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埋文委 第6号
2015年1月28日

文化庁長官 青柳正規 様

一般社団法人日本考古学協会 
 埋蔵文化財保護対策委員会 
  委員長 矢島國雄 

鎌倉市円覚寺西側結界遺構の保存に関する要望書の送付について

 標記の件について、別添書類のように、当該遺構は学術上きわめて重要な内容を有するものでありますので、神奈川県および鎌倉市に対して、別添書類のとおり、遺構の保存等に係る対策を早急に講じるよう要望いたしました。
 つきましては、貴殿におかれましても、当該遺構の保存等に関してご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。



一、別添書類 一通

以上 


埋文委 第6号
2015年1月28日

神奈川県知事       黒岩 祐治 様
神奈川県教育委員会教育長 桐谷 次郎 様
鎌倉市長         松尾  崇 様
鎌倉市教育委員会教育長  安良岡靖史 様

一般社団法人日本考古学協会 
埋蔵文化財保護対策委員会 
委員長 矢島國雄 

鎌倉市円覚寺西側結界遺構の保存に関する要望について

 標記の件について、別添書類のように、当該遺構は学術上きわめて重要な内容を有するものでありますので、貴殿において、遺構の保存等に係る対策を早急に講ぜられることを要望いたします。
 なお、当件に関する具体的な措置については、2015年2月13日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。



一、別添書類 一通

以上 


埋文委 第6号
2015年1月28日

神奈川県知事       黒岩 祐治 様
神奈川県教育委員会教育長 桐谷 次郎 様
鎌倉市長         松尾  崇 様
鎌倉市教育委員会教育長  安良岡靖史 様

一般社団法人日本考古学協会 
埋蔵文化財保護対策委員会 
委員長 矢島國雄 

鎌倉市円覚寺西側結界遺構の保存に関する要望書

 標記の遺構は、JR横須賀線北鎌倉駅下り線ホームの中ほどに、北側の丘陵から突き出た岩塊です。小さな洞門の開けられた岩塊は、北鎌倉の風景によく溶け込み、近隣住民のみならず観光客にも鎌倉の入口の象徴的存在として永く親しまれてきました。しかし、この岩塊の意義は何よりその歴史性にあります。線路に切断されているとはいえ、本岩塊は鎌倉を代表する寺院の一つ円覚寺の寺域範囲を示す西側結界として、「円覚寺境内絵図」中に描かれているものであり、同寺創建以前には鎌倉幕府三代執権北条泰時がおこなった「四角四境鬼気祭」という境界祭祀の隣接地でもあります。さらにさかのぼれば源氏の先祖により、平安時代後期以来、鎌倉の北の境界とされてきた可能性の高いものです。まさしくこれは中世鎌倉の景観を今に伝える歴史的遺産であり、世界遺産再登録をあらためて目指す鎌倉市にとっても、将来、「武家の都」の資産として有効な活用が望めるものです。

 ところが、現在、鎌倉市都市整備部は崩落の危険性があるとして、これを完全に削り取ってコンクリートの擁壁に変える計画を進めています。住環境の安全性の確保は何より優先されなければなりませんが、遺構の歴史的意義を無視した今回の計画については撤回を求めざるを得ません。かつて鎌倉市内に数千基もあったやぐらは、次々に削り取られてコンクリートの擁壁となり、気がつくとその多くが失われていました。このことが世界遺産不登録の一因となったのは明らかです。今また、町角に残る貴重な中世の風景が失われようとしています。

 遺跡は一度失われると二度と元には戻りません。1,000年近く前から生き続けてきた遺跡が、この工事によって失われようとしています。市長および都市整備部におかれては、この計画の無謀さをぜひ認識していただきたく、賢明なご判断をお願いするしだいです。

 以上のことから、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、文化財保護の観点によりこの事態を深く憂慮し、下記のとおり鎌倉市当局に工事計画の撤回を求めます。


  1. 結界遺構の削平計画をいったん白紙に戻し、その上であらためて歴史遺産の保全と安全性の確保という双方に配慮した新たな措置を検討すること。

以上