北九州市城野遺跡の保存と活用に関する再々要望について

埋文委 第2号
2016年7月20日


文化庁長官 宮 田 亮 平 様
福岡県知事 小 川 洋 様
福岡県教育委員会教育長 城 戸 秀 明 様
北九州市長 北 橋 健 治 様
北九州市市民文化スポーツ局長 大 下 徳 裕 様
北九州市教育委員会教育長 垣 迫 裕 俊 様


一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦


北九州市城野遺跡の保存と活用に関する再々要望について


 標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上極めて重要な内容をもつものでありますので、貴殿におかれましては、適切な保存と活用の対策が速やかに講じられることを再度要望いたします。
 なお、まことに恐縮ですが、当件の具体的な措置、対策については2016年8月5日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。




一、別添書類 一通


以上



埋文委 第2号
2016年7月20日


文化庁長官 宮 田 亮 平 様
福岡県知事 小 川 洋 様
福岡県教育委員会教育長 城 戸 秀 明 様
北九州市長 北 橋 健 治 様
北九州市市民文化スポーツ局長 大 下 徳 裕 様
北九州市教育委員会教育長 垣 迫 裕 俊 様


一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦


北九州市城野遺跡の保存と活用に関する再々要望について


 日本考古学協会では、2011年2月25日付埋文委第12号において、城野遺跡の保存に関する要望書を提出しました。その後、現地での保存を市が断念したとの報に接し、2016年1月8日付埋文委第8号において、再要望書を提出しました。しかしながら、北九州市市民文化スポーツ局より2016年1月21日北九州市文文第2610号で寄せられたご回答では、方形周溝墓石棺の移築保存への方針変更と、玉作り工房の記録保存という、既定の方針が示されただけでした。
 再三ご指摘させていただいておりますように、当該遺跡は九州最大規模の方形周溝墓や稀有な玉作り工房を伴う弥生時代中期~後期にわたる大規模集落跡であり、北部九州地域を代表する極めて重要な学術的意義を有する遺跡です。本年3月には城野遺跡のすぐ近くに所在する重留遺跡から出土した弥生時代後期の広形銅矛が、国の重要文化財に指定されました。重留遺跡のさらに東側に所在する重住遺跡では、同時代の竪穴住居跡から200点ものガラス玉が出土しております。これら3つの遺跡が、弥生時代後期に、この地域に繁栄した拠点集落と考えることに誰も異論はないはずです。城野遺跡と周辺の遺跡は、「魏志倭人伝」に記された九州北部の国々に匹敵する勢力が、この地域に存在した可能性を示すものであり、城野遺跡の学術的意義はこれら周辺の関係遺跡と併せて考えると一層重要なものとなります。
 重留遺跡では、重要文化財に指定された広形銅矛を出土した竪穴住居跡は、当時の関係者の熱意と努力で今も地下に保存され、小規模ながら遺跡公園として一般公開されております。城野遺跡の土地は民間企業へ売却されておりますが、文化財保護に責任を持つべき行政機関として、当該企業への協力を求め、最後まで城野遺跡の保存と活用の方策を追求していただきたいと存じます。その際、周辺遺跡との関係を考慮し、総合的な保存と活用の方策を講じていくことが必要と考えます。以上のことから、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会では、再々度、城野遺跡の保存と活用に関する下記の要望をいたします。



1 城野遺跡の現状を保存し、史跡として整備と活用を図ること。
2 周辺の関係する弥生時代遺跡を含めた、総合的な保存と活用の方策を講じること。
以上