小学校社会科教科書について

歴史教科書を考える 第2号
2007.10.21 日本考古学協会社会科教科書問題検討小委員会

1.小学校社会科教科書について
社会科教科書問題検討小委員会
 「小学校社会科の教科書に、縄文時代や旧石器時代の記載がない」という問いかけが、2005年度日本考古学協会総会で、ひとりの会員からなげかけられました。
 これを契機に理事会のなかで検討がおこなわれ、2006年には「社会科教科書問題小委員会」が設けられました。それから理事会や講演会など機会あるたびに小委員会の会合がもたれ、現状を把握するために、教科書や指導要領などの調査をおこない「縄文時代や旧石器時代」から教科書の記載はなされるべきであると、強く確信をするに至りました。
 2006年度秋の愛媛大会で、はじめてポスターセッションを行い、説明やアンケートを実施して多くの会員や一般参加の方々からご意見や情報を得ることができました。また、大会声明という形で「小学校社会科教科書」に列島の黎明期の記載を復権させることを強くアピールしました。多くの会員にこのアピールは受け入れられ、これに勇気づけられて、さらに教科書や指導要領、副読本などの資料を調査し、問題点を検討してきました。群馬県太田市での日本考古学協会公開講演会(3月)や明治大学での日本考古学協会総会でポスターセッションを開き、広くアピールしてきました。全国の会員ならびに多くの方々から、参考になる貴重な意見や情報、資料などを得ることができ、感謝いたしております。
 今回は、教科書や指導要領を調査するにつれて、時間の経過と共に教科書の内容が変えられていく状況が明らかになりました。現状を知るほかに、教科書がどのように変わっていったのかを確かめる必要がでてきました。そのために1945年の戦後の教科書から現在まで、どのような変化があるかを明らかにしようと資料の調査や比較を進めています。
 2007年9月12日の新聞報道によると、文部科学省では指導要領の改訂を進める中で、弥生時代以前の記述を増やすという方針だと伝えられています。日本考古学協会がおこなった文部科学省や中教審へのアピールがいくらか役に立ったかと思っています。これからは小学校ばかりでなく中学校社会科や未履修問題で取り上げられた高校の世界史教科書を含めて、歴史教科書について、幅広く粘り強く検討と提言を続けて行きます。
 2007年熊本大会ではその途中経過を中心にして、ポスターセッションを開きますので是非ご覧になって、ご意見や感想、情報などをわれわれにお聞かせ下さい。今後とも会員の皆様のご支援とご協力とをお願いいたします。
2.小学校6年生の社会科教科書に旧石器・縄文時代の記述を
釼持輝久(社会科教科書問題検討委員)
 私が勤務した神奈川県横須賀市の小学校6年生は、光村図書発行の社会科の教科書を使用している。この2004(平成16)年検定済みの教科書を開くと、日本の歴史は「米づくりの始まりとくにの統一」という単元から始まり、児童は弥生時代から学習することになる。では、旧石器・縄文時代はというと「ひろげる ふかめる」-発展的学習というーということで、教科書の終わりの方で「日本にもゾウがいた」「縄文時代に栄えたむらー三内丸山遺跡」が各2ページにわたって記述されている。ただし、この部分については、目次のページの下の部分に細かな文字で「学習指導要領に示されていない学習内容であり、一律に学習する必要はありません」と書かれている。教師は児童に対して教えても教えなくてもよい。児童は興味関心があったら、休みの日などに博物館や遺跡に行って、自分で学習してみようという扱いなのである。さらに後のページの年表を見ると、縄文時代の名称はあるが、旧石器時代の名称が入る枠はあるが空になっている。
 小学校の社会科教科書は現在、光村図書を含めて5社が発行している。光村以外の教科書をみると、いずれもいきなり米づくりの弥生時代から始まり「むらからくにへ」となる。また、発展的学習として旧石器・縄文時代をまったく扱っていない教科書もある。
