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東日本大震災対策特別委員会報告

 東日本大震災対策特別委員会(以下、震災委とする)の活動については、これまでに、『会報』174及び176において報告を行った。今回はそれ以降の2012年度の活動について報告する。

1 第1回委員会の協議結果

 5月28日の総会で承認された各県考古学会推薦の3名の委員、担当理事3名、継続委員3名、公募委員3名からなる新体制で第1回の委員会を2012年6月25日(月)午前10時〜12時に日本考古学協会事務所で開催した。

 11名が出席した委員会では経過報告後の協議で委員長:渋谷孝雄、副委員長:近藤英夫、事務局:石川日出志、佐藤宏之、水村孝行(協会事務局)で幹事会を構成することが承認され、とりあえず第一部会(復興調査等):近藤英夫*・佐藤宏之・倉敏明・玉川一郎・熊谷常正、第二部会(被災文化財・研究会記録等):河野一也*・石川日出志・富山直人、第三部会(文化財レスキュー・放射能汚染文化財等):菊地芳朗*・渡邊泰伸・飯島義雄(*部会長)の三部会で活動に臨むこと、この体制で不具合があれば適宜見直すとし、さらに部会間の垣根はなるべく低くして、部会にとらわれない活動に努めるべきという提案も承認された。

 その後、各部会および委員会の今後の活動計画について、フリートーキングの形で議論が行われた。その主なものは以下のとおりである。

 以上のような、活発な意見交換が行われたが、復興調査が本格化するのは、今秋以降と予測されることから、しばらくは各自で情報収集とその交換に努め、次回委員会であらためて、具体的な活動計画を議論することとした。なお、次回委員会は10月の大会時に会場校の西南学院大学で開催することを決定し、第1回の委員会を終了した。

2 第1回幹事会

 理事会から協会公式サイトの英文コンテンツに震災関係情報を掲載する件についての対応が求められたため、2012年8月16日(金)午後3時〜5時に日本考古学協会事務所において幹事会を開催した。

 出席者は渋谷委員長、近藤副委員長、石川委員、佐藤委員、水村協会事務局長で以下の2点について協議を行った。

(1)協会公式サイトの英文コンテンツに震災関係情報を掲載する件について

 科学研究費の出版助成の仕組みが大幅変更され、学協会の英文電子ジャーナル化を求める方式となった。これに伴い、当学会で受けてきた『日本考古学』刊行の助成がなくなる。それに関連して、電子化の一環として公式サイトに震災関連情報を英文で発信することとしたので、文案を震災委で作成するようにという震災委への依頼について検討した。その結果、全体の制度設計ができていない状況の中で、すぐに対応することは時間的にも困難である。科学研究費「研究成果公開促進費」の助成条件が大きく変わることに伴い、必然的に公式サイトや機関誌・広報等の内容・構成に変更が行われる可能性がでてくる。震災委としては、その方向が固まった段階で、対応した文案の作成作業に取り掛かることとすべきではないかとの結論となった。

(2)東日本大震災関係の情報交換

 6月委員会後の動きについて、情報交換を行った。この間目立った動きがなく、このことは復興計画の遅れが原因と考えられる。特に集落移転については、予想よりも合意形成が遅れており、埋文調査の必然的な遅れが想定できるが、これが「埋文調査=復興の足かせ」報道を加速化させないようにしなければならない。また被災自治体の埋文担当者から、被災により失われた発掘調査報告書の寄贈要望がだされているという情報があり、今後確認作業を進めるということになった。

 また、次回の震災委は、前回の会議で福岡大会に合わせて開催することが決まっていたが、その具体的な日時について検討を行った結果、下記の要領で開催することとした。

3 第2回委員会の協議結果

 第2回委員会は2012年10月20日(土)の午前11時15分〜午後1時に西南学院大学学術研究所第2会議室で開催した。出席者は渋谷孝雄委員長・近藤英夫副委員長・飯島義雄・石川日出志・河野一也・菊地芳朗・佐藤宏之・玉川一郎・渡邊泰伸の9名である。

