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一般社団法人日本考古学協会倫理綱領

前文

  日本考古学協会は自由と平等の理念のもと、考古学の健全な発展をめざすとともに、文化財が人類共通の遺産であることを自覚し、その保護に力をつくし、あわせて社会のいっそうの向上に寄与することを使命とする。その使命を果たすため、ここに倫理綱領を制定し、日本考古学協会会員が守るべき規範とする。そしてこの綱領は、同時に広く考古学の調査・研究に携わる者が守るべき規範となり得ると信ずる。

1.社会人として

(1)遺跡の保護
日本考古学協会会員は、考古学が対象とする遺跡、遺構、遺物が人類史・人類文化の貴重な遺産であることを認識し、これを保存し、活用していくために努力する。
(2)調査・研究の公開・普及
日本考古学協会会員は、調査・研究などの学問的成果を広く社会に公開し、普及に努める。
(3)社会や環境に対する配慮
日本考古学協会会員は、調査・研究などを遂行するにあたり、その地域の歴史・ 文化および自然環境を尊重するとともに、地域社会との関係に配慮する。
(4)知的財産権の尊重
日本考古学協会会員は、他者の知的成果、知的財産権を尊重し、これを侵害してはならない。
(5)遺物や美術品の不正取引等の禁止
日本考古学協会会員は、遺物や美術品などの文化財の略奪、不正な取引・譲渡に関与してはならない。
(6)関係法令の遵守
日本考古学協会会員は、海外もしくは国内において調査・研究を遂行するにあたり、その国の法令を遵守する。

2.研究者として

(1)調査・研究における専門的能力
日本考古学協会会員は、調査・研究に関して、関連分野を含めた知識・方法論など、専門的能力の向上に努め、その遂行においては最善をつくす。
(2)調査の準備・計画
日本考古学協会会員は、適正な教育や訓練を受け、かつ事前に適切な準備・計画を策定した上で調査に着手する。
(3)調査記録の作成と保存
日本考古学協会会員は、遺跡の調査においては、恒久的で適正な記録を作成し、かつ報告書刊行後も記録の保存に万全を期す。
(4)報告書の作成
日本考古学協会会員は、遺跡の調査成果について、適正な報告書をすみやかに刊行し、その学術的成果の周知・共有化をはかる。
(5)資料・記録の保存・管理・公開
日本考古学協会会員は、調査によって得られた資料・記録が人類共有の財産であることを認識し、これらを適正に保存・管理するとともに、公開に努める。
(6)安全・衛生と人権への配慮
日本考古学協会会員は、調査・研究の遂行にあたって、安全・衛生対策に万全を期すとともに、人権を尊重する。
(7)不正行為の禁止
日本考古学協会会員は、調査・研究の遂行および成果発表の際に、資料・記録のねつ造・改ざんや、成果の盗用など、いかなる不正行為もしてはならない。

2006年5月27日 有限責任中間法人日本考古学協会第72回総会
2009年5月30日 一般社団法人日本考古学協会第75回総会 名称改正