埋文委 第8号
2016年1月8日
標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上極めて重要な内容をもつものでありますので、貴殿におかれましては、適切な保存と活用の対策が速やかに講じられることを再度要望いたします。
なお、まことに恐縮ですが、当件の具体的な措置、対策については2016年1月22日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。
埋文委 第8号
2016年1月8日
日本考古学協会では、2011年2月25日付埋文委第12号において、城野遺跡の保存に関する要望書を提出しました。これに対しまして、北九州市教育委員会より2011年3月17日付北九教生文第1080号で、当該遺跡内の重要遺構の保存をはかり、遺跡の整備・活用に関して検討する旨のご回答をいただいておりました。
その後、北九州市では土地の公有地化を含め、遺跡の現地保存の方向で検討・協議されているものと認識しておりましたところ、昨年11月には、国財務局が当該地に対する民間を対象とした土地売却を目的とした一般競争入札を公示したとの報に接しました。この間、すでに、市も保存を断念し、現地に埋め戻し保存をしていた方形周溝墓の石棺を取り外し、玉作り工房跡に関しては記録保存という方針が示されたことを聞き及び、当初の日本考古学協会への回答とは大きく乖離している現状となっています。
当該遺跡に関しましては、いうまでもなく、九州最大規模の方形周溝墓や稀有な玉作り工房を伴う弥生時代中期〜後期にわたる大規模集落跡であり、北部九州地域を代表する極めて重要な学術的意義を有する遺跡です。北部九州、ひいては東アジアのこの時代の歴史を考える上で、今日、城野遺跡の学術的意義はますます大きなものになっています。
そのため、当協会としても、その重要性を認識して保存と整備活用を要望した経緯があり、関係各位におかれましてもこれまで、遺跡の保存に向けて遺構群の保全をおはかりいただいてきたものであります。
このままでは、国民共有の歴史的財産である城野遺跡が市民に何も知らされないうちに開発行為等により湮滅する危惧が十分にあり、同時に、学校教育における貴重な郷土学習の場が失われることは、将来を担う子供たちにとってきわめて大きな損失となるでしょう。
以上のことから、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会では、関係機関のこれまでのご努力を無にしないよう、再度、城野遺跡の保存と活用に関する下記の要望をいたします。
以上