広文振第344号
令和3年9月27日
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 藤 沢 敦 様
広島市長 松井 一實
(市民局文化振興課)
広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望書への
本市の回答に対する再要望について(回答)
令和3年9月10日付けで要望のありました件について、次のとおり回答させていただきます。
1 2021年8月5日付け埋文委第4号「広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における遺跡の保存に関する要望について」に対し、市長名での正式な文書による回答を行うこと。
(回答)
前回令和3年8月16日付けで課長名で回答した文書については、市の内部で組織的に調整を行い、決裁手続きを経て発出した公文書であることから、改めて発信者を変えて文書を作成する必要はないと判断しております。
2 広島城跡(サッカースタジアム建設予定地)における陸軍中国軍管区輜重兵補充隊関連遺跡の遺構について記録保存を前提とした調査・作業の即時停止し、市民・識者・団体・関連学会等の意見をもとに、現地保存を前提として事業計画を見直すこと。
(回答)
今回の発掘調査は、スタジアム建設に伴いスタンド等の基礎工事などを行うため、地盤を破壊せざるを得なくなる範囲に限定して、近世及び近代の遺構の状況を記録するために行うものですが、残りの建設予定地の9割弱に存在する旧陸軍施設の遺構は、現状のまま地下に保存されることになります。
発掘調査については、必要とされる所要の手続きを確実かつ、適正に行ってきているものであり、各層各所からいただいた意見や要望は、今回の記録保存が将来的な広島の歴史の解明に資するものとなるようにしていく中で、参考とすることとしています。
市としては、近世及び近代の遺構の保存とスタジアム建設の両立を図るべく作業していることを御理解いただきたいと思います。
3 上記の対応および十分な発掘調査を実施するため、必要な期間を確保するとともに、適切な考古学的方法による発掘調査を実施すること。
(回答)
発掘調査については、国の作成した埋蔵文化財に係る基準等に則って適切な手法で実施しており、考古学を始め近世、近代史、建築史、民俗学など文化財に関する様々な分野の学識経験者で構成される本市文化財審議会委員から意見をいただいているほか、現地を視察した広島県教育委員会や考古学関係者などの意見も踏まえながら行っています。市としては、当初の方針どおり、スタジアム建設に伴いスタンド等の基礎工事などを行うため、現状保存が困難な範囲について近世及び近代の遺構の状況を記録保存することとしており、現時点では、計画しているスケジュールの中で、記録保存に必要な調査期間を確保できるものと考えています。