安芸市瓜尻遺跡の保存に関する要望書

埋文委 第12号
2021年3月3日

文化庁長官        宮 田 亮 平  様
高知県知事        濵 田 省 司  様
高知県教育委員会 教育長 伊 藤 博 明  様
安芸市長         横 山 幾 夫  様
安芸市教育委員会 教育長 藤 田 剛 志  様

 

 

                   一般社団法人日本考古学協会
                     埋蔵文化財保護対策委員会
                    委員長 藤 沢   敦

 

 安芸市瓜尻遺跡の保存に関する要望について

 

 標記の件について、別添書類のように、当該遺跡は学術上きわめて重要な内容を有するものであり、貴職におかれましては、適切な保存の対策が講じられることを要望いたします。

 なお、まことに恐縮ですが、当件に係る具体的な措置および対策につきまして、2021年3月26日(金)までに、当協会埋蔵文化財保護対策委員会委員長宛にご回答を下さるようお願いいたします。

 

 

 1 提出書類
   別添のとおり 1通                                    


埋文委 第12号
2021年3月3日

文化庁長官        宮 田 亮 平  様
高知県知事        濵 田 省 司  様
高知県教育委員会 教育長 伊 藤 博 明  様
安芸市長         横 山 幾 夫  様
安芸市教育委員会 教育長 藤 田 剛 志  様

 

 

                   一般社団法人日本考古学協会
                     埋蔵文化財保護対策委員会
                    委員長 藤 沢   敦

 

安芸市瓜尻遺跡の保存に関する要望書

 

 ようぼう遺跡は、本調査に先だって確認された古代寺院の存在により、寺院・官衙関連遺跡の発見が確実視されるなかで発掘調査が始まりました。私たち日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会も大きな関心をもって経過をみて参りましたが、予想を上回る発見が相次ぎ、7世紀に遡る官衙関連遺跡としての重要性を一層深く認識した次第です。とりわけ、古代寺院に隣接する溝と塀で方形に区画された施設、そしてこれに伴う船着場を備えた水路は、安芸郡衙の形成に深く関与した在地豪族の姿を彷彿させます。

 安芸市は古代安芸郡の中心地と目されながらその内容を知る手立てがこれまでありませんでしたが、瓜尻遺跡の発見は安芸郡の成り立ちを知る端緒となるものです。さらには、律令国家の支配体制が全国におよぶ過程や、郡衙を中心とした統治機構が地域で実現される具体的な姿を示すものとして、瓜尻遺跡の調査成果は全国的にもきわめて重要な意味をもち、全面保存を講じるべき内容を誇ります。

 安芸市が進める統合中学校建設という教育環境整備においても、このような歴史的重要性に対して十全な配慮がなされ、瓜尻遺跡という歴史的環境が新たな教育環境に組み込まれるべきものと考えます。

 以上のことから、一般社団法人日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会は、安芸市瓜尻遺跡の保存のために、以下の通り要望します。

 

 

 1.遺跡の調査成果を広く公開し、専門的知見・評価の収集に努めること。

 2.安芸市・高知県・文化庁において協議の上、遺跡の重要性と価値を十分に検討し、事業計画の見直し・現地保存を含めた遺跡の保護策を講じること。