 協議に先だって事務局から、幹事会の報告と、9月27日付で文化庁記念物課長から都道府県教育委員会と政令指定都市教育委員会文化財行政担当課長宛に地方自治法に基づく被災3県への埋蔵文化財調査職員派遣依頼の文書が出されたこと、さらに、25年度以降は自治法に基づく派遣に加え、財団間の派遣も可能になるとの情報があることを報告し、それを受けて、主として3項目について協議を行った。

(1)東北被災3県の復興事業に伴う埋蔵文化財調査の現状と課題

 各県考古学会推薦の3名の委員から提出された資料に基づいて、情報を共有化するとともに意見交換を行った。その結果は以下のようにまとめられた。

@ 岩手県(熊谷委員提出の資料)

A 宮城県(倉委員提出の資料)

B 福島県(玉川委員)

(2)現地視察・協議について

 本日まとめられた被災3県の状況について現地視察を行うと共に、主として市町村教委から聴き取りを行うこととし、その班編制を行った。視察は年内に行うものとし、被災3県をそれぞれ南北に分け、6班体制で臨むこととした。各班は訪問市町村教委との日程調整を行った後、協会事務局から依頼文書を発することとした。その班編制は以下のとおりである。

岩手県北部班──佐藤、渋谷委員、岩手県南部班──石川、熊谷委員、宮城県北部班──倉、富山委員、宮城県南部班──飯島、渡邊委員、福島県北部──玉川、河野委員、福島県南部──菊地、近藤委員。

(3)日本学術会議東日本大震災検討委員会アンケート調査の対応について

 震災委の第二部会で対応することとし、石川委員が回答案文を作成することとした。

4 3県沿岸市町村を主とする視察と聴取

(1)各班の視察日程と視察・聴取市町村

 岩手県北部班(佐藤、渋谷委員)
  2012年11月12〜13日に岩手県の野田村、田野畑村、宮古市、山田町、大槌町。

 岩手県南部班(石川、熊谷委員)
  12月までに現地訪問できなかったため、熊谷委員が一部現地訪問し、他は電話等で各市から聴取した。

 宮城県北部班(倉、富山委員)
  2012年12月7日に宮城県の気仙沼市、南三陸町、石巻市。

 宮城県南部班(飯島、渡邊委員)
  2011年11月7〜8日に山元町、亘理町、岩沼市、名取市、七ヶ浜町、東松島市。

 福島県北部班(河野、玉川委員)
  2011年11月29〜30日に南相馬市、相馬市、新地町。

 福島県南部班(菊地、近藤委員)
  2012年12月12〜13日に福島県教育庁、白河市まほろん、いわき市、広野町。

(2)市町村教育委員会への聴取項目

 昨年度のアンケートの項目も踏まえ、以下の@ 〜J について聴取することを基本とした。

5 第3回委員会の協議結果

 第3回委員会は2013年1月6日(日)の午後1時30分〜4時30分に日本考古学協会事務所で行った。初めて委員全員の出席となったことから、改めて自己紹介を行い、委員長からの経過報告、続いて被災地の視察報告に入り、主として、それに基づく協議を行った。その概要は以下のとおりである。

(1)第2回委員会以降の動き

 第2回委員会で被災地視察担当を決め、3県で実情調査を行った。<被災文化財救済活動について考える会「語ろう!文化財レスキュー−被災文化財等救援委員会公開討論会−」>への参加呼びかけがあり、菊地・渡邊委員が応募した。その結果は本日(1月6日)段階で示されてはいない。5月総会にセッションを開催するので、その内容の報告をお願いしたい。

(2)被災地訪問報告

@ 岩手県北部(佐藤委員)

 11月12・13両日、渋谷・佐藤委員。宮古市以南と以北で被災状況が大きく異なるために、復興調査対応状況が異なる。以北では復興調査がほぼ順調に進み、今年度山を越える。以南は、復興計画確定の遅れに伴って事業量の確定が遅れている。特に山田町では調査対象面積が33万uに上っており、試掘調査の対応にも苦慮している。宮古市・山田町・大槌町一帯は製鉄関係遺跡が集中しているので、山間部でも試掘が必要となっている。

