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会報179(2013年8月発行)掲載

一般社団法人日本考古学協会第79回(2013年度)総会報告

 日本考古学協会第79回(2013年度)総会は、5月25日(土)・26日(日)の両日、駒澤大学において開催された。酒井清治実行委員長の指揮のもと、OBを中心に十分な受け入れ準備を整えていただき、当協会総会の開催受け入れも今回が12年ぶり、3回目ということであった。

 今次総会にあたっては、前日の24日に理事会と埋蔵文化財保護対策委員会、25日は駒澤大学記念講堂において第79回総会と公開講演会、駒澤大学によるセッション1「初期国家形成とイデオロギー」(発表5件)が開かれ、その後、駒澤大学深沢キャンパス洋館大ホールで懇親会を催した。翌26日は、駒澤大学1号館の4会場に分かれて口頭発表(40件)、同1号館ではセッション2会場(発表20件)、体育館ではポスターセッション(18件)が開かれた。また、図書交換会も体育館で開催され賑わった。両日の参加者は会員1,054名、一般464名、合計1,518名に上った。

 さて、総会ではまず田中良之会長から開会の挨拶があり、大震災から2年が経ち、文化財があたかも復興の妨げであるかのように言われる厳しい現実があること、福島の汚染が広範囲であることを指摘した上で、東日本大震災対策特別委員会によるセッションが予定されている旨、会員諸氏の関心を改めて喚起した。また、その他に重要な問題として「協会図書寄贈先の公募」の問題と「定款・規則の改訂」があることが改めて指摘された。また、国際化とナショナリズムが同時進行している現在、日本考古学が世界考古学の中で重要なジャンルになるべく、日本学術振興会の援助を受けて英文ジャーナルを創刊することが決定したことが報告された。会長挨拶ののち、実行委員会を代表して酒井清治実行委員長から、3回目となる日本考古学協会の開催を歓迎する旨のご挨拶があった。続いて、司会から総会の成立要件を満たすことが報告され、議長団、書記団を選出ののち、議事(報告事項、審議事項)に入った。以下要点を報告する。

 まず、報告事項として最初に第3回日本考古学協会賞選考委員会報告並びに表彰があり、大賞を受賞した東村純子会員、奨励賞を受賞した小畑弘己会員への賞状及び記念品の授与があった。その後、2012年度事業報告ののち、入会資格審査報告があり、75名の申込みのうち72名が資格を満たしているとの報告があり、承認された。新入会員を代表して、長谷川博幸氏(群馬県)が抱負を述べた。今年度の物故者は15名、退会者は66名となっている。なお、当協会の2013年3月末日の会員数は4,188名である。協会図書に係る特別委員会からは、泉 拓良委員長により、全委員が一致して「日本考古学協会所蔵の図書は、日本考古学協会会員を含む一般市民への公開が可能な国公私立大学図書館、公立図書館、公立の機関並びにこれに準ずる研究機関へ一括寄贈する」という結論に至ったことが報告された。また、定款・規則等の見直し検討会からは、倉洋彰副会長により定款・規則等の見直しの概要と日程についての報告があり、定款の改正原案は12月の会報に、規則の改正原案は3月の会報に掲載予定で、2014年の第80回総会で、会員の3分の2の賛成で成立する予定であることが報告された。また、機関誌の電子化・国際化検討会からは、近藤英夫理事により、2013年度から電子版英文ジャーナルが増刊され、10月には創刊予定であることが報告された。

 続いて審議事項に移り、2013年度事業計画案が提示され、原案どおり可決された。その後、橋口定志理事から協会図書一括寄贈の提案と説明があり、原案通り可決された。これを受け、新たな募集要綱作成の為、2009年制定の「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書寄贈先募集要綱」の廃止が提案され、可決された。次に、「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書の寄贈先募集要綱(案)」が提案され、質問を受け、三箇所の訂正の後、原案通り可決された。また、倉洋彰副会長から、2012年度をもって退職した水村孝行前事務局長の常務理事退任に伴い、定款第24条第2項により長瀬 衛事務局長の理事選任及び水村理事の退任についての議決を求める提案があり、議決が行われ、承認された。

