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2012.12

埋文委ニュース 第63号

日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会

埋文委・情報交換会**********2012.10.21

 埋蔵文化財保護対策委員会では2012年度福岡大会にあわせて、10月21日(日)午後1時30分から西南学院大学1号館201教室において、20名の参加者を得て11回目となる情報交換会を開催した。進行役は松崎元樹事務局長が務め、藤野次史副委員長の挨拶の後、基調報告および埋蔵文化財保護をめぐる各地の状況等について活発な意見交換が行われた。

◇ 基調報告「福岡県の埋蔵文化財保護行政の現状と課題」

 宮地聡一郎氏(福岡県教育委員会文化財保護課)より、以下の内容について報告された。

 市町村の専門職員配置率は高いものの、業務が担当者に集中する傾向に加え、職員の高齢化が懸念材料であるが、県の地域担当が調整に当たるほか、近隣市町村との連携を強化することで対応していること、担当組織が教育委員会から首長部局に移る市町村が増えつつあるが、メリット・デメリットの両面があり、動向を注視していることが述べられた。また、民間調査組織については自治体の責務による調査が基本であり、導入に際しては適切に監理することとしているが、現在実態としてはない。出土品の取り扱いに関しては、特段の問題は生じていない。史跡等については、重点5地域を中心に、県と市町村が連携し、指定および範囲拡大について国と調整を行っている。なかでも津屋崎古墳群および宗像・沖ノ島関連遺産群では、世界遺産化に向けて動いており、一方で炭鉱跡等、近代化遺産群の調査・検討も始まっている。文化財の活用状況については、速報展など複数の市町村が連携して大規模なイベントを実施する傾向にあり、その相乗効果も高いとされた。

1 埋蔵文化財をめぐる昨今の状況

 九州各地の状況を中心に報告が行われた。岸本圭委員から、東九州道の調査終了に伴う事業内容転換の必要性について、村川逸朗委員からは、長崎県の状況として、新幹線長崎ルート建設に伴う調査を5年間で行わざるを得ず、適切な監理体制を整備したうえで民間導入もやむを得ないことが報告された。さらに、下村智・坪根伸也の両委員からは、大分県でも民間導入が進んでいるが、職員が調査現場に常駐するなどの厳格な監理体制を行っていることが報告された。

2 各地からの報告

 関西連絡会の佐藤聖亜委員より、和歌山県根来寺、平城京、兵庫城石垣の現状が報告された。四国連絡会の吉田広委員から、松山市河野氏当主館跡想定地が包蔵地として未指定のために、未調査のまま開発されたこと、岡山真知子委員からは徳島県美馬市拝原遺跡の現状が報告された。北海道・東北連絡会の藤沢敦委員からは、被災文化財等に係る動向、復興事業に伴う調査等について書面による状況の報告が行われた。

3 その他

 藤野委員から、広島県鞆の浦では、県の方針転換により埋め立て工事が回避されたが、福山市は受け入れを拒否、今後の状況を注視する必要があると報告された。また、古賀信幸委員より、山口県岩国市中津居館跡が再開発に伴い、調査されることが報告された。その他、事務局からは、静岡県沼津市高尾山古墳に係る保存要望書について、沼津市長選後に提出することが報告された。

(小笠原記)