 市町村と県の間で調査への意識のズレが生じており、来年度の調査員不足は必至と考えられる。試掘調査の主体は市町村教委であり県教委は調査職員を派遣するだけとなっている。市町村で調査の準備を整えないと県教委の調査職員の派遣も受け入れができない。このため市町村の事務量が増大し、専門職員が配置されている市町村でもこの対応に忙殺されている。

 市町村教委は事務処理もできる職員の派遣を求めており、県教委を通さず全国の自治体から直接的な派遣を受け入れている町があり、各市町村はそのような形での人材派遣を強く望んでいる。試掘調査で発掘調査の必要な範囲が決まれば、(財)岩手県埋蔵文化財センターが調査を受託するシステムになっているが、各市町村はすべての本調査を希望通りの期間に受託してくれるのか不安視している。そういったことも想定した上で、各市町村は民間調査機関の導入を希望しているが、県のハードルは極めて高い。民間調査機関を導入しないと、破たんする危険性が高いのではないかと考えられた。

A 岩手県南部(熊谷委員)

熊谷委員が、陸前高田市と釜石市を実地視察。それ以外は電話取材。釜石市は市単独で試掘実施済み。次年度以後は民間導入が必要と考えている。釜石市以外の町村は民間導入に慎重。

 陸前高田市では、史跡は現地を把握しているが、指定外遺跡は現地確認すらできていない。主査(県派遣)は事務のみ担当で、現地に出られる状況にはない。

 大船渡市では、公営住宅予定地が決定し、峰岸1.3万u・浦浜東6,000uの2地区のみ埋蔵文化財の調査を予定。遺跡範囲が未確定のまま、住宅が建設されている例もある。昨年いち早く問題となった史跡蛸ノ浦貝塚の地権者からの移転要望は取り下げられた。

B 宮城県北部(倉委員)

 12月7日に倉・富山委員で視察。気仙沼市は全域が被災しており、復興事業は相当の量になる。個人住宅、集団移転合わせて64か所にも上る。高台移転地の波怒棄館遺跡の調査が行われている。協議が進んでいないところは待ちの状態。宮城県は試掘=県、本調査=市町村で、県が支援のため、準備のすべてを市町村が担当する実態があり、市町村にとって大変厳しい状況である。体制・分担を検討する必要がある。

 南三陸町は担当者がおらず、長野県原村から直接派遣をうけているが、本年度内だけの派遣であり、その後事務を担当する人員が割けない。作業員の確保・重機の準備が大変。町全体を高台移転するが、その移転先が中世の館跡(調査面積3万u)だが、調査経験がないのに県からは調査に入るための条件整備が求められ、戸惑いがあると同時に、対応できるかどうか厳しい状況にある。保管施設がない問題もある。

 石巻市は文化財レスキューの対応が早く、他町村よりも進んではいるが、浜単位の集団移転計画もあり、移転計画も定まらないうちに試掘を早くしてほしいという住民からの要望がある。南三陸町・石巻市は調査機材も流失して困っている。

C 宮城県南部(飯島委員)

 11月7・8日渡邊・飯島委員が視察。山元町は、防災集団移転計画が最終段階、常磐道の調査を実施中、JR常磐線の付け替え事業は来年度から。土取りは遺跡地を避けた。県からの支援を要請する。

 宮城南部では各市町村とも最低1名の担当者が配置されていたが、来年度の調査体制の整備が課題。民間導入はしない県方針に従う。山元町の資料によると、発掘調査については従来基準を弾力的に運用している旨の記載があり、盛り土の場合は「遺構の分布及び部分的な調査のみ」という記載もあるので、確認が必要である。

 盛り土の対応については県によって差異がある。住宅シートパイル補強対応も県で差異があり、今後が心配である。

(渡邊委員補足):東松島市野蒜地区の集団移転地は遺跡の有無が確認できていない。事業量を定める作業ができていない。従来厳冬期は調査しなかったのだが、緊急事態ということで調査を行っているが、調査員の健康も心配である。

D 福島県北部(玉川委員)

