第6回「コロナ禍の荒波に翻弄される考古学系博物館」 小菅 将夫

 コロナウイルス感染拡大防止のため、3月3日から他の博物館と同様に岩宿博物館も臨時休館となりました。外的な要因で臨時休館となったのは、計画停電が実施された2011年の東日本大震災以来と記憶しています。臨時休館は、その後5月29日まで3か月近くの期間に及びましたが、開館して28年、これほど長い休館は初めての出来事となりました。

 閉館時に開催されていた特別展は、会期を10日近く残して突然終了となってしまいました。そして資料返却に追われながら、市内小学生等の体験学習作品の展示会の準備です。展示は完成しましたが、遂に公開することなくむなしく終了しました。

 その後は、4月29日開催予定だった第72回企画展『華開く!群馬の縄文文化』の展示の準備です。4月初めには館内学習室に群馬県内の縄文時代中期の土器が約100点集結し、写真撮影が行われました。準備がすでに進んでいたこともあり、図録だけでも作りたいと周囲を説得し準備作業を進めました。

 新年度になると、まずコロナ対策のため、それまで考えていた事業を組み立て直す作業に追われました。そのような中、4月20日からは職員の半数が隔週在宅勤務となり、5月12日からは分散勤務に変更されました。この間、職員が直接会って会議をすることができないため、業務が著しく遅延しました。

 感染の第1波がやや下火になった5月下旬、今度は博物館を5月末に開館する準備をするようにとの指示があました。しかし、すぐには対応できず、28日開館、29日から企画展開催にこぎつけました。

 夏休みの事業は中止となりましたが、前年から準備が進められていた岩宿フォーラム/シンポジウムは、予稿集だけでも刊行、可能であればシンポジウム開催ということで進め、参加者を限定して開催することとなりました。11月8日には申し込みを受けた参加者と実行委員を合わせてちょうど50人で、何とか無事開催することができました。感染第3波が打ち寄せる前だったことも幸いしたのでしょう。

 博物館では、10月になると学校団体の来館も増え始め、多くの児童・生徒にどのように対応するのか試行錯誤は今も続いています。これまでのようなガイドツアーはできず、学校側が希望する体験学習も参加人数や会場の工夫をして実施しています。

 考古学は、具体的な資料に対するアプローチが欠かせないと考えています。考古学系博物館では、見るだけではなく触る、あるいは作ってみるといった体験学習が重要です。コロナ禍の状況下では課題があちこちから噴出し、博物館はその荒波にもまれているといえるでしょう。この間、多くの博物館に対応について伺うことができました。それらの方々に感謝しますとともに、連携してこの荒波を乗り切りたいと考えています。

 


感染防止策をした受付とミュージアムショップの様子


幻となった第72回企画展ポスター(宣伝を控えたため)