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埋文委ニュース第49号

2006.6 日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会

埋文委・全国委員会・・・・・・・2006.5.26

 本年度の日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会全国委員会は、日本考古学協会第72回総会の前日に、東京学芸大学自然科学系研究棟N201講義室を会場として、全国委員44名の参加を得て開催された。

 冒頭に近藤英夫委員長から挨拶があり、かながわ考古学財団の解散問題に見られるように、埋蔵文化財保護の全体の構造にかかわる大きな問題が生じつつあり、遺跡保護の理念を再認識する時期にあること、関西・四国に続いて、北海道・東北、関東甲信越静の各連絡会が立ち上がろうとしており、地域実情を踏まえたより綿密な埋文委の活動の推進が期待されることなどが述べられた。その後、議長団に矢島國雄・舘野孝委員、書記に奥野麦生・柳戸信吾委員を各々選出し、報告・協議事項の審議に入った。

1)2005年度の埋文委活動報告

 川島雅人事務局次長から昨年度の埋文委の活動として、全国委員会、幹事会、保存要望書とその回答、声明文、夏期研修会、情報交換会、文化庁との懇談会等が報告された。続いて、近藤委員長から(財)古代学協会への要望書提出についての経緯と考え方、大竹幸恵担当理事から日本考古学協会第1回「公開講座」の開催結果と今後の見通し、特別史跡高松塚古墳の保存問題についての経過について報告された。また、近藤委員長が『第3次埋蔵文化財白書』刊行に関わる問題の総括についてまとめた。

2)役員の改選について

 出席した委員から、現行の日程では新全国委員が確定していない段階で役員を選出することになる、という点が指摘されたため、ここでは規定にしたがい協会員の中から委員長候補として近藤英夫委員を推薦することとした。副委員長および事務局体制については新全国委員確定後に選任することで合意し、その選出を近藤委員長に一任した。6月に新体制は公示される予定である。

3)検討・協議事項

 松本富雄事務局次長から全国委員を対象にした「埋蔵文化財保護をとりまく2005年度の状況調査」の集計結果とそれを巡る諸問題について報告された。市町村合併や地方分権をめぐる諸問題、行政外郭調査組織や民間調査機関に関する動向等多岐にわたり各地域の実情が報告されており、未提出の委員からの調査票を受け取った後、最終結果を集約した上で各委員に配布するとともに、議論を進める上での素材とすることとした。

4)報告事項

〔1〕各地からの報告

 富山直人・鈴木重治委員から関西連絡会の動向として、兵庫県芦屋市大坂城採石場跡、和歌山県根来寺坊院跡遺跡、三重県久留倍遺跡、平城宮(京)跡等の保存問題について報告があった。
 吉田広委員から四国連絡会の動向として、高知県南国市高知大学構内の戦争遺跡、高知県四万十市坂本遺跡、高知県高知市の高知城の史跡指定地外で発見された堀と石垣の保存問題、徳島県立鳥居記念館の閉館に関する問題等について報告があった。
 また、七原惠史委員から愛知県瀬戸市瀬戸環状東部線予定地の埋蔵文化財保存について報告された。

〔2〕埋文委地域連絡会の動向

 全国委員会開催前に連絡会立ち上げについての意見交換会を開催した結果、北海道・東北ブロックは、本日より連絡会を立ち上げることとし、関東甲信越静ブロックは、設立準備会という形で1年間活動することとしたことが報告された。