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日考協 第3号
2008年4月4日
大阪府知事       橋下  徹 様
大阪府教育委員会教育長 綛山 哲男 様
有限責任中間法人日本考古学協会理事会
代表理事・会長    西谷  正

大阪府の博物館施設「見直し」に対する要望書

 大阪府では、財政再建のために、各種府立施設の廃止・売却を含めた「見直し」が行われています。これには、わが国の古代史の理解に欠くことのできない弥生文化博物館、近つ飛鳥博物館、泉北考古資料館の他、土地開発史という視点から建設された他に例のないユニークな狭山池博物館などの博物館もその対象に含まれております。

 大阪は我が国の歴史上重要な役割を果たしてきた地域で、数多くの貴重な歴史・文化遺産が遺されており、それが大阪府にとってかけがえのない財産ともなっています。上述の博物館は、そのことを具体的に示す池上・曽根遺跡、葉室一須賀古墳群、陶邑古窯跡群、狭山池などの史跡と深い関連をもって設立され、個々に独自性をもった歴史・文化遺産の展示・公開施設として、その活動は全国的にも注目されるとともに、高く評価されております。また、学校教育や生涯学習の場として多くの府民に親しまれ、広く活用されてきております。

 博物館は、経済的な側面のみでは評価し得ない、人類共有の歴史的・文化的遺産を次の世代に継承していくという重要な役割を担っています。この度、大阪府が財政事情という現実面を重視するあまり、これまで果たしてきた府立博物館施設の重要性を十分に認識することなく「見直し」を進めようとしていることは、その本質的な意味を無視したあまりにも短絡的な行為と言わざるを得ません。また、博物館施設の本質的な意味を無視し、文化施設や文化事業を切り捨てるようなこうした方向性が、大阪府に留まらず、全国的に波及していく恐れも危惧されます。

 以上のような観点から、日本考古学協会理事会は今回の博物館施設「見直し」に反対し、大阪府に対して以下のように要望いたします。

  1. 大阪府の博物館施設がこれまで果たしてきた役割を十分に評価し、今後も行政としての責任をもって運営にあたること。
  2. 大阪府の博物館がもつ個性や魅力を、さらに発展させて広く普及させるべき中・長期的な文化施策を早急に確立させること。