日本考古学協会第80回(2014年度)総会は、5月17日(土)、18日(日)の両日、日本大学文理学部において開催された。浜田晋介実行委員長の指揮のもと、OB、学生を中心に十分な受け入れ準備を整えていただき、当協会総会の開催受け入れも今回が11年ぶり、3回目ということであった。
今次総会にあたっては、前日の16日に理事会と埋蔵文化財保護対策委員会、17日は日本大学文理学部百周年記念館ニューアリーナにおいて第80回総会と公開講演会、日本大学によるセッション1「近世考古学の展望」(発表10件)が開かれ、その後、百周年記念館多目的ホールで懇親会を催した。翌18日は、日本大学3号館の4会場に分かれて口頭発表(35件)、同3号館ではセッション2会場(発表17件)、3号館エントランスホールではポスターセッション(23件)が開かれた。また、図書交換会も百周年記念館ニューアリーナで開催され賑わった。両日の参加者は会員972名、一般468名、合計1,440名に上った。
さて、総会ではまず田中良之会長から開会の挨拶があり、2年間の任期を顧みて、東日本大震災から3年がたっているが、復興支援はまだその途上にある事、福島第一原発の問題は、いまだ出口が見えない事を指摘した上で、協会図書問題については、有識者からなる委員会によって一括寄贈が決まり、その寄贈先の選考結果が本総会で報告がある事、定款改訂については、外部からもわかりやすくするため、改訂の準備を進め、本総会に諮られる事、国際化の問題については、昨年度英文ジャーナルが創刊された事が報告された。次に日本大学の加藤直人副学長から歓迎のご挨拶があり、さらに実行委員会を代表して浜田晋介実行委員長から、3回目となる日本考古学協会の開催を歓迎する旨のご挨拶があった。続いて、司会から総会の成立要件を満たすことが報告され、議長団、書記団を選出ののち、議事(報告事項、審議事項)に入った。以下要点を報告する。
まず、報告事項として最初に第4回日本考古学協会賞選考委員会報告並びに表彰があり、大賞を受賞した田尻義了会員、奨励賞を受賞した水ノ江和同氏、斎野裕彦会員への賞状及び記念品の授与があった。斎野裕彦会員は、これまでで初めての論文による受賞者である。今後、会員諸氏の論文による応募も大いに期待したい。その後、2013年度事業報告ののち、入会資格審査報告があり、61名の申込みのうち58名が資格を満たしているとの報告があり、承認された。新入会員を代表して、大塚宜明氏(北海道)が抱負を述べた。今年度の物故者は23名、退会者は62名となっている。なお、当協会の2014年3月末日の会員数は4,172名である。
続いて今年度は、理事改選年となっており、飯島武次選挙管理委員長より理事定数が24名で、常務理事1名を除く23名を選出すべく選挙を実施し、選挙告示にもとづく立候補者が23名あり、23名が当選した旨報告があった。また、協会図書に係る検討小委員会からは、松尾昌彦委員長により、協会図書寄贈先に係る選定結果について、2件の受贈の応募があり、1.協会図書受入業務の継続性に関わる組織的対応において充実している、2.受入体制がより充実しており、協会図書の保存・管理・活用に優れている、3.遠隔地貸出やコピーサービス等において、日本考古学協会員・研究者等にとって図書館相互利用ネットワークによる利用の利便性が高いという3点の理由によって、選定結果が奈良大学図書館となった旨、報告がなされた。また、定款・規則等の見直し検討会については、髙倉洋彰副会長を中心に作成され、会員からの意見を受けて修正された一般社団法人日本考古学協会定款改正(案)及び、一般社団法人日本考古学協会規則(案)が提示され報告された。
