会長挨拶

会長再任あいさつ

谷川 章雄 一般社団法人日本考古学協会  会長 谷川 章雄

 

 このたび新しい理事会の決定により、引き続き会長に選任されましたので、就任にあたって一言ご挨拶を申し上げます。
 新理事会は、これまでと同様に前理事会からの諸課題を引き継いでその解決を図るとともに、新たな発展をめざしていくことになると思っています。
2009年に協会が一般社団法人化して以降、理事会は定款に基づく規定・内規などの見直し、整備を精力的に行なってきました。新理事会は、正当な手続きに基づく、透明かつ適切な意思決定のしくみを維持することが重要であると思っています。このことは会員数4,000人を超す協会を運営していく上で不可欠であると認識しています。
また、総会・大会の開催や常置委員会の活動に加えて、前理事会から引き継ぎ、あるいは新たに取り組むべき課題としては、「平成28年度熊本地震対策特別委員会」、「これからのアイヌ人骨・副葬品に係る調査研究の在り方に関するラウンドテーブル」や「文化遺産防災ネットワーク」への参加など対外的な活動、総会・大会時の国際シンポジウム開催などの国際化事業とともに、今後の会員数が減少する中で将来構想を検討していく必要があると考えています。
 1948年に設立された日本考古学協会は、本年で70周年を迎えて、出版や機関誌の特集、講演会などをはじめとする様々な記念事業が企画されています。この70年という時間を一世代30年として計ると、協会はすでに3世代目に入っていることになります。この間に考古学をとりまく日本の社会が大きく変化したことは疑いなく、協会は戦後社会の変化を背景にして歴史を積み重ねてきました。
 21世紀に入っておよそ20年が経過し、現在は大きな転換期にさしかかっているように見えます。経済的グローバリズムの波が押し寄せ、「戦後社会」に終止符が打たれるとともに、格差社会・少子高齢化社会が顕在化しつつあります。今後、考古学およびそれをとりまく世界がどのように変化していくのかは、簡単には予測できない状況にあるように思います。そうした中で、現在の日本考古学は、地域研究を支える研究者人口の減少、地方公共団体の人材不足、大学における考古学の教育環境と後継者育成など様々な問題に直面しています。
 協会は考古学の学問的発展とともに、その社会的責任を自らの責務として活動してきましたが、このような社会的な変化の中でどのような将来を展望していくかは大きな課題の一つです。
 諸課題が山積する協会の前途は、決して平坦ではありません。改めて会員の皆様のより一層のご支援をお願いして、会長就任のご挨拶に代えることにいたします。