蔵文化財の資格制度を考える」は、日本文化財保護協会と早稲田大学のふたつの資格制度が始動し、文化庁も資格のあり方について検討を進めて中間まとめを公表したことを受けて設けられた。趣旨は、その実態をまず把握し、公開で様々な意見を交換し、日本考古学協会が今後進むべき方向を考えることにある。発表者以外に会場から14名の方々から真摯な意見が出され、また会場ではアンケートを実施して80名余りの回答を得た。アンケート結果については、今後、集約したうえで会員に情報提供する予定である。

 図書交換会は16号館1・3〜5階で行われ盛況であった。卓の配列順が毎年固定化して不公平が生じているという問題が指摘されたが、これについては今後早急に検討したい。

 本総会は、定款改正という本協会にとって歴史的イベントを伴う総会であったし、新型インフル対応及び当日の教室変更など、例年にない厳しい条件下での開催であった。延べ参加者数が2,000名をはるかに越える学会の実務を受入れるだけでも準備は至難である。早稲田大学岡内三眞教授をはじめとする実行委員会の皆さんのご苦労には心より御礼を申し上げたい。理事会では、危機対応や開催方法についても改善を要すると考えており、今後検討を進めたい。     
(石川日出志)

一般社団法人日本考古学協会第75回(2009年度)総会(抄録)

 午前10時、佐藤宏之理事の司会・進行で開会し、冒頭前年度の物故会員18名に対し黙祷を捧げた。その後、菊池徹夫会長、岡内三眞実行委員長から挨拶があった。続いて司会から、現在(総会当日)の会員数が4,159名で、本日の出席者162名、委任状預かり分2,996名、合計3,158名となり、この総会が成立する旨報告があった。

 議長団として柿沼幹夫、谷口 榮、宮瀧交二会員が選出され、書記団に小野美代子、笹森紀己子会員が選出された。議長団・書記団は登壇し、自己紹介の後議事に入った。

【報 告】

1.2008年度事業報告

 宮瀧議長の進行で始まり、下條信行理事から、2008年度の総・大会、公開講座などの主な事業について説明があり、小委員会のうち「協会設立60周年記念事業検討」「規則等検討」「高松塚・キトラ古墳問題検討」の3つの小委員会を廃止した旨報告があった。

2.入会資格審査結果報告並び承認

 川根正教入会資格審査委員長から、117名の入会申し込みがあり、資格審査委員会で審査の結果、114名が基準を満たし、その結果を会員に周知したところ、会員からの意義申し立てはなかった旨報告があった。議長から入会について承認を求めたところ、拍手をもって承認された。その後、当日出席の2009年度新入会員は議場前方に整列して紹介され、入会者を代表して埼玉県の越前谷 理新会員から挨拶があった。

3.陵墓報告

 福永伸哉理事から、日本考古学協会をはじめ16の学術団体と共に宮内庁書陵部との陵墓懇談、限定公開への参加(河内大塚山など)、陵墓立入り調査(伏見城=桃山陵墓地など)等を行ったこと。また、2009年5月17日に、京都市で陵墓公開30周年記念シンポジウムを開催したことなどが報告された。

4.研究環境検討委員会

 土生田純之理事から、昨年度は特に資格問題の検討を中心に活動し、協会員にも正確な情報の周知化を図ったこと。5回の委員会をもち、東海大学で催された第74回総会では熱心な意見交換が行われたこと。また、『日本考古学』第26号誌上に研究環境の現状について掲載し、南山大学で開催された大会ではポスターセッションを行ったこと。資格問題については地域により意識の差があるので、場所を関西に移し2009年7月4日に、明日(5月31日)行うシンポジウムと同内容のシンポジウムを開催すること等が報告された。

5.国際交流委員会報告

 菊池誠一理事から、「日本列島最新出土品展」に展示された中の9遺跡について、英文コンテンツを作成し日本考古学協会公式サイトで公開し、『日本考古学』26号誌上に国際交流について掲載したこと。今後5年に1回くらいはこういった特集を組みたいとの説明があった。また、日本西アジア考古学会・東南アジア考古学会・日本中国考古学会に呼びかけ、4学会合同講演会「外国人研究者がみた日本考古学」を実施したことが報告された。

