標記の件について、2012年2月2日付埋文委第6号におきまして、旧和歌山県会議事堂である一乗閣移築予定地内で検出された坊院遺構の保存と活用に係る再要望を提出いたしましたが、これに対するご回答を未だに頂戴いたしておりません。
日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会といたしましては、遺跡の重要性に鑑みて、別添書類の如く、国史跡である根来寺遺跡の保護・活用と歴史的環境の保護・保全対策を速やかに講ぜられますよう改めて要望いたします。
なお、恐縮ですが、当件の具体的な措置等については2月15日(金)までに、ご回答を下さるようお願いいたします。
一、別添書類 一通
2011年に一乗閣移転予定地において実施された根来寺遺跡の発掘調査については、石階や井戸、石組排水溝、地下式倉庫など、戦国時代の根来寺に関わる遺構が多数検出されています。これらの遺構は、調査地が根来寺寺域内への西側の導線に位置する点を勘案した場合、非常に重要な意味を持つと考えられます。
また、隣接する大規模農道の調査では、根来寺の子院に関わる遺構が三段の造成面から検出されており、調査地周辺には根来寺関係の遺構が稠密に遺存する可能性が強いものといえます。なお、この点は和歌山県文化財センターが「遺構の残存は想定できない」とした蓮華谷川西の丘陵上も同様であり(試掘Aトレンチ配置部分)、当委員会では当該部分についても地下遺構が存在する可能性があるという認識を有しております。
こうした状況に鑑み、当委員会では2011年8月3日付け埋文委第2号で検出遺構の保存措置などに関わる要望書を提出し、同年8月26日付け文第382号で和歌山県教育委員会よりご回答いただいたところです。
当委員会では回答文書の内容を検討した上で、2012年2月2日付け埋文委第6号で再度要望書を提出し、一乗閣移転の中止、もしくは地下遺構保全の具体的方法等についての回答を要望いたしましたが、2013年1月26日現在、未だ貴委員会からの文書でのご回答をいただいておりません。
この間、昨年6月には当委員会による現地視察および面談が実施され、発掘調査報告書も刊行されました。当委員会では、それらの検討結果を踏まえ、埋蔵文化財保護の理念から改めて以下の要望を行います。
本件につき、貴委員会からの誠意あるご回答をお願い申し上げます。