1981年の『第2次埋蔵文化財白書』の刊行から24年を経て、ここに『第3次埋蔵文化財白書』が刊行の運びとなりました。 会員割引価格を設定いたしましたので、ここにご案内申し上げます。
“本書を通覧していただけば、現在の埋蔵文化財のおかれている危機的な状況を理解していただけよう。第2次の白書刊行後、吉野ヶ里遺跡、妻木晩田遺跡、三内丸山遺跡などが破壊の危機を免れ、保存され、整備が進んでいる一方で、数え切れないほどの遺跡が「記録保存」の名で処理され、破壊されてきた。開発に先立つ「記録保存」調査は、行政合理性の追求の名の下にさまざまな面でルール化が進み、「埋蔵文化財行政」の確立が図られてきた。これが「埋蔵文化財保護行政」でない点に注意しなければならないと言わねばならないのはなんとも皮肉であるが、遺跡の内容の評価をもとに行政が保存に取り組むことのできる時間的、制度的保証が著しく狭められてしまう結果となっている点に、問題は集約的に現れている。”(「白書の刊行にあたって」より)
白書の刊行にあたって | 小林三郎 | ||
第1章 第2次白書以降の埋蔵文化財(総論) | |||
1節 第2次白書以降の埋蔵文化財環境の推移(総括) | 舘野 孝 | ||
2節 遺跡保存の理念の構築にむけて−現状の整理− | 近藤英夫 | ||
第2章 開発事業と保存活動の記録 | |||
1節 遺跡事例 | |||
1 白滝遺跡群 | 長沼 孝 | ||
2 富沢遺跡 | 仙台市教育委員会 | ||
3 阿久遺跡 | 小林康男 | ||
4 権現原遺跡 | 堀越正行 | ||
5 矢瀬遺跡 | 巾 隆之 | ||
6 正楽寺遺跡 | 植田文雄 | ||
7 寺野東遺跡 | 江原 英 | ||
8 キウス4遺跡 | 橋和樹 | ||
9 伊勢堂岱遺跡 | 小林 克 | ||
10 奥三面遺跡群 | 富樫秀之 | ||
11 上野原遺跡 | 新東晃一 | ||
12 金生遺跡 | 新津 健 | ||
13 飛ノ台貝塚 | 中村若枝 | ||
14 池子遺跡群 | 山本暉久 | ||
15 池上曽根遺跡 | 乾 哲也・西川寿勝 | ||
16 吉野ヶ里遺跡 | 七田忠昭 | ||
17 中溝・深町遺跡 | 石塚久則 | ||
18 妻木晩田遺跡 | 岩田文章 | ||
19 堅田遺跡 | 久貝 健 | ||
20 伊勢遺跡 | 伴野幸一 | ||
21 寺床遺跡 | 東森市良 | ||
22 芝ヶ原遺跡 | 近藤義行 | ||
23 日天月天古墳 | 茂木雅博 | ||
24 私市円山古墳 | 近澤豊明 | ||
25 車駕之古址古墳 | 大野左千夫 | ||
26 西庄遺跡 | 冨加見泰彦 | ||
27 京見塚古墳群 | 山崎克巳 | ||
28 西都原古墳群 | 柳沢一男 | ||
29 新池埴輪製作遺跡 | 森田克行 | ||
30 鹿の子C遺跡 | 川井正一 | ||
31 御殿前遺跡 | 中島広顕 | ||
32 長屋王邸宅跡 | 寺崎保広 | ||
33 中宿遺跡 | 鳥羽政之 | ||
34 飛鳥池遺跡 | 鈴木重治 | ||
35 長岡京東院−左京北一条二坊・三坊の離宮跡− | 百瀬正恒 | ||
36 高屋敷館遺跡 | 工藤清泰 | ||
37 柳之御所遺跡 | 斎藤邦雄 | ||
38 海上の森遺跡 | 七原惠史 | ||
39 一の谷中世墳墓群遺跡 | 山崎克巳 | ||
40 湧田古窯跡群 | 盛本 勲 | ||
41 多摩ニュータウン遺跡群 | 川島雅人 | ||
42 四国縦貫自動車道 | 湯浅利彦 | ||
43 千葉ニュータウン | 糸川道行 | ||
44 汐留遺跡 | 福田敏一 | ||
45 大山史前学研究所跡地 | 阿部芳郎 | ||
2節 遺跡と整備活用 | |||
1 保存への経過と現状 | 松本富雄 | ||
2 市民団体との関わり | 佐古和枝 | ||
3節 埋蔵文化財の保存・活用の実態 (埼玉県立埋蔵文化財センターの事例を中心に) | 村田健二 | ||
第3章 埋蔵文化財の取り扱いと行政 | |||
1節 埋蔵文化財に関する文化庁基準 | |||
1 阪神大震災への対応 | 長谷川眞・岡田章一 | ||
2 「出土品の取扱い」基準 | 石岡憲雄・川島雅人 | ||
3 発掘経費の積算基準 | 岸本直文 | ||
4 地方自治体の固有事務化 | 村松 篤 | ||
2節 文化財保護法の改正の歴史 | 井上 敏 | ||
3節 埋蔵文化財に関する訴訟と経過 | 井上 敏 | ||
4節 陵墓調査と問題点 | 置田雅昭 | ||
5節 基地内調査の問題点 | |||
(1)三沢 | 長尾正義 | ||
(2)沖縄 | 安里嗣淳 | ||
第4章 調査研究組織と諸問題 | |||
1節 考古学研究組織と問題点(総論) | 高橋龍三郎 | ||
2節 各種の発掘調査組織 | |||
1 行政直営調査組織 秋田県 | 船木義勝 | ||
2 広域調査体制の組織 兵庫県 | 長谷川眞・岡田章一 | ||
3 財団法人の社会責任 −京都市埋蔵文化財研究所をめぐって− | 百瀬正恒 | ||
4 民間会社 | 橋口定志 | ||
5 大学内の調査組織 私立大学の調査組織 | 鈴木重治 | ||
6 大学調査組織の現状と課題 | 近藤英夫 | ||
7 調査会組織−さいたま市− | 青木義脩 | ||
3節 埋蔵文化財行政研究会の発足 | 中田 英 | ||
第5章 埋蔵文化財の今後の展望 | |||
1節 埋蔵文化財保護の現状と課題 | 近藤英夫 | ||
2節 文化財保護の理念 | 矢島國雄 | ||
附編 | |||
1 埋蔵文化財保護対策委員会の活動記録 | |||
2 国指定史跡の整備活用現況 |