6.高松塚・キトラ古墳問題検討小委員会

 菅谷文則理事から、高松塚古墳がダメージを受けていることから2006年の福島大会で本協会が声明を出し、高松塚・キトラ古墳問題検討小委員会が立ち上げられ、7名の小委員会で対応してきた経過が説明された。高松塚古墳は復旧作業中であり、3年間で一応の任務が終わったと判断し、3月31日をもって本小委員会は廃止した旨報告があった。

7.社会科・歴史教科書等検討委員会

 岡山真知子理事から、小中学校の教科書から縄文時代の記載が消えたことが発端となり、2008年度から常置委員会として活動している経過が説明された。昨年度はポスターセッション、教科書の検討などを行い、『日本考古学』26号誌上にて社会科教科書について掲載し、「歴史教科書を考える3・4号」を刊行したことが報告された。

8.協会図書対応検討小委員会

 白井久美子理事から、会員や関係機関から日本考古学協会に寄贈された図書は、1975年から市立市川考古博物館で預かってもらい、2000年以降の寄贈図書については貸倉庫に保管しているが、利用できない状況が続いているとの経過及び現状報告があった。昨年度来、所蔵図書が一括保管でき、会員が利用できる機関へ寄贈することを検討しており、この後、要綱の案を提示するので、審議を願いたい旨の説明があった。

9.日本学術会議報告

 石川日出志理事から、学術会議の史学委員会は6つの分科会があり、考古部会は木下尚子会員と連携会員8名が参加していること。また、歴史認識や教科書に学術成果が盛り込まれているかを検討し、公文書館の専門職員配置の法制化を訴えたことや、「博物館の危機を乗り越えるために2007」を出し、博物館の指定管理者制度の検討を行ったこと、さらに「文化財の保護と活用に関する分科会」を学術会議に設置したとの報告があった。

10.埋蔵文化財保護対策委員会

 松本富雄理事から、全国委員113名からなり、協会の前日に委員会を開いている。毎月第3土曜日に幹事会を開催するほか、夏期研修会、情報交換会を実施し、行政問題も取り上げて検討会を開いていること。資格問題については、研究環境検討委員会と情報交換しながら行っていること等が報告された。また、保存要望は広島県福山城、千葉県柏市松ヶ崎城、島根県松江市城下武家屋敷等の4件であり、福山城は話し合い中、松ヶ崎城は保存になり、松江市は調査内容についての要望も出したが、そのまま博物館が建設されたことが報告された。また、全体的には中近世の遺跡を取り扱かった問題が多い。これは、平成10年の文化庁通知に中近世の遺跡については地方にその扱いが任せられ、遺跡の取り扱いのとらえ方に地域間で相違が出ていることが要因ではないかとの報告もあった。

11.2008年度決算報告並びに監査報告

 白井理事から、事業経費に関する決算報告、貸借対照表、損益計算書等の説明及び報告があった。監査報告は原田道雄監事からなされ、適正に処理されている旨報告された(別記のとおり)。その折、同監事から300名以上の会費未納会員がいることが経営不安の原因になっているとの意見が述べられた。

 以上で報告が終了し、2の入会資格審査を除き、1及び3〜11の報告に関して質問を受けた。東京都の水山昭宏会員から、機関誌『日本考古学』が電子アーカイブに収録されたことに関し、報告がなかったとの発言があり、茂木雅博理事から、創刊号から24号までの機関誌について、執筆者をはじめ会員の意見を聞いたうえで登録し、利用していただくようになったこと。会報等で周知する旨説明があった。

 滋賀県の稲垣正宏会員から、所蔵図書に関して発言があったが、議長から後半の審議事項で取り上げているので、後ほど改めて審議したい旨提示があり、了承された。

 以上で質疑は終了し、報告事項1及び3〜11までの報告について諮ったところ、拍手をもって承認された。

 12のその他は特になく、ここで柿沼議長に替わり、審議事項に入った。

【審 議】

1.定款の改正について

 髙倉洋彰副委員長から、今回の定款改正は昨年12月の法改正に伴い、有限責任中間法人を一般社団法人に名称変更する必要が生じたためで、その意味で第1条が最も重要になること。第3条の(1)に「考古学の普及、及び文化財愛護精神の涵養」を加えたこと。第16条で理事会を設置したことや常務理事も議決権を持つこと等については法で定められていることの説明があり、さらに監事は予算・決算についてだけでなく理事が行う事業全般についても監査すること等が説明された。また、第20条の理事の任期は2年、監事は4年になること。常務理事は会長が選任して事務局長を兼ね、仕事の内容上任期が3期以上になること。第30条の剰余金の分配ができないという規定は非営利団体であることを示すものであるとの説明もあった。

