越谷遺跡(御所池地区)の調査について

島教生第1160

令和41017

一般社団法人日本考古学協会

埋蔵文化財保護対策委員会

委員長 山 田 康 弘 様

 

島本町教育委員会

教育長 中 村 り か

 

越谷遺跡(御所池地区)の調査について

令和4916日付けでいただいた照会項目について、下記のとおり回答いたします。

 

 

1 島本町文化財保護審議会の現地見学が、本年89日午前中に実施されたと仄聞いたしております。ついては、審議会委員のご意見はいかがでしたでしょうか。

また、回答の後段に記されている有識者による意見はお聞きになりましたでしょうか。お聞きの場合は、貴教育委員の照会内容と、それに対する有識者のご回答及びそれについての対応をご教示ください。

 

(回答)

令和489日に実施した島本町文化財保護審議会の現地見学では、当調査地内で行われた土木工事等に伴う掘削行為を、委員にご確認いただきました。

その後、令和491日に開催した島本町文化財保護審議会では、掘削行為についての事業主からの報告内容とその時点までの発掘調査により確認できた内容、研究者からいただいたご意見、今後の対応について報告しました。委員からは、掘削行為は確認できるものの、その範囲は狭く、今後の発掘調査により遺跡の性格を十分検証できること、発掘調査については、現実的な手法で実施し、その成果については客観的かつ正確に判断すること、水無瀬離宮の研究については、発掘調査以外にも文献の調査を進める必要があることなどのご意見をいただきました。

なお、令和491日の島本町文化財保護審議会の会議録については、本町のホームページにも掲載しております。

発掘調査内容については、まだ有識者に尋ねておりませんが、今後、調査地の土の堆積状況については、専門家に確認する予定です。

 

2 本年89日に当委員会の委員による視察が行われました。その報告によれば、西側のトレンチにおいて庭園遺構の構成要素である州浜状突起の一部と思われる遺構(盛り土)が検出されています。さらに州浜状突起は、埋設 管設置等によってその大半が大きく損壊されていることが認められました。

ついては当該トレンチの周辺において、改めて州浜状突起をその上面から精査する必要があると思われますが、そうしたトレンチ拡張など追加調査の措置はとられましたでしょうか。また、追加調査を実施する場合の調査方法についてもご教示ください。

 

(回答)

調査地に隣接する埋設管設置部分周辺については、工事により盛土された土を除去し、旧地形を露出させ、埋設管設置及び撤去工事による旧地形への影響範囲を平面的に確認しました。

全箇所の埋設管設置及び撤去工事の埋土を除去することは、遺跡を新たに損壊させる恐れがあるため、実施しませんが、事業主から提出された報告内容を検証するため、数箇所の埋設管の埋土を除去し、掘削された深さを確認しました。

 

3 上記の通り、当委員会では西側トレンチで検出された盛り土遺構に関して、庭園遺構を構成する州浜状遺構の可能性が高いと判断しております。また、この庭園遺跡は後鳥羽上皇の水無瀬離宮に関連するものと推測しています。

すなわち越谷遺跡は国指定史跡に値するほどの重要遺跡だと認識しておりますが、本遺構ならびに遺跡全体の重要性に関して、貴教育委員会ではどのように認識されているでしょうか。また、今後は有識者による指導委員会を 組織し、指導・助言を受けながら調査・保護することが必要と思われますが、貴教育委員会のお考えをご教示ください。

 

(回答)

現時点においては、庭園遺構を構成する州浜状遺構と断定できる遺構・遺物・堆積状況は確認できていないものと認識しておりますが、越谷遺跡内の埋蔵文化財についても本町にとって重要なものと考え、その他の遺跡と同様 に真塾に文化財保護行政を推進してまいります。

また、有識者による指導委員会については、組織する予定はありませんが、今後、必要に応じて検討を行ってまいります。