続いて審議事項に移り、2014年度事業計画案が提出され、原案どおり可決された。その後、松尾昌彦委員長から日本考古学協会所蔵図書の寄贈先について説明があり、原案どおり寄贈先を奈良大学図書館とすることが可決された。次に、定款等の改正について、髙倉副会長より委任状を含めた出席者数が、定款の変更の決議を可能とする数になっているかの点検のため、審議を延長して翌18日(日)の12時10分から行いたいという案が提出され、提案を可欠した。合わせて定款・規則における軽微な変更に関する委任についての案も同様としたいとの説明があり、可決された。次に社会科・歴史教科書等検討委員会の谷口榮理事から小学校学習指導要領の改訂に対する声明が提出され、原案どおり可決された。また追加事項として、2013年度の総会で会員から質問があった流入・流出文化財に関わる問題について、田中和彦理事より理事会の中で勉強会を持ち、まずは情報収集等から始めることとなった旨、報告があった。総会17日分の報告、審議を終えたのち、直ちに新理事による臨時理事会が開催され、新会長の選任が議された。髙倉洋彰理事が会長に選出されたのち、石川日出志理事、白石浩之理事が副会長に、またそれぞれの業務主担当も決まり、新理事会の体制が整った。そして、新会長の決定報告が行われた。
そののち、引き続き公開講演会に移行した。田中良之会長の開会挨拶ののち山本孝文会員による演者紹介、浜田晋介日本大学教授による「太平洋戦争開始〜終戦直後の内地の考古学調査−日本大学考古学会の活動から−」の講演会が開催された。講演内容は、日本大学の考古学研究の歩みを三期に分け、そのうちの第1期(昭和4年〜昭和22年)に焦点をあてたものである。日本大学に保管されてきたが、これまで公開されることがなかった当該期の考古学的資料に光をあて、関連資料を丹念に探索し、当該期の日本大学の考古学活動を再評価したものである。長く博物館で未発表資料の公刊に努めてこられた浜田教授ならではの講演であった。講演で取り上げられた資料が日本大学文理学部資料館の展示「日本大学・考古学研究のあゆみ」で見学できたのも有難かった。公開講演会に引き続き日本大学セッション「近世考古学の展望」が開催された。調査、研究、活用の3部構成となり、趣旨説明と研究史の後、調査2件、研究2件、活用3件の発表があり、最後に総括が行われた。活用の3件のうち、岐阜市の岐阜城の事例は、「発掘調査そのものを観光資源とする」というコンセプトのもと発掘調査の公開そのものも目的のひとつにして行われたもので、休日調査の実施等、その為にとられた様々な工夫は、今後様々な地域における遺跡の活用の一つのモデルになるものであろうという思いを強くした。一方、平戸の事例で、オランダ貿易の強調は、イギリス、ポルトガル、中国、朝鮮といった国々とも濃密な関係にあった「港市」としての平戸の側面をわかりずらくしてしまっているという指摘と「歴史のハイライト」の過度の演出は本来あるものを見えなくしてしまう危険性をはらんでいるという指摘も重要であると思う。セッション終了後、会場を百周年記念館多目的ホールに移し、懇親会が開催された。実行委員長浜田晋介日本大学教授をはじめとする各氏にご挨拶を頂きながら、しばし愉快な歓談の時を過ごした。
翌18日は4会場に分かれて35件の口頭発表、同時に2会場に分かれてセッション2(「日本海沿岸の縄文時代人−富山県小竹貝塚を中心に−」5件)、3(「前方後円墳体制周縁地域における国家形成−善光寺平の場合−」6件)、4(「東日本大震災の復興調査の進捗状況と課題」4件)、5(「小・中学校段階における歴史学習と考古学の役割−日本列島における旧石器時代の取り扱いについて考える−」2件)が開催された。いずれも現在注目されているテーマによる最新の研究成果が提示された。詳しくは『一般社団法人日本考古学協会第80回総会研究発表要旨』を参照願いたい。ポスターセッションは、23件のエントリーがあり、参加者との熱心なやり取りがみられた。
また、18日12時10分から前日に引き続いて総会が行われた。定款等の改正について髙倉副会長より、委任状を含めた出席者数が17日夕方までに定款の変更の決議を可能にする総正会員の議決権の3分の2までに達した事が報告され、原案どおり可決された。こののち髙倉新会長の就任挨拶があり、抱負が語られ、2日間に及ぶ総会が閉会した。