 総会閉会の後、引き続き公開講演会に移行した。田中良之会長の開催挨拶ののち、新田栄治会員による演者紹介、廣瀬良弘駒澤大学長の挨拶に続き、飯島武次駒澤大学教授による「西周王朝成立期の周形土器と殷形土器」の講演会が開催された。西周王朝建国期の関中の土器には、周形土器と殷形土器が見られるが、その中心は、周形土器のうち鄭家坡型式の土器であること、それが姫姓の遺物であることが中国における長年の実地共同調査と古典文献史料の研究をもとに論じられた。未解明な部分の多い西周王朝建国期という時代に一つの大きな見通しを与えてくれた講演であった。また、講演で取り上げられた土器(鬲)が、駒澤大学禅文化歴史博物館の企画展示「中国三代(夏・殷・周)の土器「鬲」」で見学できたのも有難かった。公開講演会に引き続き、駒澤大学セッション「初期国家形成とイデオロギー」が開催され、趣旨説明ののち、アンデス形成期の神殿、古代ローマにおける政治集会場所や銀貨とイデオロギー、殷周期における青銅器祭祀の変革、日本の国家形成期における辟邪思想及び中華思想の流入と黥面思想の関係、というように国家形成とイデオロギーに関わる世界の様々な地域の資料に基づく発表があり、興味深いセッションであった。このセッション終了後、会場を駒澤大学深沢キャンパス洋館大ホールに移し、懇親会が開催された。マギル大学名誉教授、井川史子先生をはじめとする各氏にご挨拶を頂きながら、しばし愉快な歓談の時を過ごした。

 翌26日は4会場に分かれて40件の口頭発表、同時に2会場に分かれて4件のセッションが開催された。このうち、公募セッションは、「骨をよむ−形態的痕跡から読み解く生活誌−/発表5件」「ススコゲからみた炊飯方法の復元/発表6件」「東アジア・東南アジアにおける一括出土銭の最新研究/発表6件」である。いずれも現在注目されているテーマによる最新の研究成果が提示された。協会内の委員会が実施するセッションとしては、東日本大震災特別委員会による「東日本大震災と埋蔵文化財−レスキュー・復興調査−/発表3件」が開催された。佐藤宏之委員による趣旨説明では、今年度から3年間が復興調査のピークになること、事業の遅滞は不可であるが、事業量予測が困難なこと、担当職員が不足していること、復興交付金の期限である平成27年度までに整理作業と報告書の刊行が終わらないものが出てくる可能性があることなどが指摘され、続いて津波の被害を受けて、集団移転のための考古学調査が行われている気仙沼の事例が幡野寛治氏によって、東京電力福島第一原子力発電所事故の被害を受けた富岡町歴史民俗資料館の事例が三瓶秀文氏によって報告された。今総会の18件のポスターセッション会場は、図書交換会の会場となった体育館1階の入口を入ってすぐ正面の場所に設営するという工夫がなされ、多数の来場者があった。

 以上のように本総会は多数の参加者を得て成功裡に終了した。これはひとえに駒澤大学と酒井清治実行委員長をはじめとする大会実行委員会諸氏の周到な準備と熱意、考古学専攻学生及びOB諸氏計約100名の惜しみない協力による賜物である。会員ともども心より御礼申し上げたい。 (総務担当理事 田中和彦)

一般社団法人日本考古学協会第79回(2013年度)総会(抄録)

 午前10時、古瀬清秀理事の司会で開会し、冒頭、前年度の物故会員15名に対して黙祷を捧げた。その後、田中良之会長、駒澤大学酒井清治実行委員長から挨拶があった。続いて司会から、現在の会員数が4,188名で、本日の出席者103名、委任状預かり分1,138名、合計1,241名となり、この総会が成立する旨の報告があった。
 次に、議長団及び書記団の選出に移り、議長団として相京建史会員、塚田良道会員、江口桂会員、書記団として森原明廣会員、鍋島直久会員が選出された。議長団、書記団は登壇し、自己紹介の後、議事に入った。