 この原因は、教科書執筆の基となっている文部省の学習指導要領にある。1977年に告示された学習指導要領のその内容には、縄文時代という名称は使われてはいないが、「我が国において漁猟や農耕が始まったころの人々の生活及び大和朝廷による~」とあったものが、1998年に告示されたものでは「農耕の始まり、古墳について調べ、大和朝廷による~」に変わったからである。しかも、その内容の取り扱いについては「学習指導要領に示された事項にとどめ、網羅的に取り上げないようにすること」と記されている。このため、教科書会社にしても教科書執筆者にしても、法的拘束力があるとされる学習指導要領を越えての教科書は作れないのである。
 小学校の教師として、なぜ旧石器・縄文時代が教科書に必要かといえば、次の3点があげられる。①いきなり弥生時代に入ってしまうと、日本の歴史ですぐに農耕が始まり、クニができてしまうような誤った歴史認識を児童に持たせかねない。②縄文時代は文部省がかつて言ったように、人間と自然の関係や社会生活を理解させるには最も単純化した時代で、児童には最もふさわしい時代である。また、縄文時代の遺跡は各地にあり、見たり遺物を実際に手で触れたりすることができ、児童に興味関心を持たせやすく、特に歴史学習のスタートということで大切な時代である。③私の小学校29年、中学校7年合計36年間の経験のなかでは、私自身が考古学に関わっているということを差し引いても、縄文時代は児童・生徒に一番人気の高い時代なのである。
 このような訳で、小学校の歴史教育の上で、旧石器・縄文時代はたいへん重要な位置を占める(他の時代が重要ではないということではない)。しかし、多くの小学校の教師は大学等の小学校課程を出てきても、必ずしも社会科歴史専攻ではなく、理科であったり音楽であったりもする。このため、学校や市・町・村の社会科のカリキュラムに旧石器・縄文時代が記述されていなければ、多くの教師は弥生時代から児童に教えるのである。
 このようなことから、日本考古学協会でも昨年からこの問題に取り組んできている。協会の取り組みを取材した読売新聞は2006年12月22日の記事の中で文部科学省教育課程課は「歴史は中学校でも学ぶ。小学校では通史は教えないことになっている」とした。たしかに学習指導要領では「網羅的には取り上げない」とされている。しかし、同じ学習指導要領には「各学校においては、地域の実態を生かし、児童が興味・関心を持って学習に取り組めるように~」とされている。この点からいけば、長野県野尻湖や群馬県岩宿遺跡の近くの学校では、当然旧石器時代が教えられるべきである。私が勤務した学校の学区でもナウマンゾウの化石が発見されているし、旧石器時代の遺跡もあり、学校のホームページにもナウマンゾウのことが載っている。こうしたことからも「通史は教えない」からといって、教科書に旧石器・縄文時代を記述しなくてもよいということにはならないのではないか。
 現在進められている学習指導要領の改訂に関して、中日新聞は2007年9月12日「縄文時代が復活」、文科省の素案では「歴史や文化を大切にし~農耕の始まり以前の内容についても取り上げる」と報道した(朝日新聞も同様)。協会をはじめとしての運動の成果であると思う。しかし、今までの経過から考えても、旧石器時代が扱われるかどうか疑問であり、手放しで喜べない。
 小学校6年生の社会科教科書に、きちんと旧石器・縄文時代の記述をされてほしい。今後も協会の仕事として教科書の検討を進めねばと考える。
3.総会でのアンケート結果より
 今春の日本考古学協会総会でも引き続き小学校の歴史教科書に関するポスターセッションをおこない、その場でアンケート調査をおこない、33名(うち非協会員13名)から答をいただきました。以下、その結果を
集約したものです。
設問①1989・98年の小学校学習指導要領の改訂、社会科教科書の改訂の内容について知っていたか
   Yes 19名   No. 14名
設問②展示したパネル・解説・教科書等への感想。
■なぜこうなる前に止められなかったのか
■日本列島の歴史を学ぶ機会を意図的に削られている気がします。
■子供たちは列島の長い歴史を知らないで「旧石器や
縄文時代の国家形成までの長い時代が合ったことを知らないで過ごすことは許されない。
■89年改訂以降の教科書改革の変化を具体的に表示したら、より事態の深刻さを浮き彫りにできるのでは。