以上のように本総会は多数の参加者を得て成功裡に終了した。これはひとえに日本大学と浜田晋介実行委員長をはじめとする大会実行委員会諸氏の周到な準備と熱意、OB諸氏及び考古学専攻学生諸君計約80名の惜しみない協力による賜物である。会員ともども心より御礼申し上げたい。
(総務担当理事 田中和彦)
2014年5月17日(土)午前10時、藤田富士夫理事の司会で開会し、冒頭、前年度の物故会員23名に対して黙祷を捧げた。次に田中良之会長から開会挨拶があり、日本大学加藤直人副学長、日本大学浜田晋介実行委員長から歓迎の挨拶があった。続いて司会から、現在会員数が4,172名、本日の出席者2,741名(内委任状2,638名)で定款第28条の定めによって、本総会が成立する旨の報告があった。
次に、議長団及び書記団の選出に移り、議長団として長野県の平林彰会員、栃木県の鈴木泰治会員、神奈川県の小泉龍人会員、書記団として、神奈川県の川崎実佳子会員、山梨県の杉山悠久会員が選出された。議長団、書記団は登壇し、自己紹介の後、総会資料に沿って議事に入った。
髙倉洋彰副会長から、選考委員会で大賞に田尻義了会員、奨励賞に水ノ江和同氏、斎野裕彦会員が推薦され、理事会で了承されたことが報告された。推薦文が読み上げられ、議長は3名の受賞について承認を求め拍手をもって承認され、田中会長から3名の受賞者に賞状と記念品が授与された。
田中和彦理事から報告事項の2、3、4について一括報告があった。国際情報機関誌として始まった英文機関誌『Japanese Journal of Archaeology』が2014年1月9日に、創刊号がWEB刊行されたとの報告があった。
小林謙一入会資格審査副委員長から、2013年12月7日に第1回資格審査委員会を行い、応募者61名のうち、8名に疑義があり、再審査の結果3名が入会不可となった。その後58名について異議申し立ての告知をしたが、異議申し立ては無く、58名が2014年度入会資格該当者となったと報告され、議長から58名の入会について承認を求めたところ、拍手をもって承認された。承認後、新入会員は登壇し、入会者を代表して北海道の大塚宜明新会員からの挨拶があった。
飯島武次選挙管理委員長から2014年4月5日開票の選挙結果が報告された。有権者数は4,236名、投票者数1,062名、投票率25.1%で、当選者23名の氏名と得票数が読み上げられた。次点者については、投票得票同数4名の次点候補者から菅谷文則会員を決定した。委員長報告の当選者及び次点者について、議長が承認を求めたところ、拍手をもって承認された。
森岡秀人理事から、資料「2013年度陵墓報告」にそって説明があった。活動は関連学協会との連携で、宮内庁との懇談、陵墓立入り観察、陵墓の限定公開等への参加について、詳細な報告があった。
西藤清秀理事から、日本学術振興財団から定期刊行物の公開促進事業の採択を受けた『Japanese Journal of Archaeology』の創刊号が日本考古学協会公式サイトにアップされたことが報告された。また、サイトへの掲載とともに、広報活動の一環として広報用冊子を作製し、2014年1月11日に開催されたインド・太平洋先史学連合第20回国際世界大会に溝口委員長が出席し、日本考古学の広報に努めたと報告があった。
小川望理事から委員会の活動内容及び経緯についての説明後、2013年度の活動報告があった。長野大会ではポスターセッションで「行政・団体・民間調査組織・博物館における研究環境」、「埋蔵文化財調査に係る資格問題」、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の影響」、「博物館の統廃合問題」の4つのテーマで行った報告があった。また、大学進学での考古学専攻希望者の減少を考慮した問題についても検討していくことが報告された。
