坂東市神明遺跡の保存に関する要望書
埋文委 第1号
2018年5月10日
文化庁長官 宮田 亮平 様
茨城県知事 大井川和彦 様
茨城県教育長 柴原 宏一 様
坂東市長 木村 敏文 様
坂東市教育委員会教育長 倉持 利之 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦
坂東市神明遺跡の保存に関する要望書について
標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上極めて重要な内容をもつものでありますので、貴殿におかれましては、適切な保存と活用に関する対策が速やかに講じられることを要望いたします。
なお、まことに恐縮ですが、当件の具体的な措置、対策については2018年5月24日(木)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。
記
一、別添書類 一通
以上
埋文委 第1号
2018年5月10日
文化庁長官 宮田 亮平 様
茨城県知事 大井川和彦 様
茨城県教育長 柴原 宏一 様
坂東市長 木村 敏文 様
坂東市教育委員会教育長 倉持 利之 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦
坂東市神明遺跡の保存に関する要望書
茨城県坂東市に所在する神明遺跡は、縄文時代後・晩期の土器塚として知られていた遺跡です。この度、神明遺跡東半部に土地区画整理事業が計画されたことから、事業に先立ち確認調査が実施されました。調査に拠ると、遺跡はロームと黒色土を互層状に1m以上盛っていることがわかりました。盛土間には炉跡が検出され、その周辺に骨片が散布するなど、環状盛土遺構に特徴的な現象が認められました。こうした確認調査の結果、神明遺跡は中央低地をとりまく東西約270m、南北約170mに盛土が廻る、環状盛土遺構であることが明らかとなりました。また、環状盛土中に土器が敷き詰めたような面があるなど遺物が大量で、石剣・石棒、玉類、土偶など祭祀に関わるとみられる遺物が数多く出土していることも判明しました。さらに、環状盛土遺構の縁辺部に縄文時代晩期の住居跡が構築されていることから、本遺跡は祭祀施設と複合した拠点的な集落遺跡と考えられます。これまで、環状盛土遺構はそれと認識されずに調査が行われることが多く、実態分析に必要な情報がほとんど蓄積されておらず、環状盛土遺構の性格さえ明確になっていないのが現状です。そうした意味で、事前に環状盛土の遺跡であることが分かり、保存状態も良好な神明遺跡は、環状盛土遺構の性格を解明する上で好条件にある稀有な遺跡ということができるでしょう。また、環状盛土遺構は利根川流域を中心に分布していますが、坂東市内には環状盛土遺構が4遺跡も存在し、他の自治体と比べても多く、考古事象からみた市の個性となっています。今後、歴史文化を活かした地域再生にとって、神明遺跡は極めて重要な資源とみなすことができます。
以上のことから、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、きわめて重要な遺跡である坂東市神明遺跡の保存・活用に関して、下記のことを要望します。
記
1.土地区画整理事業を中止し神明遺跡を保存すること。
2.神明遺跡を通して地域理解を促進する遺跡利用マネジメントを推進すること。
以上