加古川市中道子山城の保存に関する要望について(回答)
加危管第764号
平成29年2月15日
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長藤沢敦様
加古川市長岡田康裕
加古川市教育長田渕博之
加古川市中道子山城の保存に関する要望について(回答)
2017年2月2日付埋文委第8号により要望のありました標記のことについて、下記のとおり回答いたします。
記
1.要望事項「中道子山城における無線塔の建設の撤回を指導すること。」について
中道子山城跡においては、平成29年1月30日から放送事業者による中継局設置工事が開始されております。
本市では防災行政無線が未整備であり、土砂災害のような局地的な災害時に、避難情報等を伝達する手段の整備が懸案事項となっていたところ、一昨年に当該事業者より、市有地である当地への中継局設置について相談を受けました。
当該事業者によって提供されるV-Lowマルチメディア放送は、細かな地域を限定した災害情報伝達が可能であり、本市懸案事項である局地的災害時の情報伝達に有効な手段となり得ることから、当地への中継局設置によって市域のほぼ全域が受信可能エリアとなることは、公益上望ましいことです。
中道子山城跡については本市においても重要な遺跡のーつと認識しており、今回の中継局設置については、文化財に対する影響が可能な限り無くなるよう指導を行いながら、関係機関と協議を重ねてまいりました。その過程で、遺構が破壊されることが無いよう、工事計画をその都度変更していただきました。
要望書の中で、事前調査で発見された石積み遺構やピットなどの遺構が破壊されることは大きな問題であることが記されています。これらは、曲輪縁部の礫敷きや岩盤のピット状の掘込みのことを指していると察しますが、これらの遺構の可能性のあるものは、工事区画を変更することで、破壊されることなく保存されています。
また、今回の設置工事につきましては、兵庫県立自然公園条例に基づく県の許可を得、また森林法に基づく市への届出を行った上で事業が進められていること等から、手続きについても問題がないものと認識しております。
以上のことから、中継局の建設について、撤回の指導を行うことは考えておりません。
2.要望事項「城跡の正確な範囲と構造を確認し、国史跡指定を視野に入れた保存措置を講じること。」について
中道子山城跡については、国史跡指定を視野に入れ、昭和62年度から平成2年度まで市有地において発掘調査を行うなど、城跡の正確な範囲と構造の確認に取り組んでまいりました。
今回の工事に際しては、事前調査の結果も合わせ、城跡の範囲と構造を把握した上で、事業者に指導を行い、遺構の保存措置を行ったところです。
今後とも、この遺跡の保存と活用に努めてまいります。