■いきなり米作りの技術をもった人々が日本に出現したような感じを受け、不可解だった。
■教科書が弥生時代から始まっていることにびっくり。
■普段全く気づいていませんでした。ここまで教科書が変わっていたとは驚き。研究の成果の建設的な公開が全く欠けていることに気がつかされた。
■大人はみんな知っている旧石器時代・縄文時代とそれを体系的に教えられていない小学生とその予備軍をどのようにするのか。
■旧石器・縄文時代がない教科書があるのは大変に残念。また、カラフルになったり、復元図が多用されているがイメージの固定が起こりやすい危惧がある。
■イラスト・図が多く、実物写真が少ない。
■少し前に発掘現場の作業員さんから旧石器時代・縄文時代がないと聞いてたが、実際の教科書をみて、全くゆがんだ教育手本だと思う。
■旧石器時代・縄文時代の記述が必要で、列島での生活の始まりから記述すべき。
■強い危機感を持っている。
■麻疹の流行のように今の6年生にとって後年悪影響が、顕在化する(権力指向)
■学会だけでなく考古系博物館など他の場所でも展示すべき
■もう少し詳しくてもいいのでは。写真・図入りでわかりやすいと思う。
■歴史を学ぶのは、人間のこれまでの営みを知り、自分たちの現在に至る状況を把握する自己認識の作業になっていると思います。その中で、旧石器時代・縄文時代がかけているのは大きな問題があると思います。このままでは旧石器時代・縄文時代を知らないで大人になる子供がでる危険があると思います。
■内容の貧弱さに驚いた。
設問③学校教育現場・博物館等において、この改訂によって影響を及ぼすと思われる内容、また実際に影響があったという事例について。
■弥生時代からになったことから縄文時代の遺跡を使っ
て体験学習や校外授業の素材として使うようになりました。(こちらは受け入れ側の立場です。)博物館・文化財行政側の人間としては逆の発想で鞭を入れている面もあり、ある意味良い反動か?
■旧石器時代・縄文時代について、教員も理解不足に陥る可能性があると思う。そのような状況で博物館に補助を求められても限度があるのでは?
■小学校の課外授業や社会の授業を中心に土器作り等を教えているが、子供たちは教科書に載っていなくても旧石器時代・縄文時代の次に弥生時代ということはよく理解している。なのに教科書には載らないので、かえって、子供たちは変に思っているようだ。
■戦前の教育と同じようになる。
■それ以前に博物館の展示構成の視点が学校教育の内容をくんでいない。わが娘(小6)は先史嫌いで歴史上の偉人好きとの偏重
■目にしていないが、正しい歴史観が育成されるはずがなく、亡国的な方向と考える。
■関西の人々の関心が薄い。
■考古学と歴史学の方法の違いを説明すべき。
■小学校ではないことになっている時代が次の教育課程に進んだ段階で解されにくいと聞いたことがある。ひいては学校(先生は)嘘を教えていたのという思いを子供が持つのだそうだ。
■弥生文化から歴史が始まるということから、『記』『紀』神話の内容が史実に反映している内容に進んでしまうのではないかと危惧している。
■大学生たちの先史時代に関する知識が明らかに薄い
■日本文化の成立過程が正確に理解できなくなる。
■展示施設が旧石器からあるのに、学校の先生に弥生から説明してくれといわれても納得がいかない。
■体験授業(縄文の石器作り、土器作りなど)や博物館の見学などを通して、旧石器・縄文の長い時代があったことを教える。
■旧石器・縄文は中学でわずかに学ぶだけの人が大学に出現することになる。(高校は世界史が必修のため)
設問④学校教育に対して、考古学的成果を活かした活動への協力や提言等の事例。
■大学教員など社会的立場のある人がもっと積極的に発表すべき動きが弱い。遅い。
■地域の博物館では学校への働きかけが欠かせないので日常的に取り組んでいるところが多いのでは。
■中・高教員へのセミナー的なものの開催が実効的ではないか。
■高校からの求めに応じて出張講義をした。実物を持って行き、考古学の迫力を示すことができたと思う。
