機関誌『日本考古学』第39号

キーワード

• 対象時代　アジア太平洋戦争末期
• 対象地域　高知県
• 研究対象　海軍航空隊、掩体、耐弾通信所跡

pp.113--124

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書評

高田貫太著『古墳時代の日朝関係−新羅・百済・大加耶と倭の交渉史−』

土生田　純之

　本書は序章（古墳時代における日朝関係史研究の現状と課題）以下、第１章 古墳出土朝鮮半島系文物の基礎的整理、第２章 朝鮮半島勢力による対倭交渉の動向、第３章 倭の対朝鮮半島交渉の様態と性格、第４章 地域集団による対朝鮮半島交渉の様相、終章 日朝関係史像の再構築とその意義、の諸章からなる。章立てをみても明らかなように、著者は従来大多数の研究にみられた日本列島あるいは朝鮮半島からの一方向的な視座ではなく、双方向からの分析を試みる。さらに畿内つまり「中央」のみの動向に基づいた分析に陥ることを避け、各地の主体的な動向にも注意を向けている。そのことによって、畿内のみならず様々な条件のもとに対朝鮮半島交渉の具体相が決定される過程を浮き彫りにしようとした意欲的研究である。

pp.125--130

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書評

諫早直人著『東北アジアにおける騎馬文化の考古学的研究』

桃�ｱ祐輔

　江上波夫氏の「騎馬民族征服王朝説」では、騎馬文化到来の契機を朝鮮半島からの「騎馬民族」の侵略に求めた（江上1967）の対し、反論した小林行雄・小野山節氏は、「大和政権」の朝鮮半島における軍事活動に契機を求めた（小林1951、小野山1959・1966）。しかしいずれも、朝鮮半島で展開した騎馬文化に対する深い理解を欠いていた点で共通し、問題は、その後資料が蓄積しても、中国東北部や朝鮮半島の騎馬文化と、いったい何が共通して、何が違うのか、という本質的議論へと発展しなかった点にあるとする。馬の存在しなかった日本列島に突然、馬と騎馬の風習が伝来したこと自体は否定しようのない事実であり、この騎馬文化は、大陸のどの地域との、どのような関係にもとづいてもたらされ、いかにして日本列島の広範な地域に広がっていったのであろうかと問題提起する。

pp.131--138

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書評

松本太郎著『東国の土器と官衙遺跡』

高橋照彦

　古代土器研究では、宮都を中心とする畿内とともに、東国は研究の長い歴史と厚みがある。畿内では、関東などと比べ、木簡のような出土文字資料や文献史料との比較をもとに、暦年代観の定点を定めることのできる事例が少なくないのは利点である。しかし、製品の産地同定の側面からすると、畿内周辺の供膳具においては地域差が必ずしも大きくなく、その点の細かな追究が難しい。それに対して、関東では地域差も顕著であり、これまでから地域ごとの土器変化も追求されているため、流通・消費様相を詳細に復元できる可能性がある。

　また、東国では畿内に比べて国府などの官衙遺跡の調査が進んでおり、それらの遺跡からの出土土器資料がかなり豊富である地域も多い。このような地域的な土器の特質や遺跡の調査状況をふまえると、本書が対象とする東国の土器研究は、当該期の日本列島全体を考える上でも、非常に貴重なケーススタディとなりうるものである。

pp.139--144

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