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 2010年10月16日に開催された臨時総会の議決を受けて「協会図書に係る特別委員会準備会」が設置され、第1回準備会も開催されました。同準備会の設置など、この問題に関する臨時総会以後の経過について、ここに報告します。

 上記臨時総会において本協会所蔵図書の一括寄贈先に関する2010年1月理事会決定が否決されました。その議決ののち議長団から「第三者機関あるいは特別委員会の設置」を求める提案がありましたので、翌17日に臨時理事会を開催して対応を協議しました。その結果、特別委員会の設置は総会の議決を要することから、まず「常置委員会及び小委員会設置規則」に基づく小委員会として「特別委員会準備会」を設置することを決定しました(臨時総会抄録・臨時理事会議事録は『会報』171及び公式サイトに掲載)。そして2011年1月22日に開催された理事会で、準備会の名称を「協会図書に係る特別委員会準備会」とし、委員構成は泉拓良(奈良県)・熊野正也(東京都)・毛利和雄(非会員・神奈川県)・橋口定志(埼玉県)・橋本久和(大阪府)・石川日出志(東京都)・白井久美子(千葉県)の7名とすることを承認しました。

 なお、この間、菊池徹夫会長・白井久美子担当理事が11月15日〜19日の日程で渡英してセインズベリー日本藝術研究所を訪問し、事情説明の上陳謝して今後の対応について協議しました。また、「『一般社団法人日本考古学協会所蔵図書の寄贈に関する覚書』の解除について(覚書)」(10月16日付け)を取り交わしました。

 そして2月6日(日)に第1回協会図書に係る特別委員会準備会を開催して、特別委員会設置に向けた協議を行いましたので、ここに議事録を掲載いたします。 (事務局) 


第1回「協会図書に係る特別委員会準備会」議事録

概要

 冒頭、菊池徹夫会長から、「今後のより良い考古学協会の発展に繋がっていくよう、全会員になり代わって大いに議論していただきたい」旨、挨拶があった。 続いて自己紹介が行われた後、次第に従って進められた。

議題1 委員長、副委員長の選出

 互選により、委員長に泉 拓良委員、副委員長に熊野正也委員が満場一致で選出された。

 (これより以後、泉 拓良委員長により進行)

議題2 経過報告

 資料に基づいて石川委員、白井委員により、特別委員会準備会の設置に至たる経過、菊池会長、白井理事の渡英報告等、主として臨時総会以降の時間的流れに沿って報告があった。

 質疑応答では、「セインズベリー日本藝術研究所との間にシコリは残っていないか」との質問に、菊池会長から「ありません」との回答があった。

 また、「セインズベリー日本藝術研究所との寄贈に関する事は「白紙」に戻ったと理解してよいか」との質問があったが、石川委員から、「臨時総会では、開催請求に基づいてセインズベリー日本藝術研究所へ寄贈するという2010年1月理事会決定の見直しが議決されたのであり、2009年5月総会で承認された「募集要綱」そのものは解消されていない。同要綱の日付部分等が特別委員会での検討の対象となる。日付以外どの範囲まで対象とするかは特別委員会で検討することだが、2007年度、2009年度総会の議決を大きく越えるのは学会として論理的ではないと考える。」との説明があった。

議題3 協議

(1)会員向けの情報提供について

 最初に議事録の作成について協議され、議事録は事務局で案を作成したのち全委員に送付し、確認を得たうえで正式決定とすること。

 公開の範囲については、議事録は「会報」「公式サイト」に同じものを掲載することが決定した。

 また、準備会は、重要な事案を決定する場ではないこと、寄贈先や特別委員会の人事情報などに関わるので、会議そのものは非公開としたらどうかとの意見があり、協議の結果、非公開とすることが了承された。特別委員会の公開の可否については同委員会で協議、決定する。

 ただし、本協会内に図書問題に関する準備会が設置された事については、マスコミに投げ込み等で情報提供は行う。

(2)準備会の検討事項について

 石川委員から、@特別委員会設置要綱案、A事業計画書案、B予算案の3項目について協議が必要であるとの意見が出された。

 これらの議論に入る前に、橋口委員から特別委員会の委員が蔵書の現状を理解するために、目録を作成して基本情報を整理する必要があるとの提案があった。しかし、その作業には相当な時間と労力を要すること、さらにその性格から準備会ではなく、特別委員会に作業部会を設けておこなうべきであろうとの意見があり、了承された。

 なお、白井委員から、@協会蔵書中の重複本については市立市川考古博物館から退去する際に同博物館に寄贈しており、重複本は存在しないと認識している。A雑誌類については、1タイトルで1冊という登録をしていたが、改めて雑誌類についても実数を把握し直している、という2点の補足説明があった。

