熊本城・元太鼓櫓、発災後3年目の倒壊

理事の杉井です。

記事を更新しよう、しようと思いながら、2ヶ月が経ってしまいました。

そうこうしている間に、6月18日の朝7時58分、大阪府北部で最大震度6弱の地震が発生、尊い人命が失われ、多数の家屋、ライフラインに被害がありました。
多くの文化財にも被害が及んでいるようです。

 

その翌日、19日の午後、熊本は大雨でした。
私はそんななか、八代市の有佐大塚古墳の発掘調査現場を見学させていただきましたが、その帰りの道中、車の運転が困難なほどの雨に襲われました。

そうした大雨が直接の引き金になったのでしょう。
2年前の熊本地震ですでに傾いていた熊本城の元太鼓櫓が、20日の午後、倒壊しました。

元太鼓櫓は、2003年12月に復元された建物で、熊本城の二の丸広場から天守閣に向かう通路右手にありました。熊本地震後は、崩壊した石垣、傾いた建物のため、通路は通行禁止となっていました。

私は、元太鼓櫓の倒壊を夜のニュースで知ったのですが、被災古墳の復旧に関わっているものとして、とても人ごとには思えませんでした。

積み石が割れたり落ちたりし、また壁面が孕んでいると思われる石室に入って、被災状況の確認を行ったりしていますが、そうした石室もいつ崩れるかわからない、、、

また、修復をしたとしても、それで本当に安全だといえるのか。

地震で被災していなくても、古墳の石室には身の危険を覚えるようなものもありますから、今回の地震で被災した石室を、どの程度まで修復すれば安全が保証できるのか。
そもそも、安全を保証してもよいのか。

そんなことを、痛感させられた元太鼓櫓の倒壊でした。

ようやく今日の朝、熊本県での会議の前に元太鼓櫓の様子を見に行くことができました。
文化財を安全に守り、公開していくことは大変に難しい。
そう思いながら、倒壊した櫓をながめていました。

倒壊する前の熊本城・元太鼓櫓
(2018年5月13日撮影)

2018年6月20日に倒壊した熊本城・元太鼓櫓
(2018年6月27日撮影)