新田理事から、展覧会「発掘された日本列島2012」図録から選定した遺跡の英文翻訳「Noteworthy Archaeological Sites, Issue 2013」を協会ホームページに掲載したとの報告があった。また、第7回アジア考古学四学会合同講演会は装身具をテーマとし、2014年1月11日明治大学駿河台キャンパスにおいて開催され約130名の参加者があったことが報告された。また、今後の事業で海外情報の収集と日本考古学協会の活動情報発信に取り組むとの報告があった。
剱持輝久理事から、歴史教科書の内容を検討するだけでなく、学習内容についても考古学の立場から文部科学省に提言していく必要があると考え、テーマセッション「小・中学校段階における歴史学習の目的と考古学の役割」や、2014年度に東京学芸大学で開催を予定しているシンポジウムの準備、また、学習指導要領改訂前に、小学校社会科教科書への旧石器時代記載の取り組みについて報告があった。
橋口定志理事から、全国の委員に向けて実施したアンケートの課題について、会報や協会ホームページに掲載したとの説明があった。また、委員会では、神奈川県茅ヶ崎市の高座郡衙、和歌山県の根来寺一乗閣、静岡県沼津市の高尾山古墳、大分県杵築市杵築城等の保存について協議を行い、1月30日に、杵築市の杵築城遺跡の保存問題についての要望書を提出したとの報告があった。また、こうした保存については文化庁の担当者と共通認識を持っていくことが必要と考えているとの説明があった。
渋谷孝雄委員長から、詳細は会報No.181に記載されているとの説明があったが、主な活動は震災復興地の現地説明会と発掘調査成果報告会で、11月23日の「新井田館跡」の現地説明会、1月25・26日の発掘調査の成果報告会「発掘調査でわかった沿岸部の歴史」では、岩手大学会場91名、仙台市博物館会場115名の参加者があったとの説明があった。
松尾昌彦理事から小委員会の設置目的について説明があり、2013年度は特別委員会の答申を具体化するために、一般社団法人日本考古学協会所蔵図書の寄贈先募集要綱に沿った応募機関への調査要項を作成し、募集期間の2013年10月末日までに2機関からの応募があったことが報告された。応募機関については書類審査の後、調査項目に従って、実地調査を実施し、委員会で寄贈機関を内定したと報告があった。
髙倉副会長から現行の定款は、有限責任中間法人の定款を一部改正したもので、一般社団法人の定款としては不備が多く定款の改正が必要不可欠であるとの説明があった。また、定款の改正には会員の3分の2の承認が必要なため、理事会内部に検討会を設け、慎重に素案をまとめ会報No.180に呈示し、会員の意見と修正を会報No.181に掲載した経緯の説明があった。一般社団法人日本考古学協会規則の制定は8件の規則を一本化したものとの説明で、埋蔵文化財保護対策委員会規則は規定として位置づけたことが報告された。
2013年度決算報告は財務担当大工原豊理事からの報告で、貸借対照表及び正味財産増減計算書での歳入・歳出の増減額の説明があった。収入増は英文機関誌補助金によるもので、歳出での減額は職員減に伴う減額との説明があった。また、特別会計報告の東日本大震災募金については、歳出が当初予算額に比べ大幅に増になっているとの報告があった。続いて吉田哲夫監事から白井久美子監事と共に2013年4月1日から2014年3月31日までの事業報告、貸借対照表、正味財産増減計算書のすべてについて監査を行った結果、適法かつ正確であることを認めたとの報告があった。
日本学術会議木下尚子会員が欠席のため、新田栄治理事から資料に沿って日本学術会議の取り組み事業の説明後、報告に入った。中央教育審議会が大学教育の分野別質保証の在り方に関する審議を依頼され、考古学分野では歴史学(史学)全体で「日本の学士がいかなる能力を証明するものであるのか」について基準を策定したこと。また、文化財の保護と活用に関する分科会では「文化財の次世代への確かな継承、災害を前提とした保護対策の構築をめざして」とする提言で、文化財の防災と救出にむけた国レベルの常設機関の必要性、次に文化財専門職員の配置と充実。最後に災害救援における大学の役割として、災害時をも想定した文化財保護教育を工夫する提言が報告された。
