高知市浦戸城跡の保存と活用に関する要望書について(回答)
26高文推第828号
平成27年3月13日
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 矢島 國雄 様
高知県知事 尾﨑 正直
高知県教育長 田村 壮児
高知市浦戸城跡の保存と活用に関する要望書について(回答)
平素は、本県の文化振興につきまして、格別のご協力をいただき厚くお礼申し上げます。
さて、2015年2月23日付けで提出がありました貴団体からの要望書について、下記のとおり回答いたします。
記
1 浦戸城跡の歴史的価値と景観を損ねる、坂本龍馬記念館新館の城跡内への建設を中止すること。
(回答)
坂本龍馬記念館新館建設の指針となる「坂本龍馬記念館リニューアル基本構想」は、各分野の専門家や関係者等で組織する委員会において検討を重ね、さらにパブリックコメントを経て策定したものです。
新館は、現在の記念館における、貴重な資料を収蔵・展示する博物館としての機能不足等の課題に対応するために整備するものであり、現在の記念館の隣へ増築する必要があります。
過去の開発等により、この場所に遺構等が残っている可能性は極めて低いと考えられますが、文化財保護法に基づく所定の手続きにより現状の確認を行うこととしています。
新館の整備は、リニューアル基本構想に基づき、周辺景観との調和に十分に配慮して進めてまいります。
2 浦戸城跡の歴史学的・考古学的内容を正確に把握し、その保護・整備・活用を図り、浦戸城跡の国史跡化に向けて取り組むこと。
(回答)
浦戸城跡は、高知県の観光地の一つ桂浜に隣接していることから各種の開発工事が行われ、坂本龍馬記念館及び新館予定地は以前にプールのある娯楽施設の建設と撤去があったことが判明しています。しかしながら、長宗我部氏の居城であり一部には遺構が確認することもでき、これまで高知市と連携して平成3年度には本城から西側に伸びる尾根部分の確認調査を実施しました。また、平成5年度の国民宿舎改築工事に伴い発掘調査を実施し工事で影響のある石垣等の出土遺構については記録保存し、また、関係者と協議のうえ一部については現地保存も行っています。
浦戸城跡は、高知県の中世から近世にかけての城郭の変遷を示す歴史上の重要な遺跡であると受け止めていますが、国史跡化や保存・活用については、所有者として管理している高知市の意向も確認していきたいと考えています。
以上