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高松塚古墳シンポジウム
石室解体レポート

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プログラム


(ちらしから転載)

 高松塚古墳の石室解体作業が平成19年に行われました。石室の石材ごと壁画を取り出すという、我が国の文化財保存の歴史の中でも前例のないもので、作業は大変困難を伴いましたが、安全かつ着実に進められ、壁画を損傷することなく、石材を仮設修理施設へ無事に搬入することができました。
 この事業の成功は、考古学、保存科学、生物科学など様々な専門家の英知と、作業に当たった技術者の工夫と努力、そして、それらの運携によって達成されたものです。
本シンポジウムでは、発掘調査、解体作業、カビ等の生物被害対応、修理の状況など、一連の作業報告をそれぞれの担当者から行うとともに、この経験を生かしたう後の文化財保存の在り方を討議します。

高松塚古墳とは

 7世紀末から8世紀初めに造られ、石室内部に星宿図、日目像、四神図、人物群像(女子群像、男子群像)が描かれた奈艮県明日香村にある壁画古墳です。
 昭和47年に古墳内の石室に壁画が描かれていることが分かり、極彩色の貴重な壁画として昭和49年に国宝に指定されました。このような漆喰(しっくい)の上に多数の色彩で四神図等が描かれている古墳壁画は、国内では高松塚古墳壁画とキトラ古墳壁画の2つが発見されています、

解体までの経緯

 高松塚古墳壁画については、点検・保存・修理のための施設を設置して、現地で保存対策を講じてぎました。しかし、石室内は、一時安定期はあったものの度重なるカビの被害が生じて、漆喰などの劣化が進みました。
 さらに、平成15年に西壁の白虎の薄れなど壁画の劣化が指摘され、従来の保存方針が改めて問われることとなりました。これを受け、保存科学、考古学、美術史学など多くの分野の専門家により、保存対策の検討が進められました。
 その結果、石室内でカビ・ムシなどによる食物連鎖を呈する状況になっていることが判明し、それまでの現地で保存するという方針を維持することは困難という結論に至り、複数の保存方策の中から、石室こと壁画を取り出して解体修理を行う方策が採られました。