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<2014年度総会 2014年5月17日>

会長就任のご挨拶

会長 髙倉洋彰

 前日に開催されました臨時理事会で代表理事兼会長に選ばれました髙倉でございます。副会長をお引き受けいただきました石川日出志理事ならびに白石浩之理事、および各理事とともに活性化した理事会運営をしていきたいと考えております。

 さて、先ほどの総会で、根本的な改正を迫られておりました本協会の基本になります一般社団法人日本考古学協会定款とそれに関連します規則が成立しました。同時に、田中良之会長のもとで、前理事会には協会の懸案でありました協会図書問題、科学研究費補助金に関わります重要課題の英文機関誌の刊行など、協会が抱えております積年の問題を解決していただきました。このところ、これらの諸問題の解決に追われ、肝心の協会の目的の達成に向かう状況にはありませんでした。しかし、協会員の高齢化の傾向と考古学を学ぼうとする学生の激減によって、徐々に協会員の数が減少し、協会の将来を厳しくしています。このような状況で、今期の理事会に課せられた最大の課題は、学術団体としての本協会を活性化させるための将来構想の構築であろうと考えております。当面、協会常置委員会のなかでもっとも活発に活動いたしております埋蔵文化財保護対策委員会に加え、研究環境委員会、国際交流委員会などの機能を強化するとともに、理事会内部に総務会の構成理事からなる将来構想検討小委員会を設けて検討を深めることにいたします。

 たとえば研究環境検討委員会は、@研究環境の整備、A資格制度の問題、B公益法人化について、C協会主導による調査研究実施の可能性などの検討課題を抱えています。たとえばBですが、公益法人化するメリットとデメリットなどの検討が必要ですが、公益法人化が可能なまでに体力を着ける必要があります。体力も無いのに法人化しないといっても仕方のないことでしょう。またCは、かつての「日本農耕文化の生成」や「日本の洞窟遺跡」のような発掘調査を伴う共同研究、あるいは各地の学会・研究会で実践されているようなテーマにもとづいた共同研究もありましょう。ともあれ研究環境に関します課題は学術団体としての本協会に課せられた喫緊の問題なのです。

 国際交流委員会の強化も必要です。近年、日本の考古学は国際的な交流を深めてきていますが、英文機関誌の発刊や溝口孝司会員の世界考古学会議会長への就任に反映していますように、今やいっそうの国際化を迫られています。英文機関誌の創設は、もはや和文機関誌の発行では科学研究費補助金の対象にならないための必然的なものでした。それのみならず、英文機関誌の発行によって本協会は従来の中国や韓国を対象とした東アジアに限定気味でした国際化から、世界へと飛躍をはじめました。こうした時期ですので、漠然とした「国際交流」委員会から日本の考古学研究の成果を世界に発信するための「国際戦略」委員会へと内容を充実させることが必要でしょう。

 さらに、定款・規則は改正できましたが、その実行に必要な規定や内規を整備する必要があります。たとえば新定款には従来から規定されていました名誉会員、そして新たに賛助会員が設けられています。しかしながらこれを実行するための規定・内規はまだ定められておりません。ことに名誉会員の問題は、協会員の高齢化に伴いこれまで本協会に多大の貢献をされた先生方の退会がみられるようになってきていますから、切実です。その一方で、むやみな名誉会員の創設は協会員数の減少化を加速しかねず、協会の活動に影響を与えかねません。こうした現状を踏まえつつ、速やかに名誉会員・賛助会員に関する規定を定める必要に迫られています。

 ほかにも、定着しましたものの最近投稿に減少傾向がみられます機関誌『日本考古学』の充実、社会科・歴史教科書等検討委員会で扱っています旧石器時代や縄文時代の教科書への記述がなぜ必要なのかを具体的に提言し理解を深めていく必要性、ホームページの利用や電子情報公開の環境整備についての情報推進化の検討、参加者の少ない公開講座の改善など、問題は多いのです。

 ともあれ、理事の皆様とともに、今期の理事会は日本考古学協会のよりいっそうの活性化に取り組みたいと考えておりますので、協会員の皆様のご支持とご指導をお願いいたします。