埋文委 第5号
2014年10月28日
文化庁長官 青柳 正規 様
千葉県知事 森田 健作 様
千葉県教育長 瀧本 寛 様
船橋市長 松戸 徹 様
船橋市教育長 松本 文化 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 矢島 國雄
標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容をもつものでありますので、貴殿において、保存に関する対策を早急に講ぜられることを要望いたします。
なお、当件の具体的な措置および対策については11月7日(金)までに、ご回答を下さるようお願いいたします。
以上
埋文委 第5号
2014年10月28日
文化庁長官 青柳 正規 様
千葉県知事 森田 健作 様
千葉県教育長 瀧本 寛 様
船橋市長 松戸 徹 様
船橋市教育長 松本 文化 様
千葉県船橋市大穴南に所在する海老ヶ作貝塚は、縄文時代中期の大規模な点列環状貝塚及び集落跡として知られている遺跡です。都市化の著しい船橋市内でも、貝層及び遺構の遺存が良好に認められる稀有の遺跡ですが、先日より、未調査のまま開発に伴う大規模な破壊行為が確認され、その保全が一刻を争う緊急課題となっております。
本貝塚を含む東京湾岸地域は、大規模な環状及び点列環状貝塚が多数分布し、一大貝塚地帯を形成しており、船橋市内においても地域の歴史的個性の柱になっております。直径約120mの規模を有する大形点列環状貝塚である海老ヶ作貝塚は、ほぼ同時期の高根木戸貝塚とともに船橋市内における東京湾岸域の貝塚地帯を構成する主要な貝塚であり、本地域の歴史的特性を理解する上では考古学上極めて重要な遺跡と評価できます。
さらに、本貝塚は印旛沼水系に属していながらも、貝塚を構成する貝は東京湾岸で採取されたものであり、遺跡立地と漁労の場が異なる等、縄文時代の社会的関係を捉える上で、その研究上欠くべからざる遺跡であります。
このように、海老ヶ作貝塚は、日本の考古学研究にとって重要であるばかりではなく、この地域の歴史を紐解く上でかけがえのない遺跡と判断されます。これにより、当該地域に対する周到な調査と景観の保全が、早急に求められる必要があります。
以上のことから日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、国民的遺産である遺跡の有効な保護・活用の観点から、下記の通り要望いたします。
記
以上
船教文第883号
平成26年11月6日
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 矢島國雄 様
船橋市教育委員会
教育長 松本文化
霜秋の候、貴団体におかれましては益々ご清祥のことと、お慶び申し上げます。
2014年10月28日付け埋文委第5号にて、一般社団法人日本考古学協会 埋蔵文化財保護対策委員会 矢島國雄委員長からの要望につきまして、下記のとおり回答いたします。
記
船橋市海老ヶ作貝塚は市内で残された、縄文時代の唯一の貝塚を伴う大型環状集落跡であり、学術的にも極めて重要と認識するところです。
平成26年5・6月に実施した海老ヶ作貝塚(4)確認調査の結果、当該地の遺跡の遺存状態が良好であることを確認できましたが、事業者から本調査への費用負担を拒否されました。このような事態に対し、下記のとおり本市は対応してまいりました。
前述のとおり記録保存が困難となった状況で、市としては海老ヶ作貝塚の重要性を鑑み、土地を取得して現状保存すべく努めました。
[買取り交渉等についての経緯]
・ | 平成26年6〜7月 | 発掘調査実施について協議するが、協力拒否。 |
・ | 平成26年8月 | 遺跡の取り扱いに関して政策会議にて審議。 |
・ | 平成26年8〜9月 | 買取り交渉を実施し、一時妥結するも買取りを拒否されたため、協議不調となる。 |
・ | 工事着工 |
以上のように、市教育委員会として出来得る手段は、尽くしたと考えます。
今後共貴団体におかれましては、埋蔵文化財保護に対しましてご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。