奈良市登大路瓦窯跡群の保存に関する要望書

                             埋文委 第5号
                             2018年1月12日

 

文化庁長官       宮 田 亮 平 様
奈良県知事       荒 井 正 吾 様
奈良県教育委員会教育長 吉 田 育 弘 様
奈良市長        仲 川 げ ん 様
奈良市教育委員会教育長 中 室 雄 俊 様

                       一般社団法人日本考古学協会
                        埋蔵文化財保護対策委員会
                         委員長 藤 沢   敦

 

奈良市登大路瓦窯跡群の保存に関する要望について

 

 標記の件について、別添書類の如く、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴殿におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2018年1月26日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。

 

 

 

 

一、別 添 書 類         一通

                                      以 上

 


                             埋文委 第5号

                             2018年1月12日

 

文化庁長官       宮 田 亮 平 様
奈良県知事       荒 井 正 吾 様
奈良県教育委員会教育長 吉 田 育 弘 様
奈良市長        仲 川 げ ん 様
奈良市教育委員会教育長 中 室 雄 俊 様

 

                       一般社団法人日本考古学協会
                        埋蔵文化財保護対策委員会
                         委員長 藤 沢   敦

 

奈良市登大路瓦窯跡群の保存に関する要望書

 

 奈良市登大路町に所在する登大路瓦窯群は、興福寺の所用瓦を焼成した瓦窯群で、1969(昭和44)年に奈良県婦人会館・奈良県消費者センターの建設に伴って発掘調査が行われた際、発見された遺跡です。調査当時、瓦窯群については重要な遺跡であるとの認識から埋め戻され、本年まで地下で保存されてきました。

 この登大路瓦窯群に対して、2017年5月より発掘調査が行われました。その目的は、地下の窯跡群の保存状況を確認するというものでした。調査の結果、瓦窯9基が確認されると共に、時期は大きく3期に分かれ、2~4基の窯が同時に操業していたことが明らかとなっています。また、瓦窯の手前には覆屋の柱穴や灰原も確認されており、瓦窯の一部は平氏による南都焼討後の12世紀後半に操業されたと推定されます。

 古代から中世にかけての瓦窯跡がこれほど良好な状態で発掘された事例はありません。もとより南都は古代~中世における瓦生産の一大拠点であり、このたび発見された興福寺復興を目的とした瓦窯群を保存することで、学術資料のみならず、歴史教育や観光資源としての活用も期待されます。

 しかし、土地所有者であり、事業主体者でもある奈良県は、1969年の埋め戻しの時より保存状態が悪化しているとして、一部の窯跡を現状保存する以外は、遺構の現地保存を行わない方針です。今回確認された窯跡群が、1969年より保存状態が悪化しているとの判断は理解に苦しむものであり、窯跡群の実態が明確になったことにより、その学術的重要性はより大きくなったと考えます。

 以上により、日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は下記の通り要望いたします。

 

 

1.今回発見された瓦窯跡群を、現状のまま保存すること。
2.保存した瓦窯跡群を、歴史資料として活用する方途を講ずること。

                                         以 上