文化庁長官 近藤 誠一様 沖縄県知事 仲井眞 弘多様 沖縄県教育長 金武 正八郎様 石垣市長 中山 義隆様 石垣市教育長 玉津 博克様様
標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容をもつものでありますので、貴殿において、適切な保存が実施されますよう要望いたします。
なお、当件に係る具体的な措置、保存対策の内容等については、然るべき時期にご回答をくださるようお願いいたします。
一、別添書類 一通
文化庁長官 近藤 誠一様 沖縄県知事 仲井眞 弘多様 沖縄県教育長 金武 正八郎様 石垣市長 中山 義隆様 石垣市教育長 玉津 博克様様
沖縄県が2013年に開港を予定して、現在、整備を進めている新石垣空港予定地内において白保竿根田原洞穴遺跡が2007年に発見されました。本遺跡からは、これまでに、化石ホールと呼ばれる場所を中心に動物骨や人骨などが検出されており、とくに、人骨片に関しては放射性炭素による年代測定分析により、数点が約2万年前の旧石器時代に属するものとする測定結果が得られています。これらの調査・分析結果から本遺跡が琉球列島のみならず、広く日本列島全域や東アジア地域における旧石器文化を考える上でも、きわめて重要な学術的価値を有していることが判明しています。
最近の報道に拠れば、有識者等により構成される「石垣島白保竿根田原洞穴総合発掘調査委員会」での検討を踏まえて、調査区域の大部分が現状保存される方向であり、石器時代遺物を包含する土層についても、ほぼ手つかずの状態で保存される可能性があります。当委員会としましては、今般、遺跡の現状保存を視野に入れた学術調査が実施されたことに対して、埋蔵文化財保護に係る関係者ならびに関係諸機関のご尽力に敬意を表するものであります。
今後とも、白保竿根田原洞穴遺跡の調査成果に対しては、考古学・人類学的研究はいうまでもなく、地質学、動物学および地理学などの学際的分野からの幅広いアプローチが不可欠と考えられます。
そのためにも、将来に向けての本遺跡の保護と活用のあり方について、史跡指定なども視野に入れた包括的な検討が行われ、適切な対策が講じられるよう要望する次第です。