 ここで議長から質疑を求めたが、特に発言はなく、議長から本議案の議決について説明があった。定款改正には、一般社団・財団法人法第49条の規定により、全会員の3分の2以上の賛同が必要であること。現時点で、本日入会手続きを済ませた新入会員も含め、全会員数は4,207名であり、本日出席の会員は288名、委任状を寄せられた会員は2,996名、総計3,284名で、議決に必要な2,804名を超えていることが報告された。その後ただちに、「定款の改正について」諮ったところ、大きな拍手で原案どおり可決された。可決後髙倉副会長から、この議決をもって本協会は一般社団法人日本考古学協会と称することになったことが宣言された。

2.定款改正に伴い規則等の一部を改正する規則の制定について

 髙倉副会長から、第2条は定款改正に伴い、一括して有限責任中間法人を一般社団法人に置き換えるものであり、第3条については、選挙管理委員の任期を2年としたことが説明された。これは、理事等の途中退任者の補充は選挙管理委員会で決め、理事等の欠員が生じないようにするためで、この場合、得票数次点の会員が繰り上げとなり、地区別の理事が不在になることもあり得ること。また理事定数の件は、法により監事2名も理事会に加わることが義務付けられたこともあり、理事選挙で選出する理事を2名減らし、選出理事23名、監事2名・常務理事の26名で理事会を運営していくとの説明があった。

 ここで、質疑を求めたところ、岩手県の熊谷常正会員から、途中退任理事があった場合地区代表が欠員とならないよう配慮願いたいとの発言があったが、髙倉副会長から、地区代表が不在という事態も想定されるが、任期途中のことであり、長期間のことではないので不在が生じてもやむを得ない、との考えが示された。

 以上で質疑を終結し、「定款の一部改正に伴い規則等に一部改正する規則の制定について」諮ったところ、拍手をもって可決された。

 議長から、施行日は本日2009年5月30日からとなる旨発言があった。

3.協会所蔵図書寄贈先募集要綱の制定について

 白井理事から、要綱案を事前に会報へ掲載しているので、会員は既に目を通しているとの前提で、資料に沿って条文の説明があった。

 説明の後、質疑を受け付けた。滋賀県の稲垣正宏会員から、受け入れ先の見込みはあるのか、という質問に対し、白井理事から、既に2〜3件問い合わせがきていると回答があった。併せて稲垣会員から、収蔵スペースも考え本をもらわずデータだけをもらうという方法もある、との提言があった。東京都の小田静夫会員から、今後は寄贈を受けないのか、現在の蔵書数と利用件数はどれくらいか、という質問があり、白井理事から、総・大会での寄贈本は一旦協会で預かり、その後決定した寄贈先機関に受け入れてもらうことになる。また、蔵書は約8万冊あり、利用は年間2〜5件程度との回答があった。さらに小田会員から、蔵書を売って倉庫の維持費にあててはどうか、年報の刊行は止めたらどうかという提言があった。続いて京都府の山田邦和会員から、交換会の図書は一度は寄贈を受けることになると思うので、文言を替えるべきとの発言があった。同様に、山梨県の萩原三雄会員、宮城県の辻 秀人会員からも文言を修正して採決すべきとの意見が出された。白井理事は、この場で即修正というのは困難であり、少し時間をもらって検討したいと回答し、下條理事からは、ここで修正案を出し議案を通すことが肝要との発言があった。また、神奈川県の近藤英夫会員、東京都の石井則孝会員から、ここで少し時間を取って理事会としてまとめて、再提案したらどうかとの発言があり、議長から5分間の休憩が宣せられた。(5分後)議事が再開された。白井理事から、第3条中「協会は図書の寄贈は受けない」の部分を削除することが提案され、質問者、提言者は了承した。東京都の水山昭宏会員から、2010年3月までに選定できない場合は廃止か、という質問に対し白井理事は、それまでには決められる旨回答した。また、山口県の渡辺一雄会員、東京都の中山清隆会員から、協会に寄贈されたものをさらに別の機関に寄贈することになるのではないか、との発言があり、白井理事は、協会を経由して受贈者に橋渡しをするのであって、協会は寄贈を受けないと回答した。