議長は「日本考古学協会賞の報告並びに承認」、「入会資格審査報告並びに承認」、「理事選挙報告」を除く各報告についての質問を受けた。
京都府の鈴木重治会員から、佐賀県神埼市吉野ヶ里遺跡周辺のメガソーラー設置地区にかかる佐賀県からの提供資料の公開について質問があった。橋口理事から、この公開要望については、埋文委幹事会に公開の可否等について確認した上で、対応したいと回答があった。
次に、東京都の石井則孝会員から、無償会員(免除会員)の人数と経費について、無償会員の問題も明確に予算書にはっきり提示する要望があった。藤田理事からきちんと掌握して、お答えできるような形で臨みたいと回答した。
東京都の原祐一会員から、被災地の放射線量の高い地域での調査状況に関して、安全の確保について質問があった。近藤英夫理事から福島県では規定の基準値を設けており、行政もそういった認識はしっかりしており、また、こうしたご意見を反映できるように考えていくとの回答があった。
ここで、議長は報告に関する質疑を打ち切り、既に承認されている報告1、5、6を除く各報告事項について決議に入り、多くの拍手をもって承認された。
報告事項がすべて終了し、議長から審議事項に入る発言があった。ここで議長から審議事項〈2〉〈3〉について審議順番の変更が提示され、議事が行われた。
田中理事から、2014年度事業計画案について、総会は5月17日・18日、日本大学文理学部での開催、大会は2014年10月11日・12日・13日に北海道伊達市・だて歴史の杜カルチャーセンターで開催予定であること。公開講座、アジア考古学四学会合同講演会についてはテーマ、開催予定地が報告された。協会理事会は年間8回を予定され、刊行物は、年報65号、会報No.182、No.183、No.184、機関誌37号、38号が予定されている。英文の機関誌『Japanese Journal of Archaeology』は第2号を予定しているとの説明があった。議長は質問を受けたが質疑はなく、決議に入り拍手をもって原案どおり可決した。
松尾理事から2つの機関から応募があり、奈良大学図書館に内定した選定基準について説明があった。一つは、協会図書受入業務の継続性に関わる組織対応力が充実している。二つ目は、受入態勢がより充実しており、協会図書の保存・管理・活用に優れているという点。三つ目は、遠隔地貸出やコピーサービスにおいて、日本考古学協会員・研究者等にとって、図書館相互利用ネットワークによる利用の利便性が高いという評価の説明があった。議長は質問を受けたが、質問はなく直ちに決議に入り、拍手多数により、審議〈4〉は原案どおり可決した。
大工原理事から資料に沿って説明があり、収入は当期の収入46,268,000円と繰越金の4,020,175円を合わせた50,288,175円の予算案となり、前年度比788,328円の減額との説明があった。支出では、職員の定期昇給により597,260円増と協会図書発送に係る外注費で186,000円増案となり、旅費交通費は英文機関誌で約1,100,000円が減額、通信運搬費は748,000円減額との案を示した。特別会計報告(東日本大震災募金)は475,637円の予算案が提示された。議長から質問を受けたが、質疑はなく直ちに決議に入り、拍手多数で原案どおり可決した。
続いて、議長から審議〈2〉「定款等の改正について」、及び審議〈3〉「定款・規則における軽微な変更に関する委任について」について、理事会に説明を求めた。
髙倉副会長から今回の総会は定款改正が重要案件であるが、定款改正には総正会員の3分の2の出席ないしは委任状が必要である。現在、委任状の点検作業をしているので、この審議事項は明日の午後0時10分からこの会場で、継続審議としてお願いしたいとの説明があった。また、議案「定款・規則における軽微な変更に関する委任について」も合わせて、明日審議したいとの提案があった。議長は直ちに、審議事項の〈2〉、〈3〉は継続審議とすることを諮り、拍手で承認された。
