筑紫野市前畑遺跡の保存に関する要望書
埋文委 第12号
2017年3月31日
文化庁長官 宮田 亮平 様
福岡県知事 小川 洋 様
福岡県教育庁 城戸 秀明 様
筑紫野市長 藤田 陽三 様
筑紫野市教育長 上野 二三夫 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
教育長 藤沢 敦
筑紫野市前畑遺跡の保存に関する要望について
標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上極めて重要な内容をもつものでありますので、貴殿におかれましては、適切な保存の対策が速やかに講じられることを要望いたします。
なお、誠に恐縮ですが、当県の具体的な措置、対策については2017年 4月14日(金)までに、
当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。
記
一、別 添 書 類 一通
以上
埋文委 第12号
2017年3月31日
文化庁長官 宮田 亮平 様
福岡県知事 小川 洋 様
福岡県教育庁 城戸 秀明 様
筑紫野市長 藤田 陽三 様
筑紫野市教育長 上野 二三夫 様
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
教育長 藤沢 敦
筑紫野市前畑遺跡の保存に関する要望書
一般社団法人日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、筑紫野市大字若江及び筑紫地内に所在する前畑遺跡で発見された古代の土塁遺構の適切な保存を要望します。
2016年12月28日に筑紫野市教育委員会から発表された調査成果によれば、前畑遺跡で、南北方向に総延長500m弱にわたる古代の大規模な土塁遺構が確認されています。この土塁遺構は、7世紀後半に築造された可能性が大きく、調査地の北側・南側にさらに伸びることも確実なようです。
発見された土塁遺構の性格については、天智2(663)年に、朝鮮半島の白村江において、
わが国と百済の連合軍が、唐・新羅連合軍と戦った結果・配線し、次の敵軍襲来に備えるため、国の総力を挙げて構築された大宰府都城の防衛ライン(羅城)の一角を占める可能性が高いものと考えられます。
この防衛ラインについては、大宰府の北側においては。水城や小水城群を繋げたラインが確実となっていましたが、
南東側では十分に確認がとれていませんでした。前畑遺跡における土塁遺構は、そうした大宰府を取り囲む防衛ラインの一端と想定され、大宰府のみならず日本古代都城の中で構築された本遺跡は、学術的価値が極めて高いといえます。
隣接する自治体と協力した調査により、広域にわたる大宰府都城の防衛ラインの実態解明が進めば、その歴史的価値はいっそう明確になることは間違いありません。
以上に鑑み、一般社団法人日本考古学協会埋蔵文化保護対策委員会は、
前畑遺跡の土塁遺構の保存のために、以下の措置が取られることを要望します。
記
1.前畑遺跡の土塁遺構およびこれに連続すると想定される関連遺構の有無について実態の解明を図り、
これらの遺構群を一体として国史跡に指定し保存すること。
以上