【報告事項】

〈1〉2012年度事業報告

1.日本考古学協会賞の報告並びに承認、表彰

 川名広文理事から、大賞に東村純子会員、奨励賞に小畑弘己会員が選考委員会より理事会に推薦され、これを了承した旨の報告があり、推薦文が読み上げられた。議長は2名の受賞について承認を求めたところ、拍手をもって承認され、田中会長から2名の受賞者に賞状と記念品が授与された。

2.総会・大会・公開講座 3.理事会等 4.年報・会報・機関誌等

 田中和彦理事から、総会は2012年5月26・27日に立正大学で、大会は2012年10月20・21・22日に福岡の西南学院大学で行われ、公開講座は2012年12月9日、青森県の三内丸山遺跡縄文時遊館で、公開講座は「アジアの青銅器」というテーマで2013年1月27日、明治大学で開催されたとの報告があった。理事会は8回行われ、定期刊行物の発行は、年報が第63号、会報は176〜178、『日本考古学』は第33号、第34号が刊行されたとの報告があった。

5.入会資格審査報告並びに承認

 日高慎入会資格審査委員長から、75名の入会申し込み者のうち、2名の辞退者と基準を満たさない者1名があり、72名について異議申し立ての告知をしたが、異議申し立ては無く、72名が2013年度入会資格該当者となったことが報告された。議長から72名の入会について承認を求めたところ、拍手をもって承認された。承認後、新入会員は登壇し入会者を代表して群馬県の長谷川博幸新会員からの挨拶があった。

6.陵墓報告

 森岡秀人理事から、配付資料「陵墓報告」にそって報告があり、陵墓公開運動が30年を経過し、昨年刊行された『「陵墓」を考える』が紹介された。活動としては、宮内庁との陵墓懇談の実施、陵墓限定公開(大阪府堺市土師ニサンザイ古墳)への参加等が報告された。また、陵墓立入り観察については、奈良県桜井市箸墓古墳、天理市西殿塚古墳を対象に実施されたことが報告された。

7.研究環境検討委員会報告

 小川望理事から、委員会での活動経緯の説明があり、現況では、埋蔵文化財の資格制度、埋蔵文化財行政職員の環境問題、また、博物館学芸員の研究環境を中心に検討会や情報収集についての活動を実施しているとの報告があった。

8.国際交流委員会報告

 西藤清秀理事から、英文ホームページに掲載する2011年度の主要遺跡の選定と、日本中国考古学会、日本西アジア考古学会、東南アジア考古学会、日本考古学協会のアジア関連の考古学会団体による『第6回アジア考古学四学会合同講演会』の報告があった。

9.社会科・歴史教科書等検討委員会報告

 釼持輝久理事から、2012年度の新しい学習指導要領に基づく中学校の教科書について考古学的な立場から検討しているとの報告と、小学校教科書の旧石器時代未記載についても引続き取組んで行くとの報告があった。また、今後は学習指導要領についても考古学的な立場からの提言を行っていくとのことであった。

10.埋蔵文化財保護対策委員会報告

 橋口定志理事から、2012年度に提出した4件の要望書とその回答について説明があった。また2月に開催された文化庁との懇談会については、東日本大震災対策特別委員会と合同で行われたが、遺跡の保存や整備についての意見交換を行ったとの説明があった。

11.東日本大震災対策特別委員会報告

 渋谷孝雄委員長から、被災地で直面する諸問題のうち、復興事業に係る埋蔵文化財の調査体制と報告書作成や高濃度放射能汚染の文化財の調査等の問題点について説明があり、問題の解決を図るため文化庁記念物課と面談を行ったことの内容についての報告があった。埋蔵文化財発掘調査については、当委員会から要望してきた財団法人から財団法人への派遣が可能となったことを一定の前進と受けとめながらも、発掘調査担当者はなお不足が予想されること、これに対処するためには民間調査機関の導入を視野に入れた条件整備も必要になるとの報告があった。

