(公印省略)
広文振第964号
令和5年8月23日
一般社団法人日本考古学協会
埋蔵文化財保護対策委員会
委員長 山田 康弘 様
広島市長 松井 一實
(市民局文化振興課)
広島城三の丸歴史館建設予定地とその周辺の国史跡追加指定および同館建設予定地の変更に関する要望書について(回答)
令和5年6月30日付け埋文委第1号で要望のありました件について、次のとおり回答いたします。
1 『保存管理計画』『整備基本計画』の方針をきちんと継承し、歴史館建設予定地とその周辺の国史跡追加指定を検討すること。
(回答)
現在策定作業中の「史跡広島城跡保存活用計画」及び今後改訂予定の「史跡広島城跡整備基本計画」については、現行の計画に定められた方針を踏まえつつ、今日的視座に基づいた見直しを行うことにより、史跡の追加指定を検討することも含め、今後の広島城跡のための新たな総合的な計画となるよう、関係機関と協議を重ねながらより良い形を目指して策定を進めていく考えです。
2 現在、策定作業が進められている『史跡広島城跡保存活用計画』の第4章素案において、歴史館建設予定地とその周辺が、「史跡と一体的な整備を実施する範囲」である「史跡範囲外周部」から除外されている理由について明確にお示しください。
(回答)
広島城三の丸歴史館建設予定地及びその周辺については、「広島城基本構想」及び「広島城三の丸整備基本計画」において、民間活力を活用した整備を行うこととしており、史跡範囲外周部の他のエリアと同列と扱うことが困難なことから、第3回会議の保存活用計画素案においては、「旧広島城範囲」に区分したものです。
これについては、引き続き、史跡広島城跡保存活用会議の意見も踏まえ、検討していきたいと考えています。
なお、現行の史跡広島城跡保存管理計画及び整備基本計画において史跡と一体的に整備を行う範囲としているのは、景観整備に関する記載であることを申し添えます。
3 歴史観建設予定地における試掘・発掘調査結果を公開し、調査成果をふまえたうえで当該地点における埋蔵文化財の取り扱いについて、国や広島市文化財審議会と協議すること。
(回答)
歴史館建設予定地における発掘調査については、昨年度までに試掘調査を実施しました。その試掘調査結果を踏まえ、対象範囲全体の平面確認調査の実施に向け、予算措置等の検討を行っています。
なお、その調査結果については、必要に応じ文化庁や市文化財審議会と協議を行います。
4 文化財および歴史的景観保護の観点から、歴史館建設予定地を変更すること。
(回答)
令和5年2月22日付け広文振第787号において回答しましたとおり、これまでに「広島城三の丸歴史館」の整備に当たっては、有識者や市民、市議会の意見を聞きながら丁寧に検討を進めています。繰り返しとなりますが、まず、有識者から成る「広島城のあり方に関する懇談会」において公開で意見交換を行い、市民意見募集を行った上で、令和3年7月に「広島城三の丸整備基本計画」を策定しました。さらに、「広島城三の丸歴史館」の詳細については、有識者から成る「広島城の展示整備に関する懇談会」において公開で意見交換を行い、令和4年1月に「広島城展示等基本計画」を策定しました。こうした過程を経て検討を終了し、令和4年3月、市議会の全会一致の議決を得て、地方自治法第244条の2の規定に基づき、「広島城三の丸歴史館」の設置及びその管理に関する事項を条例で定め、告示したものです。
要望書には「充分な検討を行わないまま」とありますが、以上のとおり「広島城三の丸歴史館」の「建設予定地」については、「史跡広島城跡保存管理計画」及び「史跡広島城跡整備基本計画」も踏まえた上で、両計画策定後の状況変化等にも対応しつつ、有識者や市民の御意見を頂きながら検討を重ねた上で、市議会の議決を得て正式に決定したものであり、今回の要望書の御指摘を踏まえた変更を行うことはできないと考えています。