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埋文委 第2号
2006年10月10日

文化庁長官 河合隼雄様

有限責任中間法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 近藤英夫

財団法人かながわ考古学財団廃止の方針に係る要望について

 標記の件について、神奈川県知事他に別添書類を提出いたしました。貴殿におかれましても、その対策を速やかに講ぜられることを要望いたします。
 なお、当件の具体的な措置、対策については11月10日(金)までに、ご回答をくださるようお願いいたします。

一、別添書類 一通

以上


埋文委 第2号
2006年10月10日
神奈川県知事  松沢成文様
神奈川県教育長 引地孝一様
(財)かながわ考古学財団理事長 熊田節郎様
有限責任中間法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 近藤英夫

財団法人かながわ考古学財団廃止の方針に係る要望について

 標記の件について、別添書類の如く、貴殿において、その対策を速やかに講ぜられることを要望いたします。
 なお、当件の具体的な措置、対策については11月10日(金)までに、ご回答をくださるようお願いいたします。

一、別添書類 一通

以上


埋文委 第2号
2006年10月10日
文化庁長官          河合隼雄様
神奈川県知事         松沢成文様
神奈川県教育長        引地孝一様
(財)かながわ考古学財団理事長 熊田節郎様
有限責任中間法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 近藤英夫

財団法人かながわ考古学財団廃止の方針に係る要望書

 2005年11月、神奈川県は「今後のあり方を踏まえた県主導第三セクターの見直しについて」の発表を行いました。神奈川県の埋蔵文化財保護行政上、長年にわたって重要な役割を果たしてきた財団法人かながわ考古学財団(以下、考古学財団)もその対象に入っており、2010年度末を目途に「第三セクター以外の法人を目指す」という方針が提示されました。

 今回の方針は、神奈川県の財政的要因に端を発し、コスト縮減という大義名分のもと、民間活力の導入、さらには競争原理を保障するという観点からなされたものと思量いたします。しかしながら、発表から約1年を経た現在でも、考古学財団の運営を県から切り離すことが公表されているだけで、方針決定に至る経緯や、埋蔵文化財保護に係る今後の方向性についても、何ら明示されないままとなっております。

 埋蔵文化財の保護は、調査・研究、収蔵・保管、普及・活用の三位一体を基本理念として、国民共有の財産である埋蔵文化財に対し、各自治体が行政的な責任を担い取り組むべきものと考えられます。全国の公益法人も、この基本理念を具現化するために設立・運営されてきており、地方分権以降、各自治体ごとに温度差が表出しつつある現状においても、その原則は何ら変質するものではなく、堅持されるべきものであります。

 考古学財団も他の公益法人と同様に、埋蔵文化財の調査・研究、収蔵・保管、普及・活用に対し自治体が責任を持つ機関として設立・運営されてきた経緯があります。提示された方針通りに、第三セクター以外の法人化がなされた場合には、従前のような一貫した埋蔵文化財保護行政が執行できなくなることが懸念されます。これまで考古学財団が県内で果たしてきた役割を考えると、これに替わる代替機関は存在せず、今後も埋蔵文化財保護行政を円滑に推進・発展させるためには、県としてこれを有効に活用することこそが最善策と考えます。

 今回提示されている埋蔵文化財保護行政上の大きな方向転換は、埋蔵文化財保護の基本理念を放棄し、保護行政から処理行政へと転落させる危険性を孕んでいるものと捉えられます。したがって、この問題は、ひとり神奈川県に留まるものではなく、長年にわたり築き上げてきた我が国の埋蔵文化財保護行政を根幹から揺るがすものとして、到底容認できるものではありません。

 以上のことから、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、神奈川県における埋蔵文化財保護に関する将来的な展望について責任ある回答を求めるとともに、考古学財団の「第三セクター以外の法人を目指す」という方針についての抜本的な見直しを求めるものです。

以上