■静岡ではおどろくほど低学年(幼稚園児)から博物館へ連れていく。どれだけ理解しているかはおいといても、見せることは、知らせることは重要なことだ。
■郷土教育の最初に考古学を教える。
■教科書の改訂
■地域に根ざした副読本で補う。あくまで指導要領が教員の研修で行う必要有り。
■各県の考古学会のホームページ上に社会科教員からの依頼(出前授業・教材貸し出し)や質問(社会見学先の遺跡)に答える相談枠を設ける。
■副教材配布や体験学習、ワークショップを行うべき。
■入試に考古学的問題をだす。
■自分たちの祖先が偉大なもの作りの天才であったことを土器作り教室によって、自分で作ることによって理解するのは子供たちにとって忘れられない体験になるし、将来の進路決定にも役立っている。
■入江貝塚19号人骨を資料として縄文時代の生活についての学習を行なった。入江貝塚博物館の協力を得た。
■子供たちに実際に遺物を見せたり触れさせたりすること。また、調査の現場を体験させるといった経験をさせることが必要ではないか。
■現場の教師自体に「何故歴史を学ぶのか」「歴史を学ぶということは何か」、出発点はここだと思う。ここがしっかりし、信念があれば、社会的にも追い風になると言える。その中で、遺跡・遺構・遺物=実物・実際にその場に立ち振れることができるという特質をうまく活かす方法を知らないという風潮が広がっている。新採教員研修や学校4-5年生の受け入れの際には少しの時間でもこの部分は話すようにしている。そのことが文化財の保護につながると思う。遺物の学校・地域への貸し出しについても実際には興味のある先生にのみ活用されている。
■出前出張授業など。
設問⑤今後検討・協議、実施すべきと思われる事象
■高校日本史Aの問題
■メディアやシンポジュウムなどを通してこの問題を訴え続ける必要がある。特に保護者の方にこの問題を強く訴えなければ、子供たちが被害者になる。
■小学校の教科書に旧石器時代・縄文時代を載せるように再々要望していってほしい。回答を求める文章を文科省に再度提出できないか。
■小中学校で小さな単元を構成できるような教材の提示(できれば「人」を浮かび上がらせるような資料)
■日本の歴史の中で旧石器時代・縄文時代の歴史の重要性を認識を教育現場の人々に理解していただくことが必要と思われる。
■日本国民として当然学ぶ(知る)べきことだと思う。特に小学校時代に日本の歴史の始まりを知るべき。
■もっと声を大に!
■日本史教育にかかわる研究会との連携。
■中・高で考古学の説明歴史学の違いを教える。
■教員にも教科書に載せてもらうよう要望すべき。
■戦後の教科書がどう考古学的記述(特に縄文・弥生)を扱ってきたか(神話との内容)
■教科書のみならず考古学の普及に取り組む「考古学普及委員会」を立ち上げ、考古学の教育学習支援、普及に努めるべき。
■小学校の教科書だけではなく、中学校教科書においても旧石器時代・縄文時代の扱いの軽さ、そして高校日本史の選択制など、総体的に考えなければいけない問題は多いと思う。
■教科書問題もさることながら、病院に入院していて学校へ行けない子供や障害者への考古学の啓発をすべきと思う。
■さらに、ねばり強く引き続き文科省に意見を出し、それを乗り越える実践を多くしてゆきたい。
■この現状を一般の人にも知る機会を作ってほしい(マスコミに取り上げてもらうなど)
4.小学校社会科教科書の旧石器・縄文時代省略化にともなう自動・生徒への影響について~学習塾の現状より
                   田中浩江
はじめに
 小学校教科書の歴史学習内容が(弥生時代稲作の開始)を歴史の初章として使う教科書に移行したことで、児童・生徒の歴史分野学習の様子に変化が観られる。本来、教科書改訂前後の統一テスト結果を通じ、その素点をもとに数字データーで違いを提示したい処であるが、①塾生達の通学・出身の小中学校は複数あり、定期テストの内容が統一できないこと。②熟生達の基礎的理解力は、特に小学校においては誕生月や幼少時代からの訓練により、その差は余りにも大きすぎる。など①②の事由により数値で明示することが難しい。従って、ここでは塾講師(注1)の目線と手ごたえによる主観的傾向を述べたい。
(1)新改訂教科書に移行してからの塾生の様子