 また、5月の総会を目途に特別委員会を立ち上げ、同委員会で何を議論しなければならないかをこの準備会で協議すべきである、ということで一致をみた。

 続いて石川委員から提示された3項目について協議した。最初に、事務局で作成した特別委員会設置要綱素案について検討された。

 はじめに、現在「休止」とされている「協会図書対応検討小委員会」の問題がとりあげられた。規則上残されているが、準備会が設置されたので、存続の可否も含め理事会で検討するようにとの提案があった。

 また、素案の第1条中にある「適正な寄贈先機関を定めるため」という文言の適否をめぐり多くの意見が出された。泉委員長から、臨時総会で何が否決されたのか、ここでの議論がどこから始まるのか、という基本的な問題であるので、委員間で共通理解を持った方がよい、との提案があった。

 白井委員から、2005年「施設整備検討小委員会」が設置され、会費の値上げも含め、蔵書を保管する自前の施設を持つことを検討したが、それが困難であると判断されたこと。その後、寄贈を前提とした総会決議を踏まえて2007年に「協会図書対応検討小委員会」が立ち上がったことが改めて説明された。この経緯を踏まえ、2007年度、2009年度総会で議題とし、決議を受けているので、第1条中の文言を修正するが「寄贈」という語句は残すことになった。

 第3条第3項では、理事会で最終決定するのではなく、「報告」でよいのかという質問があったが、理事会は特別委員会に権限を委ねているので報告でよいということを確認した。

 第6条関係では、2011年度総会で要綱の承認を得て特別委員会を設置すべきであり、また、会費を基礎として運営することなどから、2カ年計画とするのが適切であるとした。

 以下、各条・項毎に検討され、次のような(案)が作成された。

協会図書に係る特別委員会設置要綱(案)

(趣旨)

第1条 一般社団法人日本考古学協会(以下、「本協会」という。)が所蔵する図書に関し、保存・管理及び寄贈問題を含め有効な活用策を検討するため、特別委員会規定に基づき、特別委員会を設置する。

(名称)

第2条 この特別委員会は「協会図書に係る特別委員会」と称する。

(委員の委嘱と委員長の選任)

第3条 本特別委員会の委員は本協会会長が委嘱し、本協会の会員、非会員を問わないものとする。

 2 委員長は委員の互選とし、副委員長は委員長が指名する。

 3 委員の補充等については、自薦、他薦を含め本特別委員会の議を経て決定し、理事会に報告して会長が委嘱する。

(組織)

第4条 本特別委員会は、必要と認められる課題に対応するため、必要により「部会」を置くことができる。「部会」には代表者を置く。

(会議)

第5条 本特別委員会は委員長が招集するものとし、必要に応じ随時開催する。

(事業計画年度)

第6条 本特別委員会は、2011年5月から2013年4月までの2カ年計画とし、 その計画年度終了時に本特別委員会の改廃を含め、改めて協議して理事会に報告するものとする。

 附則

 この要綱は、2011年5月28日から施行する。

 続いて特別委員会規定第1条に基づいて、事業計画案について協議した。

 「事業の目的」については、設置要綱案の第1条の趣旨を当てることになった。

 「予定期間」は、設置要綱案の第6条に定めた、2カ年計画を当てることが了承された。

 「研究計画」は、@目録の整理に関する部会、A寄贈・活用に関する部会、B会員の意識調査に関する部会の3つの部会を設け、さらに必要に応じて、設置する。それぞれ5人程度の委員を配置する。

 したがって、「協会図書に係る特別委員会」は当面3部会で組織され、委員は全体で15人程度とすることが了承された。寄贈・活用に関する部会は、全国の部会員で構成すべきだが、予算的制約などから、他の2部会は必ずしもその限りではなくともよいことを確認した。

 初年度は@を先行して実施することにすること。市立市川考古博物館に保管されていた図書、2000年以前のものについて、台帳との照合作業は必要であることが確認された。それには作業スペースや作業要員を確保する必要があるとの意見も出されたが、具体的な作業内容は次回までに検討する。

 また、会議の回数は、部会は年3回とし、うち1回目、3回目は全体会議を同時開催する必要があるとの意見が出され、了承された。

 予算案は本日の議論を受けて白井委員が原案を作成してメール回覧により検討することになった。

次回開催日

 3月、4月の2回、理事会前に開催することを基本とし、3月は3月「会報」に対して会員から意見が寄せられることを考慮し、3月20日(日)に開催する。ただし、開催の有無については、委員長、副委員長が判断する。4月は17日(日)となった。開始時間はいずれも午後1時とする。

 最後に、熊野副委員長から閉会挨拶があり終了した。

(終了:17時30分)