HOME > 協会について
会員には、『会報』(年3回)、機関誌『日本考古学』(年2回刊)、総会での『研究発表要旨』、『年報』が配布されます。春の総会は首都圏での開催、秋は地方大会が恒例となっています。年会費は10,000円です。なお、2009年5月30日から日本考古学協会は一般社団法人となりました。
新入会員申込み受付から承認までのスケジュールの概要 | |
11月30日 | 申請書類受付の締切 |
12月〜1月 | 新入会員資格審査委員会による審査 |
3月〜4月 | 審査を経た入会候補者リストを全会員に配布し、意見を受けつけた後に再審査 |
5月 | 総会で承認、および新入会員の紹介 |
次年度正会員入会申込み受付け |
日本においては、1945年の終戦によって、初めて科学的な歴史研究の途が開かれた。ことに、文字出現以前の歴史については、実証に基づく考古学研究の成果が重要視されることになった。
1943年に発見され、1947年から本格的に発掘調査された静岡市登呂遺跡では、集落ばかりでなく水田も発見され、弥生時代の農村の全容を自らの手で描き出すその活動は全国的な注目を集めた。その最中、文部省の後押しもあって、この調査に結集した研究者を中心に全国的な考古学研究者の組織を作る機運が高まり、1948年4月2日、81名の会員からなる日本考古学協会が設立された。
現在に至るまで、日本考古学協会は考古学研究者の全国組織として活動を続けており、2004年3月1日には有限責任中間法人として再発足した。2006年3月末日時点での会員数は3,961名である。定期刊行物として『日本考古学年報』・機関誌『日本考古学』を発行し、春の総会・秋の大会では、講演・研究発表・シンポジウム・見学会などを行い、いずれも広く一般に公開している。また、国際的な学会への参加や、海外の研究者を招聘するなどの交流も行っている。
日本考古学協会は、設立直後の「登呂遺跡調査特別委員会」を初めとして、これまでに設けられた特別委員会は21にのぼる。これら特別委員会により研究活動を展開してきたばかりでなく、「発掘並びに出土品に関する法規特別委員会」や「埋蔵文化財保護対策特別委員会」により、ともすれば開発優先で、遺跡や自然の保護に消極的になりがちな政治・行政の分野にも、文化財保護の立場から積極的な発言や働きかけを継続してきた。特に、「埋蔵文化財保護対策特別委員会」は、常置委員会の「埋蔵文化財保護対策委員会」に発展し、現在も、破壊されようとする多くの重要な遺跡の破壊に待ったをかけ、保存と活用を訴えている。運動の結果、保存・史跡指定に成功するなど成果をあげた例もあるが、まだまだ多くの遺跡が完全に調査されないまま破壊されており、「埋蔵文化財保護対策委員会」の役割はますます重要度を増すばかりで、日本考古学協会の最も重点的な活動になっている。
近年の開発に伴う発掘調査では、対象とする時代や、保存する遺構・遺物を限定したり、本来国や地方自治体が責任をもって行うべき調査を民間に請け負わせたりする行為が目立ってきた。利潤を追求する営利事業として調査が行われる状態では、重要な遺跡が保存できないばかりでなく、充分な調査を経ないままに遺跡が破壊されかねず、それらの対策にも積極的に取り組んでいる。
また、2000年秋に発覚した、いわゆる「前・中期旧石器遺跡ねつ造問題」に対しては、「前・中期旧石器問題調査研究特別委員会」を組織し、総力を挙げて各種の検証活動を行った。その結果、遺跡のねつ造は、心ない一会員が20数年前から継続的に進めてきた行為であり、それに基づく「成果」はすべて無に帰することが判明した。日本の考古学研究においては、最も研究歴が浅く、研究者の数も少ない分野にくい込んだ行為であったが、ごく一部の研究者を除いて、長年にわたる不正を見抜けなかったことは、協会の力不足を物語っており、社会に対して深く反省の意を表明するものである。今後、このような事態を起さないよう、協力して研究の質を高め、また、研究モラルの確立をはかっていかなければならないことは言うまでもない。
現在、このような個人レベルの研究ばかりでなく、社会人としても、組織人としても、考古学研究に携わる者の守るべき規範として「倫理綱領」の制定を急いでいる。この「倫理綱領」は、会員以外のすべての考古学研究者にも規範となりうるものと考えている。
最近では、埋蔵文化財の調査や考古学の研究体制の検討を進め、また考古学研究の成果を軽視しがちな教科書のあり方にも常に関心をもって対応している。
さらに2006年から「公開講座」を開催して、研究の成果を社会に還元し、考古学の魅力をより多くの人びとと共有する活動も始めた。これら多くの活動に関する情報を公開、共有する場として、2004年に開設した公式サイトの充実にも努めている。
日本考古学協会は、今後も、自由と平等の理念のもと、考古学の健全な発展をめざすとともに、文化財が人類共有の遺産であることを自覚し、その保護に力をつくし、あわせて社会の向上に寄与することを使命として活動する。