 議長から、基本的には協会は図書の寄贈は受けず、送られて来たものについては転送することとし、第3条中「協会は寄贈を受けない」を削除することで承認を求め、拍手をもって可決された。ここで谷口議長となり、議事を進めた。

4.2009年度事業計画
5.2009年度予算案

 議長から、両議案は関連があるので一括して説明するよう提案され、4は下條理事、5は白井理事が資料に沿って続けて説明した。その後、併せて質疑を受け付けた。京都府の山田邦和会員から、電子アーカイブ化は著作権の問題があるので、最初から権限は協会にあるということを明記したらどうか、という提言があった。続けて今回の研究発表は事前に新聞報道があり、混乱が予想されるので発表に支障のないよう要請があり、黒沢理事から、不測の事態も考えられるので充分対応する旨発言があった(当日は大きな会場に変更した)。埼玉県の鈴木正博会員から、来年度予算で赤字を出さない対策は考えているか、受贈図書がなくなるとどのくらい経費が減るのかという質問に対し、白井理事から、赤字を出さないような予算を組んでいる。また、図書がなくなると、倉庫代約30万円が減ると答えた。東京都の石井則孝会員からは、旅費が増えた理由を問われたが、白井理事は、委員会活動が全国的に活発化していること等をとりあげ、説明した。また、石井会員から、イベントなどの際に参加料や資料代を徴収したらどうかという提言があった。東京都の水山会員から、印刷物の電子化や会議も電子会議にして旅費を減らしたらどうか、という提言があった。

 ここで質疑を終了し、4.2009年度事業計画及び5.2009年度予算案について諮ったところ、拍手をもって可決された。

6.理事の選任について

 髙倉副会長から、定款第20条第1項により、引き続き3期以上その任にあたることができる理事として、埼玉県の水村孝行会員の選任について提案があった。人事案件なので直ちに議決に移り、拍手で承認された。水村会員は起立してこれに同意し、挨拶があった。

7.その他

 議長から、追加して審議すべき事項の有無について発言があった。埼玉県の鈴木敏弘会員から、今後本をもたない協会が、総・大会で本を集めるのはおかしい、続けていくことも難しい、との意見が出たが、議長から、図書については既に議決されているのでここでは取り上げないとの発言があった。神奈川県の渡辺 外会員から、「神奈川の文化財の未来を考える会」の活動について協力依頼があった。

 これをもって議事はすべて終了した。(午後0時55分)

会長就任あいさつ

一般社団法人日本考古学協会   会長 菊池徹夫

 日本考古学協会は、去る5月30日に早稲田大学を会場として行われた第75回総会において、有限責任中間法人から一般社団法人に正式に移行いたしました。また、それにともない、私が引き続き会長(代表理事)を仰せつかりました。どうかよろしくお願い申し上げます。

 今回の法人格・名称移行は法律の改正に因るもので、定款改定のためには全会員の2/3の議決が必要でした。そこで今総会を前に事務局、理事総出で手分けし、異例の委任状督促作戦を展開することになったというわけです。おまけに、開催直前に新型インフルエンザの感染拡大で早稲田会場ロックアウトの危機も現実味を帯び、はらはらの毎日でした。いわば、この二重苦の中での開催準備となり、70年代の紛争時の協会運営の緊張を思い出したものです。

 それだけに今回、何とか無事に開催に漕ぎ着けたばかりでなく、必要定数を遙かに超える会員数でスムーズに可決いただくことができ、喜びと感謝の念で一杯です。

 協会危急存亡の時とはいえ、本来自由意志であるべきものを重ねてお願いすることになり、会員の皆様からみると、しつこい催促、督促以外の何ものでもなかったでしょう。すでに回答したのにまたかと、不快な思いをされたかも知れません。全理事、事務局に代って、ここに改めて深くお詫び申し上げます。なお、今回のことに鑑み、協会として「危機管理・対応マニュアル」といったものの策定も急がねば、と考えています。

 さて、私どもの協会は昨年が創立60周年ということで、記念講演等々の行事を行いました。したがって今回の総会は、いわば還暦後の新たな歩みの第一歩ということになります。その記念すべき総会でご講演下さった馬目順一、稲田孝司両先生はじめ、研究発表、ポスターセッション等で報告された多くの会員の皆様に、ここで改めて深く感謝申し上げます。おかげさまで、研究発表、図書交換会、懇親会とも記録的な数の参加者をお迎えすることができました。

