すっかり冬めいてまいりましたが、会員諸氏にはますますご清栄のことと存じます。
新理事会が発足して半年が経過しましたが、10月には西南学院大学にて2012年度福岡大会を盛会のうちに開催することができ、12月には青森市にて公開講座を開催するはこびとなっています。
このように、通常の協会の運営は順調に行われております。そして、「東日本大震災対策特別委員会」、「協会図書に係る特別委員会」と二つの特別委員会が設けられ、活動が続けられていることは周知のとおりです。さらに、これらに加えて理事会の中に二つの検討会が設けられて作業を進めています。その一つは定款の改正とそれに伴う規則類の整備です。これは一般社団法人日本考古学協会の定款を規定する親法である「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の改正にともない、本会の定款も改正せざるを得なくなったことによるものですが、この改正を機に定款全体を見直し、追加に追加を重ねてきた規則類も併せて整理しておこうというものです。今のところ再来年の総会にお諮りすることになりそうです。
もう一つは英文電子ジャーナルの検討会です。理事会では2009年頃から英文誌刊行の検討が行われてきました。日本における考古学研究を世界に発信することの重要性は言うまでもないことであり、会員とりわけこれからの若い世代が世界で活躍するための媒体を用意することも協会の使命といえます。しかしながら、経費その他の問題もあってすぐに刊行に踏み切ることもできず、慎重に対応してきました。ところが、科学研究費の「研究成果公開促進費」が来年度から「国際情報発信強化」となり、英文の電子ジャーナルのみを助成の対象とするという大きな変更がありました。時代がここまで来てしまった、との思いを禁じ得ません。
協会の機関誌である『日本考古学』はこれまで科学研究費の助成を受けてきました。この変更は科学研究費の助成を受けてきた協会にとっては痛手です。今後も助成を希望する学会の中には既存の雑誌を英文電子ジャーナル化する計画を持っているところもあるようですが、検討会の結論は『日本考古学』は協会にとっては重要な媒体であるためそのまま継続し、新たに英文電子ジャーナルを発刊して科学研究費の助成を申請するというものであり、その方針を理事会でも承認したところです。
今回の措置は「機関誌の増設」にあたり、総会の審議事項ではありませんが、会員諸氏には唐突の観もあろうかと思いますので、このような形で周知することにしました。詳細については総会で報告することとなりますが、会員諸氏には以上の経緯をご理解のうえ、新たな英文機関誌の発展にご協力頂ければ幸いに存じます。