12.協会図書に係る特別委員会報告

 泉拓良委員長から、12回におよぶ特別委員会の審議と「協会図書に係る特別委員会答申書」の要旨説明があった。委員会では協会員以外の専門的知識を有する3名の委員を加え、幅広い立場から協会図書に係る問題について審議した。全委員の一致した結論として「日本考古学協会所蔵の図書は日本考古学協会員を含む一般市民への公開が可能な、国公私立大学図書館、公立図書館、国公立の機関並びにこれに準ずる研究機関へ一括寄贈する」に至った。審議は協会が図書を所蔵するに至った経緯、デジタル化についての検討、アンケート調査の実施と結果、受領を検討していた機関への予備調査の実施や、合わせて所蔵を継続する場合での経費の積算などが検討されたとの説明があった。実施方法については、募集要綱として第1条から第11条及び実施要領を「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書の寄贈先募集要綱(案)」として理事会に報告した。しかし、アンケートによる会員の意向として、協会での図書の継続収集や所蔵を希望している意見も少なくなかった。委員会では、こうした考古学協会の所蔵図書がもつ重要性を考えて、委員会が一つの方針を示すのではなく、重複図書や協会の図書収集をどのように扱うかについては、具体的に寄贈の交渉を進める上で最も適切な条件を探ることを基本的な考え方とした。報告の最後に、12回の委員会で所蔵図書に係るさまざまな問題を審議したが、詳細な議事録を事務局にて保管してあり要望に応じて閲覧ができるとの報告があった。

13.定款・規則等の見直し検討会報告

 倉洋彰副会長から、一般社団法人日本考古学協会の定款・規則等の見直しの概要と日程について説明があった。見直しの理由は「一般社団法人および一般財団法人に関する法律」の改正に伴うもので、また、現行の定款は有限責任中間法人の内容に手を加えたもので不足や矛盾する部分があり、抜本的に見直しすると共に、関連する規則等を再検討する必要があるとの説明があった。改正作業は総務会のメンバーを中心に原案作成を進め、定款の原案は12月の会報180で、規則改正の原案は3月の会報181に掲載し、2014年の第80回総会で、会員の3分の2の議決を得られるための原案作成作業を進めているとの報告であった。

14.機関誌の電子化・国際化検討会報告

 近藤英夫理事から、新たな助成事業の報告があった。協会で刊行している機関誌『日本考古学』は「学術定期刊行物」の科学研究費助成事業であったが、2013年度より「国際情報発信強化」として電子化・国際化等、ジャーナルの改善に関する取組内容の助成へと変更があったことから、これに申請をしている。従前の『日本考古学』については予算を工面して継続すること、この新たな取組みについては、溝口孝司会員が編集長を担当し、10月には創刊号がインターネット上で公開される予定であることが報告された。

15.2012年度決算報告並びに監査報告

 大工原豊理事から、貸借対照表及び正味財産増減計算書、並びに特別会計東日本大震災募金についての詳細な説明があった。続いて吉田哲夫監事から、白井久美子監事と共に2012年4月1日から2013年3月31日までの第10期事業年度の事業報告のすべてについて監査を行った結果、適法かつ正確であることを認めたとの報告があった。

16.日本学術会議報告

 新田栄治理事から、第22期学術会議の協会員メンバーの構成と4つの分科会についての説明があり、このうち文化財の保護と活用に関する分科会についての活動報告と3つのテーマについて提言が報告された。

 予定されていた報告事項が終了し、議長は「日本考古学協会賞の報告並びに承認」、「入会資格審査報告並びに承認」を除く各報告についての質問を受けた。

 京都府の鈴木重治会員から吉野ヶ里遺跡が破壊される危惧について、埋蔵文化財保護対策委員会の対応と独自調査の実施について伺いたいとの質問があった。
 橋口理事から、その件に関する情報が少しずつ入っており、埋文委の月例会や幹事会でも話題になっているとの回答があった。合わせて具体的な情報を九州の会員より収集しているところで、取組みが必要と判断されれば具体的に動くことになると回答した。
 鈴木会員から、早急に埋文委でも事実関係を確認して頂きたいとの要望が出され、また、地元では多くの考古学関係者からも工事に対する反対署名が出されているとの報告があった。

