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日考協 第85号
2009年12月12日
内閣総理大臣    鳩山由紀夫 様
内閣府特命担当大臣 菅  直人 様
内閣府特命担当大臣 仙谷 由人 様
内閣官房長官    平野 博文 様
文部科学大臣    川端 達夫 様
一般社団法人日本考古学協会理事会
代表理事・会長  菊池 徹夫

人文・社会科学系学術研究推進のための財政的支援をもとめる理事会声明

 行政刷新会議の「事業仕分け」によって、学術関連予算の多くの項目に対して、縮減や延期といった評価が下されております。特に「競争的資金(若手研究育成)」では、かなり厳しい「予算要求の縮減」評価が行われました。そもそも人文・社会科学の分野では、研究成果はすぐに現れる性格のものではなく、短期的成果主義という評価基準にはなじみません。また女性研究者支援システムや国立大学運営交付金、グローバルCOE等の大学の先端的な取り組み、大学等奨学金などに対する「見直し」や「予算要求の縮減」は、現状においても不足している人文・社会科学分野に対する財政支援をさらにいっそう削減することを意味しております。このことは、現在かろうじて維持されている大学等の教育・研究制度を根幹から突き崩すことにつながります。

 考古学の分野は、国民共有の財産である文化財の学術研究や生涯教育・行政等を通じて、広く国民がその歴史と文化に対し、より理解を深めるよう力を注いできました。若手研究者に対する研究支援や、人文・社会科学の教育研究基盤に対する財政支援を縮減することにより考古学研究自体のエネルギーと魅力が失われれば、学術研究の成果に響くのはもちろん、これを志し、あるいは将来の文化財行政を目指そうとする優秀な人材を喪失することにつながります。是非とも中・長期的視野に立った科学・学術研究推進のための財政的支援を強く要望いたします。

以上