日仏会館・フランス国立日本研究センターは、考古学と文化財にまつわる言説や実践と歴史に関する日仏プロジェクトを企画しており、その一環として2013年の秋から<日仏における考古学と埋蔵文化財>関連の講演会シリーズを予定しています。 このシリーズは2013年6月の初回を予備講演とし、プロジェクト全体の理論的な枠組みや、欧州と日本の考古学における「考古学のモノと言葉」(すなわち科学とイデオロギー)について論じます。その後3ヶ月おきに講演会を行い、その度に、考古学、その歴史、考古学という分野の構造、または昔や現在の考古学の目的、グローバリゼーションと国民アイデンティティの再構築が促進されつつある現在において考古学がどのような難問に直面しているかなど、明確な課題についてフランスと日本の専門家たちが交流し、対話できる空間を提供することを目的としています。
第一回講演会「日仏における考古学の言葉と物」2013年6月21日(金)18:30〜20:30 #終了
2014年の春に、フランス側から国立考古学緊急調査研究所INRAP代表、日本側からは文化庁の禰宜田佳男教授(文化庁)を招き、地震などの災害が起きた際、フランスと日本(特に阪神淡路大震災や東日本大震災以降)では、どのように文化財を保護しようとしているかについて話をいただく。
2014年の夏に、19世紀以降出来上った科学考古学の形成について、フランス文化省文化財部署Noel Coye氏、日本側は日本大学の坂野徹教授に話をいただく。フランスと日本では、考古学はどのような課題を研究対象にして形成されてきたか。考古学はどのように大学や博物館という枠組みの中で組織化し、制度化されてきたのか。先史時代、原史時代を研究するこの比較的新しい社会人文科学である考古学の誕生を問う。
「日仏における文化財・考古学・国民アイデンティティ」(仮題)
共催 (公財)日仏会館、日仏会館フランス事務所
後援 日仏美術学会、日本考古学協会、日本遺跡学会、NGO・日本イコモス国内委員会
「考古学の形成とその課題」
科学的考古学の誕生を考察すべく、「考古学的意識」の形成に大変重要な役割を果たしてきた「時間の深さに対する認識」について論じ、また文化財政策おける美術史の役割についても論じる。
「原史時代における政治的権力の形成と、ヨーロッパやアジアの周辺地域における初期型国家の形成という課題と現状」
初期国家の「誕生」や「国家論」を扱った学術書が数多く存在する背景に配慮しながら、先史時代、原始時代における政治的権力の形成と変遷について論じる。
「過去と現在のフランスと日本における、考古学、権力、エスニシティー」
原始時代とその扱い方、付与される意味について論じる。
「考古学と天皇陵:古墳と陵墓」
欧州ではあまり知られていない、日本原始時代の巨大な墓である古墳を総合的に扱い、天皇との関係について論じる。
「グローバリゼーションと地域分権化の中の考古学と文化財」
考古学と文化財が現在、いかなる新たな難問に直面し、どのように対応しているかについて論じる。