 浜通りは双葉郡に原発があり立ち入りできないため、南北に二分されている。11月29・30日に河野・玉川委員で北部2市1町を視察。南相馬市の小高区は立ち入りできるようになったものの避難指示が出されたままであり、住めないために、復興が全く進まず、事業量の確定もできない。試掘は12月末から自前で実施を予定している。来年度調査増大は必至であり、震災対応で他部局に異動しているスタッフを戻し、不足は県の支援を受ける予定である。公営住宅関係が中心。

 相馬市は、専門職1名が今年度で退職。他部局にいるスタッフの問題もあり、来年度の体制に不安がある。国史跡中村城の問題もあったように、市長・教育委員会内で文化財対応についての理解が十分でない状況にある。災害住宅団地予定地は、伐採後に分布調査を行う予定。24年度の復興事業に伴う調査については復興交付金の申請をしなかったなど、財源の問題もある。25年度は申請したとのことである。

 新地町は、文化財への理解があり、調査対応ができている。本調査が必要な場合は、盛り土対応で調査面積を減らすことを原則としている。

 浜通り北部全体としては、原発のために対応が遅れているという特徴がある。放射能の濃度の南北差があり、特に南部地区は集団移転計画がまとまらず、個人住宅対応が主となるもよう。県の支援。作業員確保の問題。原発被災地の軽作業が12,000円なのに、発掘作業員は6,000円で雇用となっているため、作業員が集められないという問題がある。地盤低下によるほ場整備の盛り土については、土取り地が山間部に入ると製鉄遺跡の密集地と重なるのではないかと危惧されている。

E 福島県南部(菊地委員)

 12月12・13日に近藤・菊地委員で視察。最初県庁で県の対応を確認し、次いで文化財レスキュー対応施設等を視察した。

 原発立入り制限区域の双葉・大熊・富岡3町のレスキュー文化財は、旧相馬女子高校に仮収容し、今年度末にまほろんにプレハブ2棟を建設して移す。しかし、運び出していない文化財はさらに多い。今までの運びだし分のみでまほろんがいっぱいになる。今後の分は収容できないという問題がある。県の埋蔵文化財行政をより良い体制に改善する必要がある。

 まほろんは、指定管理者のため、県の指示で粛々と進める。展示計画もあるが、従前の展示との関係は検討を要する。

 広野町(避難準備地域)はこれまで文化財担当者がおらず、他県からの派遣者が事務・実務対応。嘱託を採用したいが実現は難しいのではないかと心配。県のサポートを得て進めたいとしている。

 いわき市は避難民が多く、個人住宅・アパートの試掘が今後増えそう。薄磯貝塚地区が高台移転計画地となっており、高い地区を削って谷を埋める計画で、計画が具体化すると多くの調査が見込まれる。他地区は、来年度移転計画が具体化し、試掘・調査が急増する可能性が高い。

 民間調査機関の話題は出ておらず、県市町村で対応する模様。

(玉川委員補足):原発立入り制限区域の双葉郡3町内は見通しが立たない。双葉町長は町民の帰還を、暫定30年計画と発言した。楢葉・双葉2町には担当者がいる。まほろんでの保管・活用への対応など県に不満があり、もっと長期的なきちんとした対応(恒久的施設)を求めている。県教委に考古学会・民俗学会などから新たに要望書を出して欲しいという声もある。双葉郡内の中間貯蔵施設建設予定地については、県が遺跡地図を提供したというが、そこまでであり、今も進展がない。

(3)協議

 復興事業に伴う埋蔵文化財調査の課題

 復興予算は平成27年度まで。発掘は25・26年度とも発掘が進められるだろうから、整理・報告書作成費が捻出できない問題がある。復興助成金の期間延長を求めたいが、法律上の問題があり、厳しい。何らかの工夫を文化庁等に求めたい。