 会場を提供された早稲田大学と、準備万端、実行の全てに関してお世話になった岡内三眞先生はじめ実行委員会のメンバー、とりわけ院生・学生諸君に心からお礼申し上げます。

 さて、一般社団法人として新たなスタートを切った本協会は、これからも従来どおり社会に開かれた活動を活発に行って参ります。もちろん、自由で多様な会員同士の交流・親睦という基本的性格は大事にしながらも、日本の、いわばアカデミーとしての社会的役割を、より積極的・主体的に果たしていくことも大切ではないか、と思っています。

 さらに、私は今、じつは優れた若手研究者への学会賞(日本考古学協会賞)、あるいは奨学金といったことも夢見ていますが、そのためには財政的な裏付けが必要です。もちろん安易な会費値上げは避けるべきです。有り難いことに、確かに毎年、新会員は増えています。しかし同時に、このところ物故・退会会員も少なくないのです。法人の性格上、無限大の会員増加も難しいのです。そこで、健全な外部資金の導入の他、たとえば学生会員、賛助会員といった会員枠・会費額の多様化なども考えてみています。

 というわけで、この場をお借りしてあえて私から会費の納入について一言お願い申し上げます。私ども理事会は、今後とも財政・経理を含め運営の一層の合理化と情報の公開に努力して参りますので、どうか会費の円滑な納入促進にお力添えをお願いいたします。

 末筆ながら、今秋の山形大会へ多数のご出席をお願いし、ご挨拶とさせていただきます。

2008年度事業報告

1.総会・大会・公開講座等

(1)総  会 2008年5月24・25日 於:東海大学
(2)大  会 2008年11月8・9・10日 於:南山大学
(3)公開講座 2008年9月13日 於:静岡市民文化会館
(4)公開講演会 2009年1月17日 於:明治大学
(5)60周年記念講演会
   2008年7月6日 於:和泉市市民文化ホール
   2008年10月12日 於:明治大学
   2008年12月6・7日 於:九州国立博物館
   2009年2月15日 於:仙台市博物館

2.理事会等

(1)理事会 2008年4月26日(協会事務所,以下特に記載のないものは同じ)、5月23日(東海大学)、6月28日、8月23日、10月25日、11月7日(南山大学)、 2009年1月24日、3月28日

(2)監 査 2009年5月16日(2008年度事業及び会計監査)

3.年報・会報・機関誌

(1)年 報 第59号(2006年度版)2008年5月20日発行、第60号(2007年度版)編集
(2)会 報 No.164(2008年8月1日発行)、No.165(2008年12月10日発行)、 No.166(2009年3月1日発行)
(3)公式サイトの更新
(4)機関誌
  『日本考古学』第25号 2008年5月20日発行
  『日本考古学』第26号 2008年11月1日発行
  『日本考古学』第27号 編集

4.組織

(1)入会資格審査委員会(審査委員会:2008年12月6日、2009年1月17日)
(2)常置委員会・小委員会設置等報告

5.陵墓問題

(1)懇 談(2008年7月11日)
(2)見 学(2008年11月28日、12月10日、12月11日、12月18日、2009年1月9日、1月16日)
(3)陵墓の立入り(2009年2月20日)

6.研究環境検討委員会報告

7.国際交流委員会報告

8.高松塚・キトラ古墳問題検討小委員会報告

9.社会科・歴史教科書等検討委員会報告

10.協会図書対応検討小委員会報告

11.日本学術会議報告

12.埋蔵文化財保護対策委員会報告

 (1)委員会等 

委員会:2008年5月23日(東海大学)/幹事会:2008年4月19日(協会事務所、以下特に記載のないものは同じ)、5月17日、6月21日、7月19日、9月20日、10月18日、11月22日、12月20日、2009年1月17日、2月21日、3月21日/夏期研修会:10月4・5日(東海大学セミナーハウス)/情報交換会:11月9日(南山大学)

 (2)要望書等 

2009年度事業計画

1.総会・大会・公開講座

2.理事会等

3.年報・会報・機関誌

4.組織

5.埋蔵文化財保護対策委員会

6.陵墓問題

7.日本学術会議

8.研究環境検討委員会

9.国際交流委員会

10.社会科・歴史教科書等検討委員会