議長から「その他」についての発言があり、谷口榮理事から総会声明の発議があり、議長がこれを認め説明を求めた。谷口理事から、声明は田中良之会長名で、文部科学大臣並びに中央教育審議会会長あてに提出するとして、全文を読み上げた。考古学の成果が歴史学習に活用され、子どもたちが我が国の歴史や先人の知恵を学び、より良い未来に向けてたくましく育ってくれることを願っていると結んだ。議長は直ちに、質問を求め質疑に入った。
神奈川県の北條芳隆会員から声明案について、前・中期旧石器問題との関連についての質問があった。谷口理事から、当然ねつ造事件を踏まえて検討を加えており、また、学習指導要領の改訂に対する声明は今回初めてではなく、2006年、2008年に出しており、今回もこの流れの中で位置づけていると説明があった。これに対して、北條会員から継続的であれば、文案の一部修正を要望したいとの発言があり、趣旨を再確認するということで賛成したいとの提案があった。谷口理事から理事会でも文案を練ってきた経過があり、修正検討も含めて今後につなげていくと回答した。ここで議長が質疑をまとめ、決議に入り、拍手多数で総会声明とした声明案は承認された。
次に田中理事から、昨年度の五十嵐彰会員からの要望について経過報告があった。理事会としては、同会員との面談内容を検討し、情報収集を含めた勉強会を2014年度に発足して対応するとの報告があった。
次に会員からの要望として、東京都の石川日出志会員から発議があり議長が了承した。要望は協会図書寄贈先が奈良大学図書館に決定し、寄贈する協会図書がより一層充実したものになるよう協力願いたいとのこと。また、イギリスのセインズベリー日本文化研究所と連携を深めるために協力を願いたいとの提案があった。
ここで議長は、「その他」を打ち切り、議事は終了し、〈2〉〈3〉を継続審議とし、翌5月18日(日)午後0時10分から継続審議を再開すると発言して休会した。(午後1時00分)
司会の藤田理事から第80回日本考古学協会総会の継続審議の議事にあたり、出席者数についての説明があり、継続総会での総会員数は、昨日の新入会員を算入して4,230名とし、委任状の点検作業の結果、本日の出席者は3,041名で、総会運営規則第4条が定める定款改正に必要な3分の2を超えており、本日の議事は成立することが報告された。
議長から、審議事項〈2〉定款等の改正について、〈3〉定款・規則における軽微な変更に関する委任について、理事会に説明を求めた。
髙倉副会長から定款改正案については、会報No.180及びNo.181に改正案全文を掲載して会員への理解を求めたことの説明があり、総会資料の新旧対照表に沿って主な改正箇所について説明に入った。
規則制定では、現行の12件の規定、入会審査規則、会費規則、総会運営規則、理事選挙規則、理事会運営規則、常置委員会及び小委員会設置規則、旅費規則、会計処理規則の8規則を統廃合し、一般社団法人日本考古学協会規則として制定した。また、現行の埋蔵文化財保護対策委員会規則は常置委員会規則で包括するため、埋蔵文化財保護対策委員会施行規定に変更するとの説明があった。
議長は、審議事項〈3〉についても関連事項として説明を求め、軽微な訂正の範囲を示して説明を終了した。
議長から一括審議とした、審議事項〈2〉〈3〉についての質問を求めたところ、埼玉県の青木義脩会員から、規則の制定に伴い、附則に、廃止する規則の名称を記載する必要があるとの提案があった。髙倉副会長から規則制定に伴い附則で8規則の廃止を明記する回答があった。質問はなく、議長は決議に入り、拍手多数で原案どおり可決された。
以上をもって、継続審議の議事は終了し、17日、18日の両日にわたって行われた第80回総会はすべて終了した。(午後0時35分)