@ 調査職員の確保について

 a)採用の問題

 釜石・陸前高田両市は採用。大船渡市は採用していない。復興予算期限後の問題があるため、任期付が多い。世代交替による採用枠だけで対応することは困難。

 b)派遣の問題

 派遣は県で受け入れる。試掘担当が3県で異なるという問題がある。岩手県は担当者のいない町村では、事務を町村が行い、試掘担当者は県が派遣する。阪神淡路大震災時は、支援を受けた神戸・芦屋・西宮3市とも埋蔵文化財の調査体制が整っていたため、派遣を受け入れることに対応できた。しかし今回の被災地は調査体制ができていないところもあり、体制があったとしても試掘準備などの事務量が増大したことによってそれに忙殺され、最も得意とするところの、自らの調査に対応できなくなっている。文化庁はこういう問題があることを理解できていないのではないか。県からの派遣者が事務処理を担当できないという問題もある。事務職が派遣されているケースもあるが、市町村が求めているのは発掘だけでなく、事務もできる人材である。こういった望みにかなうような人材を派遣できないか検討を要する。

A 民間調査機関活用希望の有無と問題点

 三陸の逼迫した実情を見ると、民間調査機関の導入も視野に入れて復興調査を円滑に進めるべきである。その際、民間調査機関の導入は、行政が監理することを条件に認めることは従来と変わらない。

 派遣者が行政として監理して民間活用する方式があってよい。民間を入れる枠組みづくりを検討する必要があるのではないか。民間事業も含めた全事業に対応できる仕組みが必要ではないか。

 来年度急激に増大する復興事業対応調査をクリアできないと、埋蔵文化財・考古学への批判に向かう危険性がある。平時用と非常時用を分けて対応する必要がある。しかし、突如本格導入することの困難さも考えるべきであり、今後各機関との協議が必要である。

B 被災3県への要望について

 試掘や盛り土対応など、調査の分担や基準・方式に県ごとの差がある。基準は従来と変わっていないというが、実情を確認する必要がある。

C 文化庁への要望について

 文書での要望ではなく、面談の際に口頭で伝える。

(4)2013年度総会における特別委員会のセッションについて

 5月26日(日)の午前10時〜12時に開催する。

 テーマ:東日本大震災と埋蔵文化財−レスキュー・復興調査− 前年はレスキューが主となったが、今回は復興調査が主題となる。原発被災立入り制限地区内文化財についても触れる必要がある。その構成は以下のとおりとする。

 報告者は福島県の方を早急にあたる。

(5)被災文化財等救援委員会公開討論会

 年末に、被災文化財等救援委員会から、1月23日・2月4日・22日の3日間<被災文化財救済活動について考える会「語ろう!文化財レスキュー−被災文文化財等救援委員会公開討論会−」>開催情報が入り、メールで情報回覧した。

 菊地・渡邊両委員が参加申請した。菊地委員には「3必要とされる技術−4)放射能汚染地域での救出活動」と「4人材−1)救出活動」で発表してほしい旨連絡があった。

 関連して、全史協(全国史跡整備市町村協議会:会長は太宰府市長)が文化財レスキューや復興調査について支援活動していることが報告された。(資料:河北新報2012.12.10倉委員投稿記事)

(6)「復興調査の現状を語る」講演会・報告会

 現地視察の折、ある市教育委員会担当者と懇談した際に、本格化する復興調査に光をあてた「復興調査の現状を語る」講演会か報告会を協会主導で開催してはどうかとの話があった。この事業を震災委の事業として、来年度開催することとしたい。開催時期は来年度の夏〜秋。企画立案は震災委で固め、会場は地元が用意するようなかたちで、市民向けの内容とし、発掘調査の成果や埋蔵文化財の意義などを報告して、埋蔵文化財足枷論から理解への転換を促したい。日本考古学協会・県と市との3者連携が必要である。参加した市民から行政的な要望・意見が出ることも考えておく必要がある。

 開催することについては合意が得られた。講演会は大掛かりでないものとし、年間2回の開催とし、2013年度は岩手県と宮城県、2014年度は福島県他。開催地と会場は、今後詰めていく。演者3人程度の講演会とし、震災委事務局と当該県の委員で検討することが承認された。

(7)今後の予定

 @ 文化庁との面談・意見交換
 震災復興調査の議題を中心に年度内に行いたい。2月〜3月上旬を予定。石川委員を交渉担当とし、日程が合えば、被災3県の委員にもぜひ出席してほしい。

 A 次回委員会:総会時に会場校にて、5月25日(土)正午〜午後2時に開催。

(東日本大震災対策特別委員会委員長 渋谷孝雄)