 小学校学習内容と中学校学習授業内容のギャップが大きくなったため、テスト得点数だけでなく、全体の歴史的流れを一連のものとして感じ取る力に弱さを感じる。
(2)塾としての現状対応として
 (A)教材に旧石器時代・縄文時代を旧来通りに扱うもの、(B)プラスアルファーとして扱うもの、(C)改定教科書に沿うもの、の3種類があり(注2)、目的に合わせて使い分けができるよう準備がされている。前述(1)の状況からすると、Aタイプを利用したいところであるが、私立中学受験志望児童向けの教材であるため、ページ数や内容にボリュームがあり、すべての児童に対応できるわけではない。B教材は、ページ数や内容にボリュームとしては適量ではあるが、旧石器時代・縄文時代の内容がかなり間引きされており、講師の指導法によっては逆に細切れ内容になり、児童に混乱を抱かせる結果になりかねない。
 つまり、新改訂教科書の問題点である前述(1)を塾の授業で、中学生の学校授業ギャップ解消に努めるためにA教材・B教材を導入すると、逆に生徒・児童の負担を増やすことになりやすく、危険性を伴う。
(3)小学校の取り組み例として
 小学校教諭の中にも、教科書の改訂内容に不安を覚え学校内で補強しようと、努められる先生もおられる。その例としては①市町村教委を始めとする考古学分野に詳しい学芸員や調査員を講師として依頼し(注3)、(地域の遺跡のお話)という形で弥生時代以前の内容を授業に取り入れる。②土器作りなどを通して簡単な話を学校教諭がする。などの取り組みを多く耳にする。実際これらの授業を受けてきた小学校出身の塾生においては、中学生になってからの歴史学習の理解は若干早い傾向にある。しかし(教科書補強)という目的を認識していないと、発掘調査の四方山話や遺跡の大切さ、土器作りの面白さに児童の興味が終始し、歴史の流れは学習できていない。
(4)塾の視点による学校教科書~まとめにかえて
 当学習塾を利用する塾生の受講時間は週に1回2時間が平均である。音楽・バレエなどの習い事や水泳などのスポーツ教室、社会体育による野球・主にバスケット・ミニバレー・卓球の練習、吹奏楽部、金管バンドなどの学校内クラブなど、小学生といえどもその生活は忙しい。従って、週2時間と限られた時間内で英語・数学・国語のいわゆる主要3科目の学習と漢字検定・数学検定・英語検定の受検準備に効率よく講義し習得させねばならないといった現状の中で、学校教科書の補強を塾で担うことは、理解力が平均よりもかなり進んでいる児童にのみ可能である。
 また、学校の生徒会活動や部活動で更に忙しくなり、3教科および各種検定受験勉強以外にも、理科・地学・生物・化学・社会:歴史・地理・公民の6科目を学習せねばならないといった多忙を極める中学生に特別な時間を割いて歴史授業の補習を行うことは現実的には難しい。従って、改定前の水準をもつ学校教科書を使った学校の授業と教科書が、塾としては必要不可欠であるといえる。
注(1) 現状報告した学習塾は、個別指導形態の『長野県ひろえ学習塾』による。塾生は小学校5・6年生、中学生、高校生(4年生大学受験志望者に限る)を構成員としている。平成5年創業、現在に至る。
(2)A教材『新小学問題集 社会6年』教育開発出版株式会社。B教材『ピラミッド 小6社会』教育開発出版株式会社。C教材『小学ワーク 社会6年』教育開発出版株式会社
(3)筆者も地元の小学校6年生において「地域の遺跡」という依頼で授業を行ったが、1時間授業の中で旧石器・縄文時代を扱うには、小学生相手では難しかったことを実感している。
投稿者プロフィール:大正大学で考古学を学んだ後、県内の市町村、県センター(佐久事務所)等で埋蔵文化財の発掘・整理・編集作業に従事する傍ら、県立及び県内私立高校社会科非常勤講師を務めた。13年前より個別学習塾を自営で開業。現在は自営学習塾を続けながら、坂城町教委臨時職員として込山田遺跡の整理・執筆・編集を終え、青木下遺跡(古墳時代祭祀遺跡)の編集作業等を継続中。
その他の掲載記事(省略)
・中日新聞2007年9月12日『小学社会歴史分野「縄文時代」が復活』
・朝日新聞東京版2007年9月12日『小学社会 要領改訂素案 歴史は縄文時代から』