 質問はこれをもって終了し、各事業報告及び決算報告並びに監査事項について決議に諮ったところ、拍手多数で承認された。

17.その他

 議長から「議案17.その他」についての発言があり、大竹憲昭理事から、会員からの要望事案に関する報告があった。要望事案は二つあり、不法な取引によって輸入された文化財に対する協会の見解と協会各委員会の構成メンバーの開示要求であった。不法な取引については、2010年の第76回総会で同会員から出された同一事案で、理事会で国際交流委員会に委任された経緯がある。事案はユネスコの条約等の国政レベルにおよぶものであり、所有権が絡んでくるデリケートな問題でもあるので、理事会では継続審議と回答した。こうした経緯を踏まえ、理事会でも慎重に進めていくとの説明があった。次に、協会の各委員会構成メンバー開示の要望については、公式サイト等での開示は、一部で委員会の性格上難しい部分があり、総務会で検討した上、7月の理事会に諮って回答すると説明した。

 この報告に対して、東京都の五十嵐彰会員から、理事会で総会の審議事項として取上げないとした理由が国政レベルの事案であるとの記載があるが、国政レベルの事案とは何かとの説明が求められた。

 これに対して、田中理事が、国政レベルというより、厳密にいうと、国家間のレベルの問題であり、ユネスコの「文化財の不法な輸入、輸出及び所有権移転を禁止し及び防止する手段に関する条約」に則って、外交によって問題を解決する重要性を説明した。五十嵐会員からは、文化財返還問題は外交及び国際的な問題だけではなく、国内問題で、アイヌ民族の人たちに対する返還問題でもあると考えているとの反論があった。田中理事からは、この要望は理事会で決定したものではなく検討事項になっていると説明し、その点を含めて時間をかける必要があると説明した。

 ここで、議長から理事会での検討事項として質疑を打ち切るとの発言があり、五十嵐会員からも異議もなく報告事項についての議事はすべてを終了した。

 議長から次の審議事項に移るとの発言があり、拍手をもって賛成された。


【審議事項】

〈1〉2013年度事業計画(案)

 田中理事から、総会は駒澤大学において2013年5月25・26日に開催され、大会は10月19・20・21日に長野県の長野市若里市民文化ホール及び長野県社会福祉総合センターで開催予定。公開講座は四国か北海道での開催を調整中。アジア考古学四学会合同講演会は例年どおり明治大学で開催予定であるとの説明があった。

 理事会は年7回予定され、総務会は定款・規則等の見直し検討会を随時開催する予定で、年報・会報・機関誌等については、年報第64号が2013年5月、年報65号は編集準備中、会報は179・180・181、『日本考古学』は第35号を5月、第36号は10月刊行を予定しているとの説明があった。

 また、今年度から始まる英文電子ジャーナル『Japanese Journal of Archaeology』については10月に創刊号の公開を予定している。公式サイトについても例年どおり更新するとの説明があった。組織については、本年度は理事選挙で準備を進めており、入会資格審査も例年どおり行う予定である。陵墓に関する活動も例年どおり行い、研究環境検討委員会は5月25日に委員会を予定している。国際交流委員会は、公式サイトに英文で「発掘された日本列島展」の主要遺跡を掲載し、アジア四学会合同講演会を開催予定である。社会科・歴史教科書等検討委員会は中学校の教科書を中心に活動を行い、日本考古学協会賞の選考は例年どおり実施することが説明された。埋蔵文化財保護対策委員会では5月24日に委員会を開催し、幹事会を毎月1回、研修会、情報交換会は各1回を開催し、合わせて要望書を提出していく方針である。東日本大震災対策特別委員会は、総会・大会でのセッション等を引き続き実施する予定である。協会図書に係る検討小委員会については、特別委員会を引き継ぐ委員会で、委員長に松尾副会長があたり、泉委員、木下委員、橋口委員、古瀬委員、オブザーバーとして白井会員が加わり、募集規定に基づく寄贈先の募集や選定を検討する。定款・規則等の見直し検討会は、引き続き総務会で検討し、改正原案は12月及び3月の会報に掲載して会員に周知し、2014年度の総会に諮ることを予定している。日本学術会議については例年どおり参加していく。

