本年度の日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会全国委員会は、第73回総会の前日に、明治大学リバティタワー15階1153教室を会場として、全国委員48名の参加を得て開催された。
冒頭に近藤英夫委員長から挨拶があり、まず今回のアンケート調査協力への感謝が述べられた。次いで状況調査の結果に触れ、若い人たちの活躍する場を設けるための仕組みづくりが充分でない現状や、地方分権の中で文化財の保護と活用が、ややもすると後退している等、取り組むべき課題は多いことが指摘された。こうした諸課題について、委員各位の経験・体験を集約することを通して、行政などに向けての学会としての発言力を強化していかなくてはならないと述べられた。その後、議長団に舘野孝委員、富山直人委員、松崎元樹委員、書記に奥野麦生委員、北澤滋委員を各々選出し、報告・協議事項の審議に入った。
川島雅人事務局次長から昨年度の活動として、全国委員会・幹事会・保存要望書とその回答、夏季研修会、情報交換会、文化庁との意見交換会等が報告され、次いで2006年度決算と2007年度予算案について概要説明が行われた。松崎元樹委員からは、第2回『公開講座』の開催結果と今後の方向性について、松本富雄事務局次長からは愛媛大会のポスターセッションの報告と、第73回総会では、今回のアンケート結果をもとに、ポスターセッションを実施する旨の報告があった。
柳戸信吾委員から、全国委員に依頼した「2006年度埋蔵文化財保護をとりまく状況」として、埋蔵文化財の保存、調査体制等の標準化、地方行政、行政外郭調査組織等、民間調査機関の導入、大学等の研究や調査機関、博物館や資料館等、災害時の埋蔵文化財の取り扱いに関する集計結果が報告された。次に各地の委員からの事例報告があった。「秋田県の埋蔵文化財の保存状況」(吉川耕太郎委員)、「静岡県の調査体制等についての標準化について」(池谷信之委員)、「福島県の地方行政の動向について」(横須賀倫達委員)、「神奈川県考古財団の問題について」(馬淵和雄委員)、「千葉県・新潟県の民間調査機関の導入について」(北澤滋委員・田中耕作委員)。
近藤委員長から、有限責任中間法人化に伴って各規則・規定の整備につき理事会で検討が行われていることの報告があった。(各規則・規定の改正案は第73回総会に諮られることとなっている)。
富山直人委員から、関西連絡会の動向として高松塚古墳・平城京1300年祭・大阪堺市のマンション建設問題・大阪府高槻市闘鶏山古墳等の保存問題についての報告があった。
吉田広委員・松田直則委員から、四国連絡会の動向として高知城の保存問題、愛媛大会のポスターセッションの取り組み、世界遺産の動き、徳島県立鳥居龍造記念館の動向、さぬき市津田古墳群の保存についての報告があった。
藤沢敦委員から、北海道・東北連絡会の動向として、アンケート結果報告並びに仙台市の与兵衛沼窯跡の保存問題について報告がなされた。同窯跡については、本日午前に現地視察を行った酒井清治委員からの報告があり、保存要望書の提出をする方向で検討に入ることが確認された。
大竹憲昭委員から、3月10日に関東甲信越静連絡会が正式に設立されたことを受け、今年度の活動予定について報告があった。
平口哲夫委員から、石川県能登半島沖地震についての状況報告があった。