標記の件につきましては、先般提出しました2011年8月3日付埋文委第2号に対するご回答をいただきましたこと、あらためて御礼申し上げます。
当日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会といたしましては、和歌山県教育長ならびに県議会議長からのご回答の内容に関して検討を重ねてまいりました。その結果、別添書類の如く、「一乗閣(旧県会議事堂)」の移築計画を見直していただき、根来寺遺跡の保護・活用と歴史的環境の保護・保全対策を速やかに講ぜられますよう再度要望いたします。
なお、恐縮ですが、当件の具体的な措置等については2月24日(金)までに、ご回答を下さるようお願いいたします。
一、別添書類 一通
和歌山県根来市所在の根来寺遺跡については、日本を代表する中世遺跡の一つとして広く周知されており、かつ計り知れない学術的価値を有しております。本委員会におきましても、2004年に大湯屋遺構・坊院遺構の保存・整備に係る要望書提出を行うなど、本遺跡の保存と活用について強い関心を持っております。
2011年6月に公開された旧県会議事堂(一乗閣)移築予定地の発掘調査では、石階や井戸、地下式倉庫などの重要な遺構が検出され、当該地区が戦国期根来寺坊院群の一角を占めていたことが明らかになりました。本委員会では検出された遺構の重要性に鑑み、2011年8月3日付け埋文委第2号において遺構の保存ならびに追加調査に関わる要望書を提出し、和歌山県教育委員会より平成23年8月26日付け文第382号にて回答をいただいたところです。
本回答では、移転予定地での追加調査は行わない。検出された遺構群の評価は、報告書の作成に際して行う(項目1)、移転は予定通り行う。遺構の保全は基本設計の中で行う(項目2)、史跡の追加指定に関する具申は行わない、根来寺遺跡の整備と活用は岩出市が着手している史跡根来寺境内保存管理計画策定事業において岩出市と共に策定する(項目3)、とあります。
今回検出された遺構群、さらに根来寺遺跡全体の性格や重要性を上記回答内容と対置・検討した結果として、本委員会では改めて下記の要望を行います。