 2013年度事業計画についての質疑は、福岡県の武末純一会員から、埋蔵文化財の調査に携わる職員の研究環境が低下していることについての対応と改善についての質問があった。近藤理事から、震災などの対応で中断しているが、研究環境や資格問題は引き続き検討していくとの回答があった。その他質疑はなく、2013年度の事業計画案は拍手をもって原案どおり可決した。

〈2〉一般社団法人日本考古学協会所蔵図書の一括寄贈について

 橋口理事から、特別委員会答申書に基づき、協会図書の一括寄贈の提案説明があり、議長から質問を受けるとの発言があったが、質問はなく、拍手をもって原案どおり可決された。

〈3〉2009年制定「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書寄贈先募集要綱」の廃止について

 橋口理事から、新たな募集要綱の作成に向けて2009年に制定された「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書寄贈先募集要綱」を廃止するとの説明があった。この議案説明に、議長から質問を受けるとの発言があったが、質問はなく、拍手をもって原案どおり可決された。

〈4〉一般社団法人日本考古学協会所蔵図書の寄贈先募集要綱(案)について

 橋口理事から、「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書寄贈先募集規定」及び「協会所蔵図書受贈者の公募について(案)」並びに「日本考古学協会所蔵図書受贈申請書(案)」について3カ所の訂正箇所の説明のあと、実施要綱、応募期間、収蔵冊数などの説明があり審議した。

 議長から質問を受けるとの発言に、埼玉県松本富雄会員から公募期間の質問があり、橋口理事から、答申書での「受け入れる現実的基盤がある」との考えと公的機関の予算編成時期を考慮したとの説明があった。次に埼玉県の高橋一夫会員から、今回提案された募集要綱と2009年制定の要綱との違いについて質問があった。泉委員から、前回との異なる点は、受け入れ側での具体的な問題点をあらかじめ整理し、現実的な可能性や対応について事前調査を経て作成したとの説明があった。次に東京都の石井則孝会員からは、複数の団体から応募があった場合の選定審査について質問があり、橋口理事から一律な審査基準ではなく、応募があった機関と意見交換による受け入れ状況等を加味して、小委員会で検討していくとの説明があった。石井会員からは前回のようなことにならないよう、明快な審査事項で決定することが必要であるとの指摘があった。次に東京都の佐藤宏之会員から、寄贈先での図書の所蔵期間や廃棄の取扱いについて明記されていないが、その対応について説明を求める発言があった。泉委員から、当然なこととし募集の段階で図書の取扱いについての諸条件を定めて調査する旨の説明があった。

ここで議長から質疑打ち切りとの発言があり、「一般社団法人日本考古学協会所蔵図書の寄贈先募集要綱(案)」の議案について決議に入り、拍手多数により原案どおり可決した。

〈5〉理事の選任について

 倉副会長から、2012年度をもって退職した水村孝行前事務局長の常務理事退任に伴い、定款第24条第2項により長瀬衛事務局長の理事選任及び水村理事の退任についての議決を求める提案があった。人事案件であるため議決に移り拍手で承認された。長瀬会員は起立して理事就任について同意した。

〈6〉2013年度予算(案)

 大工原理事から、2013年度予算は会費収入41,390,000円、補助金収入3,900,000円、利息、雑収入2,695,000円、繰越金3,088,503円の合計51,076,503円との説明があった。収入の部では前年度補助金収入1,200,000円に対し、新たな補助金収入である平成25年度科学研究費の3,900,000円があり、前年比2,700,000円の増額となっている。支出の部では給料手当が2,006,260円の減額になること及び消耗品費等の増額についての説明があった。

 2012年度予算案の質疑として、埼玉県の鈴木正博会員から、会員サービスの向上、明確な基本方針に基づく予算編成についての意見があり、大工原理事からは、今後理事会等で方向性を諮っていきたいと述べ、さらに藤田理事が補足説明を行った。

 次に、埼玉県の高橋一夫会員から、日本考古学年報の刊行意義についての提案があったが、議長から理事会の検討事項として、質疑打ち切りの発言があり、直ちに決議に入り、拍手をもって「2013年度予算(案)」は原案どおり可決した。

 以上をもって総会議事はすべて終了した。(午後1時00分)

2012年度事業報告

2013年度事業計画